2005年度「地方自治論」
レポートに対する担当教員(中村祐司)のコメント
(各タイトルをクリックすると各レポートが提示されます)
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氏 名 |
テ ー マ |
1 |
相馬敦 |
天下り論を展開したこと自体が、その真偽はともかく大変興味深い好レポート。「自分の土地の歴史にもっと触れなければいけない」と考え、これを実行する若者世代が増えれば、地域社会のしくみを変える新しい原動力が生まれるかもしれない。 |
2 |
玉手里佳 |
郵政民営化の大枠を提示したという点では読み手の手助けになったことは事実であろう。「過疎地域にある民間商店に業務を委託する」という発想は面白い。テーマ設定に成功したのだから、この部分の掘り下げをメインにした方がよかった。 |
3 |
大嶺さなえ |
読み始めは関心が掻きたてられなかったとしても、読み進めるにつれて、どんどん引き込まれていく好レポート。夢の部分と現実の厳しさという両側面をしっかりと記述している。何かを作り上げ、これを継続していくという意味では、工芸の世界でやっていくことの困難さは、他の領域においてもそのまま通じることなのであろう。 |
4 |
赤羽信彦 |
「複式学級を解消するための取組と課題―宇都宮市の小規模特認校を事例に―」 テーマをめぐる基礎知識と課題とを無駄なく簡潔に説明しているので、「複式学級解消論」も決して唐突な提案といった印象は受けない。さらに現制度の具体的変更案も提示されている好レポート。対象地区は県内トップの魅力的な教員発信地となる可能性も秘めているのではないだろうか。 |
5 |
田村幸子 |
人材派遣制度について言われる一般論と総論が提示されている。広く浅く話しが進められているため、全体像は浮かび上がってくる。ニート論や政府の取組みにしても個別具体的な追求がほしかった。 |
6 |
山岸博幸 |
テーマに絡む実際の部分が良く分かる。いきなりは無理と理解するのか、変化が緩く遅すぎる理解するのかの判断は難しい。しかし、指摘されているように、この制度は公共サービスの在り方(とくに担い手)を考える上で、既存のしくみに対する揺さぶりを仕掛けていることは確かであろう。 |
7 |
浅田有希 |
関連のインターネット情報を丁寧に当たった上で、各議論をうまく交通整理している好レポート。担当省庁が諸外国と比較した上で必要論を展開している、といった紹介など、大変興味深い。決してバラ色ではないものの、活性化の可能性により軍配を上げる作成者の見解を読み手はすんなりと理解することができる。 |
8 |
田中美希 |
関連データを良くまとめているし、開催の結果としての果実をめぐる光と影の部分を浮き彫りにすることに成功した好レポート。各種の費用提示によりかえって論が締まったものとなった。そして派手で豪華なオリンピック関連諸施設よりも、歴史と伝統を有するお寺の存在に目を向けている点も面白い。 |
9 |
片桐梓 |
「柏崎刈羽原子力発電所及び柏崎刈羽地域を事例とした地域住民への保障」 「アメ」として巨額(税金)が投入されている一端が紹介される。ハード・ソフト両面でのパフォーマンスの強度の点で、国・自治体に地域社会・住民が圧倒されてしまう現実が浮かび上がる。だからこそ後者の積極的な問題発信こそが、今最も求められているのかもしれない。 |
10 |
廣瀬実則 |
米の食糧管理政策に翻弄され続けた農家と近年の政策転換について、その全体像をよくまとめている。地元の集落営農の事例紹介が興味深いがゆえに、ここをメインに技術的課題の側面など別な視点も加えて考察してほしかった。 |
11 |
塩崎佳那 |
「外食産業における地方分権〜その必要性と地域における可能性〜」 ファミレスの分社化と分権化との共通項を、事例を丁寧にまとめつつ浮き彫りにした好レポート。外食産業マネジメントと消費者主権とが相互に連結し始めていることが分かるし、地域性や地域主権の価値が読み手に説得力を持って迫ってくる。あたかも企業の方が行政以上に分権的価値の追求を実践しているかのようである。 |
12 |
大橋友梨 |
「食」は人間生活の原点であり、本来おろそかになってはいけないものなのに、現実とのギャップは大きく、これを懸念するレポート作成者の危機感が読み手に伝わってくる。子どもの頃からの理解と実践、男女間における一方的な負担解消などがポイントになるように思われる。 |
13 |
上田紗織 |
市民農園や都市農村はとくに退職後の生きがい追及のささやかな場として、全国的に静かなブームを呼んでいるのであろう。都市住民を呼び込むことだけで終わらずに、ここから何らかの形で都市住民と農村住民、都市住民間の交流や、農村住民間での地域活性化につながる連携事業の創出、それを後押しする行政の努力が不可欠なのであろう。 |
14 |
中富千尋 |
先進的な環境政策を進めていく上での実践的な主役・担い手は国家よりも地方政府であることが分かる。エネルギー供給においても、気候や地形、さらには風土など当該地域における固有の環境状況にあった対応(風力の利用など)が本来は求められるべきなのであろう。 |
15 |
櫛田裕人 |
まさに「企業と消費者のちょっとした気配り」が解決の糸口かもしれない。加えて、環境目的税の支払いが消費者をして具体的な行動に走らせる契機となる。事業者負担や顧客流出への懸念など、現場感覚があるからこその問題提示がなされている好レポート。 |
16 |
大宅宏幸 |
たかが名前、されど名前といったところか。新しい自治体の名称は決して霞のようなものではなく、その存在感は年を追って重くなっていく類のものなのであろう。名称は旧市町村の存在意義とも絡む。自治体は人格を持った生きものであるかのようである。このあたりの複雑な状況をうまく整理した上で、新設合併の問題点の一つを鋭く考察した好レポート。 |
17 |
鈴木千晴 |
確かに「グローバリゼーションは、地域性や地域社会を破壊する」側面がある。合併による「大都市化、一体化、均一化」と地域内分権とは果たして両立し得るのか。当該地域の縦軸(歴史)の理解も不可欠になってくるのであろう。 |
18 |
鈴木美裕紀 |
産廃の最終処分場と聞いても他人事のイメージを持つ県民の方が多いはずである。建設推進と「他人の財布から出ている」財政問題とがリンクしている状況がよく分かる。本来は、この問題を契機として「町民を取り巻く諸環境全てを視野に入れた幅広い議論」が起こるべきなのであろう。 |
19 |
中村 祐司(担当教員) |