050573A 鈴木佑佳子

余暇をパチンコにつぎ込む人々

 

1.はじめに

 現在は様々なレジャー施設があり、子供からお年寄りまで、広い年齢層の人々が彼らなりに楽しむことができる。そのひとつとして、そして日本特有の娯楽といえば、パチンコを挙げられるだろう。パチンコを打ったことのない人でも、それがどんなもので、どのようにして遊戯するのかだいたいのイメージはあるだろうが、パチンコに対して良いイメージを持っている人は少ない。

 そして私自身、遊戯はしないものの、アルバイトを通してパチンコというものが身近になった。そのため、余暇とパチンコについて論じていきたいと考える。

 

2.パチンコ遊技者の現状とその問題

 日本に初めてパチンコ店がオープンしたのは1930年である(¹)。戦後、徐々に増加したパチンコ店は庶民の娯楽となった。パチンコを遊戯する人々には大きく分けて2つのタイプに分けられるだろう。まずは、週に1回、ないし月に2〜3回、遊び感覚で行く人々。そして暇さえあればパチンコに行くというような人々(ヘビー層)。時間も1〜3時間程度の人や、中には10時間以上も滞在する人もいるのが事実だ。

 ヘビー層の人々の場合、パチンコ依存症となっていることが多くある。そしてしまいには消費者金融などから借金を抱えている人も稀ではない。大型パチンコ店のすぐそばに、キャッシングがあることも見受けられる。そのような人々はなぜそこまでパチンコにのめり込むのであろうか。

 それとともに、長時間にわたる子どもの車内放置などの問題もある。数年前から、夏場冷房のない車内に子供を置いて、当人はパチンコに夢中になり、子供が死亡するという事件が起きている。炎天下の車内は非常に高温になり、熱中症や一酸化炭素中毒という原因により幼児が死亡している(²)

 

3.店舗の視点から

 そのような問題があるため、徐々にパチンコ・パチスロ人口は年々減少傾向にある。特に、昨年の夏、スロットの5号機導入以降のパチスロ人口は大幅に減少し、パチスロ専門店は経営が困難に、そしてパチンコ店も、スロット台数の削減などを強いられてきた。その原因は、賭け金に対しての見返りが減少したことによる。そこで、店舗は、集客のために辛労をしなくてはいけなくなった。

 ホール最大の集客メディアは遊技機である。しかしながら、全日遊戯執行委員会において北海道洞爺湖サミットの開催に伴い、そのテーマが「環境問題」であることから、地球温暖化防止対策として遊戯機の入れ替え自粛を行う旨が合意された。遊技機を廃棄する際に出る二酸化炭素削減のためだ。地域によって異なるものの、6〜7月の約2ヵ月間は台の導入ができないのである。ということは、集客力が落ちるのである。そのため、ユーザーを飽きさせないために、ホールは他の集客方法を思案しなければならない。

 そこで重要になってくるのが、メール配信や広告、CMやイベント開催である。しかしそこにも様々な問題があるのが事実だ。各地区によって店舗独自のCM規制や広告規制などがあるのだ。中には、イベントの開催さえも規制されている地区もあるのだ。

 そんな中、私が携わっているアルバイト、各パチンコ店独自のイベントも非常に有効だ。イベントと一言で言っても様々なものがある。例えば、月に1度開催される、全機種全台を対象としたものや、ある特定の機種を対象としたもの。リニューアルオープンでのイベントだ。遊技者のイベントに対するイメージは、“通常より勝ちやすい”というようなものだ。そのため、イベント開催日には通常より多くの客が来店する。実際に私は先日、鹿沼市にあるパチンコ店の仕事で各遊技者にアンケートを行った。そのアンケートには「イベントを開催することはどう思うか?」という設問があった。アンケートに答えてくれた130名の答えをみると、「非常に良いと思う」と回答したのがほぼ100パーセントであった。このことからも、ユーザーのイベントに対する期待度が高いということが読み取れるだろう。

 

4.考察

 現在のパチンコ業界には遊戯人口の減少や様々な規制があるのが実情だ。しかしながら、日本全国、どこへ行ってもパチンコ店が多く存在するのもまた、事実だ。それはパチンコファンの人々が支えているおかげだ。現在のパチンコ人口は1710万人である(³)。日本の人口を1億2千万人と考えると、7人に1人という計算だ。パチンコ人口が減少傾向にあるといわれているものの、7人に1人と考えると決して少ないという印象は受けないだろう。そのためパチンコ店は存続しているのである。

 各店舗が様々な集客方法により、顧客獲得をしようとしている。特に6・7月のイベント開催をしている店舗は通常よりも増加した。それは私が実際に仕事をしていて感じた。新規店舗へ仕事に行くことが多かったのだ。

 このように、厳しい状況の中のパチンコ店の生き残り混戦は終わることはないだろう。しかしまだまだ私の知らない集客のための難儀はあるのだろう。これから、アルバイトを続けながら、それを探っていきたいと考える。

 

 

参考文献

(¹) Wikipedia 

http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%91%E3%83%81%E3%83%B3%E3%82%B3 (2008/07/01現在)

(²)パチンコ&パチスロ必勝ガイド

http://www.byakuya-shobo.co.jp/pachinko/child/p04.html#Nengetsu (2008/07/01現在)

(³) P-WORLD 全国パチンコ店情報

 http://www.p-world.co.jp/news2/2006/7/28/news1805.htm (2008/07/01現在)