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女性のダイエットと摂食障害

 

私たちが目にする女性雑誌の最後のページには必ずと言っていいほどダイエットに関する広告が掲載されている。「飲むだけで痩せる」「3日でマイナス5キロ」といったような言葉を並べ、さらに若い女性モデルの写真がそこに載せられている。若い女性は日々目にする雑誌や店頭で販売されている服を目にするとき、多くの人がダイエットを意識するのではないだろうか。これからそんな若い女性が陥りやすい危険なダイエットと摂食障害に論点を当てて述べていく。

 

 

1.女性が陥りやすい危険なダイエット

 今の若い女性によくあるダイエット法として食事制限というものが挙げられる。運動する時間がなく、高いダイエット食品を買うお金がない若者は自分が少し我慢するだけですむ食事制限というダイエット法に手を伸ばしがちだ。理想的な食事制限法は、消費するカロリーと摂取するカロリーのバランスを考え、糖質・タンパク質・脂質・ビタミン・ミネラルの栄養素をきちんと食事に取り入れたものである[1]。しかし若い女性がしてしまう間違った食事制限法は、野菜だけしか食べない、果物しか食べないなどといった1品だけを食べるダイエット法や朝食のみしか食べないといったように食事の量を減らしてしまうダイエット法であり、非常に危険な方法である。ただ体重を落としたい思いからこのようなバランスの取れていない食事をしてしまうのではないか。体重は確かに減るかもしれないが、きれいなプロポーションにはならないし、なにより摂食障害というような病気にかかる可能性が非常に高くなる。

 

 

2.摂食障害とは

摂食障害とは体重と食事に関するこだわりと、そのために生じる拒食、過食、嘔吐や下剤乱用といった排出行為などの問題行動が悪循環をなして肥大化し、自分ではそこから逃れることが難しくなった状態である。慢性化しやすく、このような状態を放置しておくと二次的にも大きな問題を残す。身体的な合併症は勿論だが、思春期、青年期といった精神発達上最も重要な時期を、食事や体重のことのみを考えて過ごすことの心理面や人生への悪影響はとても大きいのである[2]傾向としては拒食症と過食症を繰り返すパターンが多く、“ダイエット→拒食症→食べなくてはいけない→ストレス→過食症→食べ過ぎてしまった後悔→嘔吐や下痢→後悔から拒食→ストレスにより過食”となりやすい。近年患者数が急増し、1000人に1人がかかりうる病気だといわれている。さらに、男女の割合で見てみると、男性が摂食障害にかからないわけではないがその占める割合が約5パーセント、女性が約95パーセントと大半を占めている。思春期におけるダイエットが原因だと思われる。また拒食症患者の特徴としては、自分が拒食症であることを自覚していない、活動的に動き回る、痩せているのにまだ自分が太っていると思っている、などがあげられ、逆に過食症患者の特徴としては、自分が過食をしていることに嫌悪感を持っているので比較的自覚はできる[3]。どちらにせよ心身に大きな負担がかかっていることは言うまでも無い。

 

 

3.摂食障害による死亡事故とその後の取り組み

拒食症で死亡する人は68パーセントいるといわれている。その原因は栄養失調、食事を摂らないことによる低血糖、嘔吐や下痢による低カリウム血症である[4]。以前摂食障害による死亡事故が海外で発生した。日本だけにとどまらず海外でも問題として取り上げられているのである。200611月にブラジル人モデルが拒食症のため死亡した事件について、そのモデルは当時、174センチの身長で体重はわずか40キロだったという。さらに2人のウルグアイ人モデルが心不全で死亡した事件に関しても、摂食障害と薬物乱用の疑いを呼んだことから、摂食障害は直接死に結びつく極めて危険な病気だということがわかる。そのような事件を背景に各国でファッション界における新たな動きがみられるようになった。スペインとイタリアは、事件後早々とBMI指数18以下のモデルをショーに出場させることを禁止する規制を設けた。また、16歳以下のモデルはファッションショーに出場することを禁止したり、ショーに出場する者は事前に健康診断書を提出しなければならないなどの取り決めも行われた。ファッションショーでのガイドラインが設けられるのは、モデルに憧れる女性に「痩せること」に対して間違った知識を植え付けないようにするためだと考える。モデル界におけるこういった取り組みは非常に効果的ではないかと思う。女性はモデルに憧れを抱き、「自分もあんな風になりたい」とそこからダイエットを決意する人もいる。私は理想の女性像として鏡になるべき人は、ただ痩せているだけでは物足りない気がする。スレンダーな体つきの中にも女性らしさを持っている人が魅力的だと思う。このモデル界での規制が崩れないできちんと守られていくことで若い女性への影響もいいものに変わっていくと思う。

 

 

4.考察

摂食障害の危険性を細かく調べることによってとても恐ろしい病気なのだと感じた。今の若い女性はダイエットに対し、過剰なまでに敏感になっていると思う。さらにこれからの季節を意識してか本屋の店頭には多くのダイエット雑誌が出回っていることにも気付いた。女性が痩せたいという願望を持つのは自然なことだし、痩せて自分に自信が持てるようになることはすばらしいことだと思うが、あくまでも健康的な痩せ方を心がけてほしいと思う。摂食障害にかかると、せっかくきれいになろうと思っていた身体も心もすべてが蝕まれてしまう。「短期間で痩せたい」「ラクして痩せたい」と思うかもしれないが、それで間違ったダイエットをして摂食障害にかかってしまったら必ず後悔だけが残るはずである。きれいに痩せるのに1年かかったとしても、それから先自分に自信をもつことができるのならその1年は自分を磨く時間として考えるべきだと思う。

そして、痩せたいと思う女性を1番刺激しているファッション界、モデル界は取り決めを守り、また新たな規制を取り入れるなどしてさらによい方向へと業界を盛り上げていってほしいと思う。



[1] 理想的な食事の摂り方 http://osaka.cool.ne.jp/mayu9330/diet4.htm

[2]  摂食障害の基礎知識 http://www2.wind.ne.jp/Akagi-kohgen-HP/ED.htm

[3] 症状 過食症・拒食症 http://dreambox.sunnyday.jp/stress/stress_30.html

[4] 若い女性に多い摂食障害 http://kk.kyodo.co.jp/kenko/thema/20040907.htm