2008年度余暇政策論

レポートについての担当教員(中村祐司)のコメント 

 

(各タイトルをクリックすると各レポートが提示されます。)

 

 

 

  氏名

テ ー マ

齋藤 美佳

地元から余暇政策を考える

塩谷町や茂木町の観光振興の中身についてもっと知りたかった。目線は一般論レベルにあるのか具体論レベルにあるのか。集積型複合施設とは対極の、町全体を包むような分散型ネットワークの観光資源の構築はできないのだろうか。

久保 麻衣子

高齢者の余暇活動について

「日々何をしていいかわからない」ことほど辛いものはない、という指摘を以前読んだのを思い出した。高齢者の多様性をどう捉えるのか。「今後の課題」における論拠はオリジナルなものなのか。「政府運営のコミュニティ」とは具体的にどのようなことをいうのだろうか。

坂寄 静香

日本人のブランド志向―ヨーロッパにおけるブランドとの比較から見るその問題点―

ブランドを見る欧米の人々と日本人の違いは、当人の価値観や主体性の有無にあるということだろうか。参照した文献を超越した指摘が欲しい。一般論で「○○人は」と明確に区分けできるものなのだろうか。

ウエダ ミリアン ナオミ

日本人若者の海外旅行離れについて

関連のデータを丁寧に良くまとめている。「頭の中の旅」が新鮮さを奪うのでは、といった指摘など興味深い。ただ、全体的に数字データ重視のせいか、全体として論の展開が拡散してしまった点が残念。若者の生の声などを拾えれば。

石岡 未知子

中国人富裕層

大切な論点を見据えてはいるものの、富裕層とハリウッド映画浸透との関係をめぐる記述があってしかるべきだし、とくに前半の記述の情報源を明らかにしてほしかった。

安納 枝理

2002FIFAワールドカップにおける誤審問題

誤審問題に絞ったのは正解だったとは思うが、あるべき論よりは誤審のケースをもっと掘り下げる手もあったのでは。後半の論の展開が現在形として述べられているようで、そうであればその後のドイツ大会における改善点に言及すべきでは。

湯佐 亮介

SNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)

好レポート気負わずに自分の目線で一貫して書いているのがいい。直接的に接する人間関係であれ、電子媒体上のそれであれ、人間には他者に認められたい、大切にされたいという思いが尽きないのであろう。「mixi依存症」や、狭く閉ざされた電子空間内での他人の悪口。社会的病理現象と思わせるような一現象を指摘した

岡田 展幸

迷惑メールの処理で人類の時間がどの程度失われているか

「迷惑メール送信業者」の存在。瞬時の情報のやり取りという便利さの裏に壮大な無駄があるということを時間軸の数字で提示した点が興味深い。どう対応すれがいいのか。技術論も含めてこのあたりの処方箋の提示があれば。

高橋 瑞希

余暇市場を支えるパチンコのこれからを考える

パチンコ業界を抜きに余暇市場は語れないほどその存在感は大きいと同時に、課題も山積する。誘客に向けたパチンコ環境改善をめぐるあの手この手の投資的工夫が各項目から伝わってくるものの、読み手としては例えば「パチンコ奨学生制度」の中身についてもっと知りたかった。

10

武石 歩

女性のダイエットと摂食障害

拒食症による死亡率の高さに驚いた。モデル界への規制が及ぼす影響力は大きいろうが、結局は基準を個人の中か外のどちらに置くかにかかっているようだ。外目の基準が絶対視される現実に根本的な問題があるのかもしれない。たとえば、雑誌のタイトルや歌い文句を提示・分析できれば。

11

山本 泰

地方観光と交通網〜鳥取県〜

道路網整備の違いが県内の観光集客の明暗を分けている点に注目し、地方における道路建設を後退させるべきではないと説く。長い間待たされたあげくの道路の凍結・見直し論は、当該地方から見ればナンセンスそのものかもしれない。ただ道路が整えば観光も含め一事が万事うまくいくとも思われない。道路と結びつけた観光面への具体的言及がもっとあれば。

12

田村 力

ワンセグ放送から見る余暇 〜テレビのあり方の多様化〜

好レポート止まることを知らない電子携帯の累進的な性能進化。光(飛躍的な便利さの向上)と影(本来の目的が転化)の側面が項目毎にずばりと指摘されている。使い手にとっては忍耐、倫理、知性などの賢さが問われるという意味では、やっかいな時代が到来した。

13

羽多 未甫子

ディズニーリゾートにおけるサービスの神髄

好レポート今やレジャー領域を超えて、サービス業界全般の先導役となっている感さえある。「企業同士の余暇時間の取り合い」の中で、トップを走る秘訣・知恵・努力・相乗効果をめぐる冷静で客観的な把握がなされている。ゲストの求める多様で際限のない価値の追求に応えるために、キャストはゴールなきゴールを目指して、これからも走り続けるのだろう。

14

井手 まどか

大人の習い事

時間と金銭の拠出は回避できないものの、習い事を生かすも殺すも結局は「その人次第」ということだろう。目配りのバランスの良さがある一方、個別事例のない総花的な記述となったのが残念。例えば、「習い事をめぐるグローバル化の展開」といったテーマを設定してもよかった。

15

矢澤 唯

日本人の読書離れとケータイ小説

好レポート。ケータイ小説は読書という人間の精神的行為の次元には届かないと結論した。前半の読書離れ論では複数の情報源から各々のエッセンスを把握・紹介し、散漫にならない形で良くまとめている。また、読み手の受け止め方は様々であろうものの、後半の展開も考え方の筋道がしっかりしている。ケータイ「小説」が読書離れの産物という指摘にはどきりとさせられる。

16

野本 拓也

まちづくりにおける住民参加の意義

まちづくりは当該地域が担う固有の「にんげんづくり」であると指摘した。「組織は人」と良くいわれるが、「地域も人」ということだろう。テーマをめぐる意欲と情熱が行間から溢れており、インタビュー対象であるまちづくり組織の実際の活動を紹介してほしかった。

17

加藤 遥

歌舞伎と余暇政策〜観客数増加の観点から考える〜

段階を踏んで着実に仕上げられたレポート。3つの成長要因を指摘したためか、料金低額化以外の選択肢の提供はなかった。天井桟敷の取り扱い方や、料金の違いによって見る側が置かれる観賞環境の違いなどに言及できれば。

18

伊澤 美里

LIVEと余暇政策

音楽のLIVEは研究のフィールドワークと類似するものかもしれない。「音楽は身体で聞く」という表現が興味深い。音楽療法とLIVEとのつながりがよく分からなかった。最初の強烈な問題意識をもとに実際のLIVE経験を取り上げて、その中身を描写した方がよかったのでは。

19

五代儀 あや

カラーセラピー 〜人々の心に変化をもたらす色〜

色彩が人々の心理ひいては体調に少なからぬ影響を及ぼすことが分かる。食べ物なども色によって味まで変わる感じだ。日常生活を取り囲むのは様々な色彩である。具体例の追求に加えて、独自の見解や解釈の提示がほしい。

20

海老澤 亮

現代社会における車の価値

広く浅くテーマについての全体概要を提示してはいるものの、焦点を若者世代に絞るなら、アンケート調査やこの世代のコメントなどを情報源としてもよかった。「安くてかっこいい車」はありがたいだろうが、安全性に対する関心は若い世代にもあるだろう。

21

加瀬谷 咲貴

流行が人々に与える影響

「流行は周期的にリバイバルする」「流行が文化を生み出す」といった指摘は興味深いものの、テーマにファッション関連の語が入るべきでは。自己を表現する手段の一つと考えるのと、体を覆うものにすぎない考える無頓着さとでは、生活の質を大きく左右する違いがあるのだろう。

22

鈴木 佑佳子

余暇をパチンコにつぎ込む人

「賭け金に対しての見返り」が集客を左右するポイントだと指摘されている。この業界が環境問題とも無縁でないのが興味深い。アンケート調査についての詳しい記述を読みたかった。日本全国に満遍なく存在する理由もファン人口の多さから納得できる。金銭が絡まない余暇活動では太刀打ちできない類のものかもしれない。

23              

赤坂 優

携帯電話が若者に与える影響

好レポート。親から見るとケータイはいつでも連絡が取れる安全弁である一方、子どもが陰の別世界にどんどん入り込んでいってしまわないかという恐さもある。子ども同士の関係も爽やかさとはかけ離れた偽装友人関係のようなものになりがちかも。経験を踏まえた後半の貴重な見解と前半の記述をうまく連結した。

24

戸崎 優華

ファッションと流行

短いサイクルで流行ファッションを前面に打ち出す売り手と、広告や雑誌の動員力にさらされる買い手との間には無意識のうちに強烈な神経戦が展開されているのかもしれない。個人的にはファッションについての好印象を、男女間で素直に口にできるような雰囲気があればと思うのだが。

25

中村祐司(担当教員)

北京五輪大会をめぐるボランタリズムの新しい潮流―四川大地震との連結性―

 

 

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