070168yamamoto
山本 泰「地方観光と交通網〜鳥取県〜」
鳥取県における観光は停滞している。すべての地域において停滞しているのではなく、減少している地域と増加している地域に分けられる。その分けられた地方は東部・中部・西部と区分が同じであり、西部は増加、東部は停滞、中部だけが減少気味である。今回は観光増加傾向の西部と停滞気味の東部を比較して検討していきたい。東部地方には『鳥取=砂丘』のイメージが強い鳥取砂丘があるが、そのイメージは観光には繋がっていない。映画の公開などで鳥取砂丘も観光客をつかんできているが、やはり西部地方の『水木しげるロード』が鳥取観光の中心である。
なぜ西部地方の観光客が増加しているのだろうか。東部のほうが人口の多い大阪などに近いのに、東部の観光客数が停滞しているのだろうか。
その答えが交通にあると思う。現在、日本は車社会になっていて、どこに行くにも車である。そこが東西地方の観光のちがいである。
1.東西の最寄りのIC〜県越えIC〜
東部にある鳥取砂丘は最寄りの高速ICは、岡山にある佐用ICから1時間半。西部の水木しげるロードは同県にある米子ICから30分である。最寄りであっても3倍も違い、東部は県境になる峠を越えなければならないのである。そのことが運転手に東部地方に行くのを拒ませる理由の一つのように思われる。中部地方は最寄りのICは西部にあるICであり、米子とは約50キロメートル離れているが中部にはICは存在しない。
2.東西道路網〜出荷のちがいが道路違い〜
どうして西部の方は道路網がしっかりしているのかは、港と深い関係があると言われている。西部には境港という港市がある。境港は数年前まで全国でも屈指の水揚高を誇っていた。水揚された魚はトラックに乗せられ全国に出荷されていたのである。
道路網と経済はとても関係していて、輸出入もために高速道路を造る理由にもなっている。そのために東部ではあまり道路網が整備されていない。
3. 鳥取横断県〜30キロを90分〜
鳥取県は全長約120キロしかない県であるが、横断するのに車で約4時間近くもかかってしまうのである。全国的に見ても、宮崎と並んで高速道路などの道路網が設備されていない県でもある。ひどい所になると、直線距離で30キロメートルを進むのに1時間半もかかるところもある。それによって、県内者だけでなく県外者の観光客も東西横断をせずに帰ってしまう傾向にある。それによって、西部は西部の、東部は東部の、中部は中部の、といった旅行になってしまうのである。独立した観光を地域で連携した観光にするのにはやはり、東西に横断しやすくなる道路網が必要なのである。
仮に東西横断道路ができれば、東部・中部・西部と観光の広がりがあり、停滞していたり、低迷していたりする地域にも新たな風が吹くことになる。
3.道路財源凍結〜今後10年後に7200億円〜
地方格差是正のために10年で7200億円が必要となると報告があり、これによって鳥取米子間を1時間にする構想がある[1]。しかし、最近話題に上った道路特定財源廃止や普通財源に移行することで、536億円が凍結する[2]。そのように凍結することで、県や市町村の負担が大きくなり、また工事の延長をせざるを得ない。
4.山陰道完成〜10年が24年に〜
前項にあったように山陰道(高速道路)が完成するまでに10年かかるが、道路特定財源凍結によって24年かかるようになってしまう。地方道路整備には、やはり走路特定税源が必要になっているのである。
都市部や大型の国際港では、高速道路に入るまで10分かかるのを5分にする計画が政府によって提案されて議決されている。どうして都市部中心で地方が置いてきぼりにされているのだろうか。
完成が遅れると、観光だけでなく、経済面や就職面、人口面でも影響が出てくる。鳥姫線(鳥取と姫路をつなぐ高速道路)は、関西圏と1時間通勤圏になり、就職先、または人口増加にもつながるのである。
5.まとめ〜地方と交通網〜
最近はガソリン価格高騰で車での観光は少なくなる傾向にあるかもしれない。だからこそ、道路がない地域にとって道路が必要になるのではないだろうか。今まで道路がない状態で工夫し辛うじて観光で地域を盛り上げてきた。そこにガソリン高騰が観光を遠ざける。しかし、道路整備をすることで、観光をもりあげる一要因になると思う。
地方にとっては交通とは、生活の一部だけでなく、他県との交流や経済にも大きな役割がある。だからこそ、地域には道路網の整備が重要のような気がする。
[1] 鳥取WEBサイト http://www.pref.tottori.lg.jp/dd.aspx?menuid=74742 (7月2日参照)
[2] 鳥取WEBサイト http://www.pref.tottori.lg.jp/dd.aspx?menuid=74743 (7月1日参照)