08/07/02 余暇政策論
070541b 戸崎優華
「ファッションと流行」
1.
はじめに
さまざまな出版社から毎月、もしくは毎週数え切れないほどのファッション誌が発行されているが、それらを読みながらこの服が欲しい、こんな着こなしがしたい、と考える人は多いだろう。私自身、そんな風にファッションに興味を持っている人々の中の一人であるが、雑誌を見ていると、流行の変化の目まぐるしさに驚いてしまう。ひとつ季節が変わるごとに、そのときはやっていたものはあとかたもなく姿を消していることも珍しくない。今年はいちども袖を通していない去年の服が、クローゼットの中にたくさん眠っているという人も少なくないはずだ。今回はファッションにおいて、あらゆることにどのようにかかわっているのか、ということに焦点を置いて、とくに女性のファッションの面について述べていこうと思う。
2.
歴史から見る流行
どの時代にもファッションには流行との密接な関係がある。例えば、19世紀ヨーロッパの貴族階級の間では、くびれのある女性が美しいとされ、その時代の女性はコルセットでウエストを締め上げるといったことがなされていた。清時代の中国では、活動範囲を狭めるための纏足を、女性はみなやっており、それが美しいものとされていた。社会的思想や美的要求は、ファッションの流行に大きな影響があったのではないかといえる。しかも、それらの思想・要求は、当時の男性たちの視点から確立されたもののように感じる。そして20世紀に入り、戦争が激化する時代になるにつれて、ヨーロッパでは女性の服装も男性のそれのように見た目などよりも機能性を重視したより実用的なものになってゆく。これは男性のファッションにおよそ100年遅れての変化である。戦時中はミリタリー・ルックと呼ばれる、戦闘服のようなファッションが流行したり、戦後は経済の復興が進み、大量消費の時代となり、それにともなって布をふんだんに使用したドレスなどがデザイナーによってこぞってデザインされたという。戦争の時代には戦争を背景にしたファッション、好景気時代には浪費を垣間見るようなファッション、というように、流行はその時代における社会情勢の影響も受けていることがわかる。
3.
流行に敏感な人々
雑誌やテレビといったメディアからの情報発信が私たちに大きな影響を与えているとは言えないだろうか。芸能人やモデルが着ていたり、雑誌に取り上げられたりした服は注目され、みんなが欲しがる。取り上げられた服は1日に何十枚、何百枚と売れ、そのことがまた取り上げられることで、さらにその服は売り上げを伸ばすのである。みんなが着ている服を着ることで、流行にのれているという安心感を得、違うファッションがはやりだしたら、その服を買わないと不安に駆られる。人々が情報を手に入れやすくなったことで、流行の情報も簡単に得られるようになった。しかし、そういった反面、流行に敏感にならざるを得なくなってしまったというのもひとつの事実かもしれない。
今年は去年買った服は着られない、と感じてしまうこともあるのではないだろうか。ローンを組んで、借金をしてまで買ったブランド服を、ローンを返し終わる前にリサイクル店に売ってしまい、そしてローンだけを払い続ける。新しい服を買うために、今着ていた服をオークションで売りさばき、頭金を作るなどといった、服やファッションに対する執念というか、流行を追い続けなくてはならない義務感のようなものが生まれてはいないだろうか。また、ファッションの一部に古着を取り入れる人々も街にあふれている。古着だから格安で手に入ると考える人もいるだろうが、古着だからこそ高値で売買されるものも多い。1920〜60年代のアンティークものや、今は生産されていないデットストックと呼ばれる商品は、希少価値の高さから値段もつりあがり、食費を削ってまでそのようなものを買い求めるといった人々も少なくない。そういった人々は同じものがひとつとしてなく、他人とかぶらないという古着の良さにひかれ、それを追い求める、ある種の執念といえるものに取りつかれているように思える。
しかし、上記のことすべてが悪いことだと言っているわけではない。実際、私自身もブランド服はあこがれるものであるし、先ほど挙げた古着の魅力も捨てがたいと思うからである。ここで言いたいのはブランドや高価なものばかりに惹かれてしまい、さらに、流行に取りつかれることによって自分を見失わないようにすべきだということである。
4.
現在の流行
最近よくたくさんのブランドや店舗からエコバッグが販売されているのを目にする。人気ブランドのロゴやマークの入ったバッグはそれほど高い値段ではない。デザインも可愛らしく、しかも丈夫で、地球にも優しいという理由で、飛ぶように売れており、普通のかばんと同じような感覚で持ち歩く人たちを多く見受ける。また、天然素材を使ったエコT シャツなどの服も注目されているようである。環境問題という今いちばん熱い話題をファッションに取り入れることで、人々の関心を集め、多くの人々の支持を得ている。しかし、環境のことを考えているという意識にばかりとらわれて、私たちはまたしても、流行という波に呑まれてしまっているような気もする。
5.
おわりに
ファッションは娯楽であると考える。買い物に出かけることはそもそも気分転換や友人・家族などと一緒に行うレジャーの一つといっても過言ではない。そのことを含むファッションや流行といったものが、人々にとって義務感を生み出すものであったり、楽しくないものになったりすることだけは避けたい。おしゃれをすることやショッピングをすることは楽しいことであるはずだし、私にとってもみんなにとっても、ファッションはそのようなものであってほしい。