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高橋瑞希「余暇市場を支えるパチンコのこれからを考える」

 

レポートを書くにあたって

「パチンコ」という単語を聞いてどのようなイメージがあるだろうか。

 

平日の新聞の折り込みチラシの半分程度がパチンコ店のちらしであるし、いまやパチンコ店は町のどこかには必ずあるもので、行ったことがない、やったことがないという人も、今までにパチンコ店を見たことがないという人はおそらくいないのではないだろうか。それほどパチンコというものは現代の生活において浸透していると考えられる。

 

私は最近余暇時間にパチンコに行くようになった。つい最近までは今まで家族にパチンコをする人もいなかったし、友人ともパチンコについて話題がのぼることもなく、パチンコとは無縁の生活を送っていたため、パチンコ店自体が私にとって未開の地であった。そのため、パチンコ店に行くようになってから自分が思っていた以上に日々の余暇時間をパチンコ店で過ごす人がいることがわかり、この“遊戯”というジャンルのパチンコについても余暇をテーマにしてレポートを書くにあたって十分な題材になるのではと思い、「パチンコ」をテーマに設定した。

 

 

パチンコ業界の現状と課題

パチンコ業界は、日本の余暇市場約82兆円の3分の1以上の規模を占めており、パチンコホール業界は約30兆円の巨大市場を形成している。しかし、近年パチンコ業界の深刻なファン離れが起こっている。

 

 『レジャー白書2005』のデータから見て、パチンコの参加人口は現在減少傾向にある。このファン離れの最大の原因として考えられているのが「遊戯料金の高額化」である。その他にはパチンコ業界のダーティーなイメージ(遊技機やホールの不正、脱税や暴力団とのつながり)等が考えられている。しかしパチンコの参加人口は減少していても、市場規模は横ばいであり、一人当たりの年間遊戯料金が増加していることからも、かなり遊戯料金の高額化が進められていることがわかる。そして、『パチンコに関する世論・有識者調査』から見て参加人口減少によって減ったファン層は、遊戯金額の増加に耐えられなくなったそれほど熱心でないパチンコライトファン層であることがわかる。

 

 このパチンコの遊戯料金の高額化を引き起こす原因としてパチンコ・パチスロメーカーの寡占が考えられる。これらはパチンコ台を生産するために加盟しなければならない日本遊戯工業組合やパチンコ台販売の条件として受けなければならない保安電子通信技術協会といった組織の存在があり、これらの厳しい審査や検定がパチンコ業界への新規参入を事実上不可能としていることで寡占が起こり、遊戯料金の高額化を生み出している。

 

 これらの原因によってパチンコ参加人口が減少し、パチンコファンのヘビー化が進んでいる。これがパチンコ産業の現状である。パチンコ産業はその収益から見ればまだ下火ではないものの、参加人口が減り、さらに新規参入が難しく、ただでさえ少しダーティーなイメージがあり、そのイメージによってのみ左右されてパチンコ店の敷居をまたがない人が少なくはないし、課題は山積みである。ではここから先はパチンコファン離れをパチンコ業界はどのように捉え、ファンを獲得するためにどのような取り組みを行っているのかについて自分自身もパチンコ店へ赴くことによって見ていきたい。

 

 

パチンコ業界の取り組み

 イメージ払拭や新規の参加人口を増やすためにパチンコ業界ではどのような取り組みがなされているのか。ここではその取り組みについていくつか見てみたい。

 

 まずはどこでも行っているような取り組みとして無料ロッカーサービス、コーヒーサービス(ドリンクの巡回販売)などが挙げられる。

 

 それから、携帯電話の無料充電器完備や雨の日の傘の無料貸し出しを行う店舗やイベント時(たとえばバレンタインの日ならチョコレート)にはそれにちなんだお菓子を配ったりする店舗もあり、最近では長時間パチンコホールで過ごすことができるように漫画や雑誌のコーナーを設ける店舗が増えている。これは離れ行くパチンコライトファンなどあまりお金を使いたくない客層、パチンコに熱心でない客層には有効だと思われる。また、遊戯料金は高額化の一途をたどっているが、それに伴って最近は1円でパチンコ玉が借りられる1円パチンコの機種が増えている。ゲームセンターなどのパチンコよりも安く遊戯をすることができ、学生やフリーターなどにはありがたいサービスだといえる。

 

 さらに、新規ファン開拓にあたって女性ファン獲得にはどこも熱心で、ひざ掛けの貸し出しサービス、煙の充満するイメージの払拭のため、空気洗浄システムを使った分煙化も多くの店舗で進められている。しかし、個人的な感想からすると、この分煙化についてはまだまだ徹底されておらず、世間が嫌煙の流れである今、もう少し工夫が必要といったところである。

 

 ほかに、大学全入時代に対応して、パチンコ奨学生制度を作ろうとする動きがあることもわかった。パチンコ店のアルバイトの時給は1000円以上が相場であるし、これは需要があるのではないかと私も感じる。

 

 

まとめと感想

 調べてみて、パチンコ市場が日本の余暇活動においてこんなにも大きな市場を持っていることから始まり、それなのに実情としてはファンが減り、パチスロ人口が減少傾向にあること、その背景には遊戯料金の高額化、新規参入の難しいパチスロメーカーの事情があることなどすべてが考えてもみなかったことばかりで、得るものが多かった。

 

 知人に聞くところによると、パチンコ業界の取り組みであげたような多様なサービスはやはり規制が厳しくなり、ファン離れが起こり始めたあたりからのものらしい。それによって、これから客側のニーズは増えていくだろうし、これからパチンコ業界では、“出る”、“出ない”だけではなく、どれだけサービスが充実しているかやホール内の環境がいいかが問われるようになっていくのではないだろうか。

 

私個人としては、最後にあげたパチンコ奨学生制度が楽しみである。そして、これからパチンコが総合アミューズメント施設としてやっていくためにはやはり部分禁煙でなく、店舗内にホールを2つ作るなどして禁煙を徹底することを提案したい。余暇活動を考える上で重要なポジションにつけているパチンコ業界がこれからどのように時代にあわせた変容をしていくのか今後も一ファンとして見ていきたいと思う。

 

参考文献・サイト

『レジャー白書2005』社団法人 中央調査社

パチンコ・チェーンストア協会(PCSAhttp://www.pcsa.jp/index.htm

コンサートホール今泉店 http://www.p-world.co.jp/tochigi/c-hall-i.htm

                   (参照日はすべて2008630日)