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五代儀あや「カラーセラピー 〜人々の心に変化をもたらす色〜」

 

 忙しい現代人にとって、「癒し」は必要不可欠なものである。アロマテラピー、フラワーセラピー、スピリチュアル、前世療法など、人々に「癒し」を連想させるキーワードは数多くある。では、「セラピー」とは実際どのような定義なのか。

 

セラピー【tharapy

治療。療法。薬品や手術を用いないものをいう。テラピー。

(広辞苑 第五版 逆引き広辞苑 岩波書店)

 

直接私たちの神経や五感に働きかけ、内面からリフレッシュさせてくれるもの、それがセラピーである。その中でも、意識せずとも私たちの身の回りを彩る「色」による癒し効果について考えてみようと思う。

 

カラーセラピーとは、人の心と体に深く働きかける色彩の効果を用いて安らぎを与えたり、心身のバランスを整えるものです。
私達のまわりには、たくさんの色が溢れ、あなたが無意識に選ぶ色には、ご自分の内面を見つめ直すメッセージがこめられています。(カラーセラピー&アロマスクール http://www.pastelcolors.com/color.html )

 

カラーセラピーの歴史は古く、古代エジプト(BC1500年頃)の医学書であるエーベル・パピルスには色彩を用いた治療法が記されている。[1] 原始時代から文明の域へと進んだ時代、古代のエジプトやインド、中国、ギリシャでは、色が発するメッセージを本能的に感じ取り、治療に役立てていたそうだ。
 例えば、飲み物や食べ物に色の光線を照射したり、特定の色の部屋に病人を寝かせて治療するなどという治療法が採られていた。古代中国では、しょうこう熱の患者には赤色の光線を注ぎ、腸が痛む人には体に黄色の塗料をぬり、黄色のカーテンを通して黄色の光線を通して治していた。色彩と人間の生命を調和させ、自然の法則とリズムに従うという古代の知恵。これが色彩療法だったのだ。[2]

 

次に、実際に証明されている「色」の持つ効果について触れてみようと思う。まず、大きく暖色・寒色の二つに分類した観点から見てみる。

暖色(赤・橙・黄):太陽や火を暗示する色。よって心理的に暖かさを感じる。

寒色(青・青緑):海や空、氷を暗示する色。よって心理的に冷たさを感じる。この性質から、実験によると赤い部屋と青い部屋の心理的温度差は約3度といわれている。

また、暖色と寒色では、時間の感覚も異なるという実験結果である。

時間の感覚が早く感じられるのが暖色系の部屋にいるときである。なぜならば、刺激を与える色なので疲れやすく、集中力が散漫となり落ち着きをなくす傾向があるためだ。逆に寒色には、刺激を和らげ集中力を高める効果があるので、時間の回転が遅く感じられるというわけだ。

また、色の明暗、濃淡によっても感じ方は異なる。明るい色、薄い色ほど軽く、暗く濃い色ほど重いという印象を与える。黒と白の、同じ大きさ・重さ・形のものを持つと、黒いほうが白いものよりも1.87倍重く感じられる、という実験結果がある。[3] 

 

普段何気なく目に入ってくる「色」というものは、光の波として目から入り、神経に伝わって脳の中のホルモン分泌器官の働きを統制している視床下部という所に、色の情報が送られる。その色の違いで、分泌されるホルモンの種類や心や身体にも深く関係してくるのだ。[4]

医療の現場においても、新生児の黄疸治療に青〜緑光を当てる光線療法が用いられたり、紫外線の殺菌作用が医療・食品・水施設において利用されていることが知られている。[5]

 このように、「色」の効用は精神面だけでなく、広い分野で注目されている。

 

一言にカラーセラピーといっても、様々な種類がある。カラーボトルを選ぶこオーラソーマ、光線を体のツボに照射するカラーバンクチャ―、色をイメージしながら呼吸をするカラーブリージング、絵や写真を用いるアートセラピーなどだ。

 

 カラーセラピーだけでなく、カラーコーディネーターや色彩検定などの「色」に関する資格は、若い女性を中心に人気の資格である。ファッションやメイク、インテリアなどの実生活にすぐに役立てることができる、という点が人気の理由であると思う。

 

普段何気なく接している「色」の世界によって、実は私たちの心は大きく左右されている。また、そのときの精神状態によって、私たち自身でそれぞれに必要な「色」を心で選び出しているのだ。つまり、私たちは無意識のうちに、日々の中で簡単なカラーセラピーを行っているということになる。

最も身近な「色」による癒しや、その効用を生活の中でうまく取り入れることができれば、余暇をさらに有意義なものにすることができるのではないだろうか。



[1] TRUE COLORS http://www.t-colors.com/modules/color_therapy/index.php 2008.6

[2] Lumiere  http://lumiere-colors.com/irokoramu.html 2008.6

[3] カラーコラム http://www.geocities.co.jp/Milano/6706/coram.htm 2008.6

[4] Ispotコラム http://salon.ispot.jp/doctor/color/therapi_k/ 2008.6

[5] 脚注1に同じ