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赤坂優「携帯電話が若者に与える影響」

 

1、はじめに

 21世紀が始まり,気が付くと私たちの世界はすっかりIT化された。子供たちはすでにネット型対戦ゲームを自分の持つゲーム機で楽しんでおり、多くの高校、小中学生が携帯電話を通してネットを日常的に使っているという。小学生の2二割、中学生の5割、高校生だと9割が携帯電話を所有しており、1ネット上にも子供たちが容易に入ってくることができるようになった。こうした状況に大人は危機感を覚え、ネット犯罪や青少年への悪影響が連日メディアで伝えら れている。本レポートでは、携帯電話でのネット犯罪を取り上げ、携帯電話のネット使用が子供たちに及ぼす影響と、今後の携帯電話のあり方について考察していく。

 

2、携帯電話でのネット犯罪

●出会い系サイトによる犯罪

携帯電話やインターネット関連の「匿名の人間関係として」注目を集めているのが「出会い系」であり、これは主に男女の出会いの場を提供するインターネットサイトである。この「出会い系」の評判が悪いのは、そこで知り合い、犯罪に巻き込まれたとの報道が続いたためである。そもそも、「匿名な人間関係」にネガ ティブなイメージが強いのはテレクラ以降、それをきっかけとした犯罪がいくつも報道され、その危険性が強調されてきたからである。風俗のイメージも強く、教育者や警察官向けの業界誌などでは、問題行動・逸脱行動としての出会い系サイトの利用とその対策といったテーマが盛んに論じられている。

 

平成19年中のいわゆる出会い系サイトに関係した事件として警察庁に報告のあった件数は1,753件であり、前年(1,915件)と比べて162件(8.5%)減少したが、出会い系サイトを利用して犯罪被害にあった児童は1,100人であり、依然として高い水準で推移している。2

 

●電子メール機能の利用で起きている事案――― チェーンメールなど

2002 5月に徳島県警生活安全企画課は、携帯電話を使い同級生の女子高生(16 歳)を中傷するメールを顔写真つきで不特定多数の人に送信したとして、同県立高校の女子生徒4人(いずれも16 歳)を名誉毀損の疑いで書類送検した。調べでは、4 人は中傷の対象となった女子生徒が現金を盗んだり男性と親しくしたりしているなどという虚偽の内容で、多くの人に転送するよう求めるメールを携帯電話で友人 らに送った疑い。メールには被害にあった女子生徒の顔写真が掲載されているHPの場所も記されていた。受信者に送られたのは「一人でも多くの人に回してほしい」と促すチェーンメールだった。4 人は同じ高校の遊び仲間だったが「悪口を言われたことに腹を立てた」と供述、容疑を認めているという。被害にあった女子生徒の友人に同月、このメールが送られてきて発覚。県警はこの友人らのメールの送受信記録などから4 人を特定したという。この事件は、軽い気持ちで行ったネットいたずらが犯罪になってしまう好例である。不特定多数とはいうものの、同級生や友人に送信したと いうから、本人たちはきっと「いたずら」程度の気持ちだったのではなかったか。しかし結局は警察沙汰になってしまったのだ。

 

●掲示板機能の利用で起きている事案――誹謗・中傷事件など

この種の事件では、2004 年に選抜高校野球の名門である松山市の済美高校の例がある。済 美高校では掲示板に野球部の選手らに対する多数の中傷の書き込みが相次いでいるとして、名誉毀損容疑での告訴などを検討、掲示板管理者に情報発信者の情報 開示を求めることに決めたと発表している。掲示板機能の利用で起きている誹謗・中傷などトラブルは事件になりにくい、むしろ日常的なものになっている。

 

3、どうして若者たちがこんなにも簡単に携帯電話でネット使用できるようになったのか。

 なぜこんなにも容易に若者たちが携帯電話を使ってネットを使いこなし、有害なサイトにアクセスできるようになったのだろうか。私自身の考えを述べていきたいと思う。

 

 私が携帯電話を持ち始めたのは高校生の頃からであるであるが、当初はそれほど携帯電話でネットを閲覧することは無かった。それは、携帯電話のネットを使うと、パケット通信料3というものがかかり、それがとても高額なものだったからである。しかし、それから携帯電話使用においての様々な新しいプランができ始めた。その一つに、「パケットし放題プラン」や「定額プラン」が挙げられる。このプランの内容は、今まではネットを使うとその分だけ莫大なパケット通信料がかかってしまったのだが、このプランにすると、月々の料金が定額になるというものである。つまり、いくらパケットを使ったとしても、決まった値段から変わらないということである。私は、このプランができたことも若者たちが携帯電話でネットを頻繁に利用することになった理由の一つだと思う。私の学校では、在校生の90パー セントは自分の携帯電話を持っていると言われていたし、そのほとんどの人がこの「パケット定額プラン」に入っていたと思う。私自身もこのプランに加入して いた。私もこのプランに加入してからは、パケット通信料を気にすることなく毎日のように携帯電話でネットサーフィンするようになった。それからは、着歌や画像を取るためにたくさんのサイトを回るようになったのだが、ほとんどのサイトに「広告」が載っているのがとても気になった。その広告の内容は、「即女の 子と出会える」や「H 画像」、「出会い系」などの、卑猥なものであった。パケット放題プランに加入していなかった頃はそのような広告を見ても通信料がかかってしまうのが怖くて、クリックしなかったのだが、加入してからは「いろんなサイトにアクセスしても料金がかからない」と思うようになっていたので、そのような広告を興味本 位で覗いたりするようになった。クリックすると、ほとんどのサイトには「年齢鑑定 あなたは18歳以上ですか」と出るのだが、18歳以上ではない私にも簡単にアクセスすることができた。仮に18歳以上でなくても簡単にこのようなサイトにアクセスできるのだ。これが、若者が簡単にアクセスできるようになった理由の一つだと思う。つまり、普通のサイトにもほとんどのものに有害サイトの広告が載っており、18歳以上でなくても簡単に有害サイトに飛ぶことができるということである。

 

 また、この頃からブログや掲示板というものが人気となった。ブログを簡単に説明すると、日記をHP にアップして友達からコメントを書いてもらったり返したりするものであり、掲示板は自分の聞きたいことや興味ある話題をみんなに質問して、みんなからコメ ントをもらったりというものだが、このようなサイトを素人の私たちでも簡単に作れるようになった。掲示板やブログでは、普段恥ずかしかったりなどで直接言えないことも言えたり、全国の知らない人たちとも繋がれることができ、匿名で投稿することができるので、メリットも大きいのだが、その分デメリットも大きい。事件にもなったように、匿名で友人の悪口を書いたり、掲示板上で仲良くなった知らない人とアドレス交換をしたりなどして、出会い系のようなものになってしまったりするのだ

 

 以上に述べたように、携帯電話において怖い点は、普通の優良サイトや掲示板、ブログが簡単に悪用することができるという点である。簡単にできるが故に若者たちがネットの罠にはまってしまうのである。

 

4、まとめ

  本レポートでは、携帯電話のネット犯罪や事件、また若者が容易にネットを使用できる理由について述べてきた。携帯電話は普及し始めてから今までで、ものすごい進化を遂げてきている。相手と連絡を取り合うのはもちろんのこと、メール、ネットを容易に使用できる便利なものになり、私たちの生活において無くてはならないものになっている。しかし一方で携帯電話上でのトラブルは多い。最近民主党が、18 未満の子供が有害サイトを閲覧できなくするための「携帯電話フィルタリング政策」を発表したらしいが、実際これがきちんと機能するのかが気になるところである。しかし,危険だからと禁止すれば問題は解決するのだろうか。ダメと言われるほど覗いてみたくなるのが人情だと思う。正しい歩き方、危険から身を守る方法を教えていくことが必要なのではないのだろうか。

 


1出展 「第1回子ども生活実態基本調査報告書」Benesse 教育研究開発センター(2005

    http://benesse.jp/berd/data/dataclip/clip0001/index.html

2出展 警視庁調べ 2007年報告

    http://www.npa.go.jp/cyber/deai/data/index.html

3ウェブやメールサービス(AIR-EDGE PHONEEZwebi-modeYahoo!ケータイ)の使用時に、携帯端末単独での通信に課金され、またPC/PDAなどに携帯端末を外部接続した場合にも課金されるもの。

 

参考文献

下田博次著『ケータイ・リテラシー 子どもたちの携帯電話・インターネットが危な

い!』2004年NTT出版株式会社