余暇政策論

国際学部国際社会学科2年 070108K 井手まどか

 

「大人の習い事」

 

1.     はじめに 日本人の労働時間と習い事の普及

 現代の日本人の総労働時間は国際的にまだまだ長1800時間を越え、フランスやイギリスと比較すると400~500時間も長く働いている。しかし、週休二日制の導入等の余暇政策により、労働時間は昔に比べれば短くなった。社会人の大人たちは、それにより生じた余暇を様々な方法で楽しむようになっているように思われる。レジャーや旅行等、たくさんの余暇の過ごし方が現代には存在する。私はその中で、CMや雑誌等により宣伝活動が広く行われるようになっている「習い事」による余暇の消化を取り上げた。習い事、と聞くとピアノや書道等が主に浮かんでくるだろう。しかし、現代においては様々な種類の習い事が増えているようだ。余暇を楽しむだけではなく、資格を取得できるものも数多くある。資格を重視しがちな傾向にある現代日本で、このような習い事の宣伝はいたる所で見受けられるだろう。しかし、一見楽しみのように思える習い事でも、それにはメリットとデメリットがつくものではないだろうか。例えば、金銭面や時間の制限というものが挙げられる。私はこれらを考慮していき、余暇としての習い事がどのような存在であるかを考察していきたい。

 

2.     習い事の種類

習い事には様々な種類がある。

     ピアノ                   ・ヨガ                          ・英会話

     茶道                      ・格闘技                      ・簿記

     華道                      ・メイク                      ・保育士

     絵画                      ・着付け                      ・旅行管理者

     料理教室               ・ソムリエ講座            ・建築士

     パソコン               ・声楽                          ・探偵養成       …etc.

他にもまだまだ沢山存在する。趣味等のものから仕事に活かせるものまで、その範囲は広い。最近では、紅茶で有名な「リプトン」が主婦層をターゲットとしたと見られる「紅茶教室」を開いている。また、習い事で有名なのは「ユーキャン」だろう。通信講座を通した生涯学習をテーマにしており、その種類はボールペン字や介護事務等、広くに渡っており、今でも習うことができる講座が新たに開設され続けている。そして、日本では普及していないが海外では人気である分野のものも増加しているようだ。海外から特別講師を呼び、講義を開設するスクールもあり、習い事の分野でもグローバル化が進んできているのだろう。

 

3.     性別と年齢による人気

 インターネットで習い事を調べていると、女性を対象にしたようなものと、逆に男性を対象にしたもの等、性別間で紹介する習い事に相違があるものを多く発見した。もちろんどちらも対象としたものもあるが、男女で比較すると、人気に差があるようだ。

 女性に人気の習い事は、順位こそはつけられないものの、20代以下の女性たちには英会話やピアノ、料理、パソコン、ダンス等が人気のようだ。30代、40代の女性には英会話やダンス、スポーツ。そして、50代以上の女性には、パソコンが人気のようだ。また、全年代を通して人気であるのは、ダンスやスポーツといった、体を動かすもののようである。女性ならではの美への追求が伺えるのではないだろうか。

 次に男性だが、男性もエステや料理をすることが珍しくなくなった昨今では「男性専用」の習い事が増えているようだ。その中で、20代男性に人気のものは、英会話やパソコンという風に、女性とさほど変わりはない。しかし、年齢を経るにつれ、料理や音楽、絵画といった、ゆっくりしたものを好む傾向にあるようだ。また、最近では中高年の男性間で密かに「そば打ち」が人気を博しているようでもある。

 

4.     習い事が与えるプラスとマイナスの影響

全体的に見て、プラスの面が多いのではないだろうか。新たな自分を発見することができた、同じスクールに通っていた人々を通して交友関係が広まった、等の社会的メリットが多いように思われる。また、運動系の習い事をすることによる健康の促進や性格の変化という内面での利益もある。しかし、習い事を始めるのにまず必要なものは資金だろう。大体で、月に数回のレッスンで1万円以上はかかるようだ。特に、英会話等の語学系統は1年間を通じて入学金とは別に10万円以上払う場合も少なくはない。金銭面では全体的に高額であると言えるだろう。また、習い事に費やす時間も問題である。仕事を持っている人々にとっては、デイタイムで講義を取っている場合だと都合が合わない日も出てくることだろう。そのような時は習い事を休まねばならず、金銭の無駄遣いとなってしまう。他にも、習い事を始めてみたはいいものの中々上達せずに苛々したり、のめり込みすぎるあまりに家族や友人関係をないがしろにしてしまう場合も出てくるだろう。だが、メリットとデメリットは表裏一体であり、習い事をどのように感じるかは実行しているその人次第であるのではないか。

 

5.     終わりに 考察

 「習い事」と言えば、小さい頃は親に「やらされている」感が強かったように思える。自分が本当にしたいことはあまり実現せず、不満を持った思い出を抱く人々は多いのではないだろうか。しかし、大人の習い事が広く普及している日本において、好きなことができる機会は多々ある。習い事は、年齢に関係なくいつでも始められるものであり、自分を高められるものではないだろうか。確かに、金銭面等の問題はあるかもしれない。しかし、少し余裕のある時や老後の楽しみといった形で習い事を始めてみるのも良いかもしれない。特に老後の場合、夫婦だと趣味を持った二人と持たない二人の離婚率は違うらしい。このような面からでも、資格を取るためではなく、趣味や自己利益のためにと考えることができるのではないだろうか。自己をより高める方法として、習い事は一つの方法であり、資格を取るにしても趣味だと考えるにしても、人生を脚色していく上で重要な位置に存在していると考察する。

 

 

■参考サイト■

LIFE PlusHP http://www.lifeplus.tv/index.html

東京電力 テポーレ http://www.tepore.com/research/co/061026/index.htm

生涯学習のユーキャンHP http://www.u-can.co.jp/index.html

ケイコとマナブ.netHP http://www.keikotomanabu.net/