2005年度「現代政治の理論と実際」

レポートに対する担当教員(中村祐司)のコメント

 

(各タイトルをクリックすると各レポートが提示されます)

 

 

 

氏 名

                テ ー マ

1

越智崇亘

パレスチナ問題の私的考察

連邦制度創出の提案はユニークかつ興味深いのであるから、荒削りの形ではなく、これを実現するために必要な法律や制度の中身、関係者間での調整論や手続論をぜひ具体的に展開してほしかった。

2

三浦晃毅

世界貿易機構(WTO)の多角的貿易交渉(ドーハ・ラウンド)の香港閣僚会議における農業分野の新たな貿易自由化ルールづくりと日本農業のあり方について…

レポートはノートやレジメとは違い、文章化するのが前提である。「今後の展望」のところが作成者による唯一の見解であろうか。それともこれも新聞等のからの引用に過ぎないのか。

3

田中芽衣子

ODAのこれまでとこれから―対中国ODAに焦点をあて―

ODAの概要・大枠を理解する上で手助けとはなった。大きな視野からODA是非論を論じる意味は確かにあるとは思う。しかし、個々の事例から見えてくるものも多いはずだ。「顔の見える援助」の中身は何であろうか。

4

高橋優

国際結婚の婚外子差別―国籍法上の不平等―

つい見過ごされがちな、国際結婚から波及するところの人格にも関わる重要な問題を丁寧に整理・把握した上で自分の見解をはっきりと提示した好レポート。「法律上婚姻関係にない国際カップルから生まれた子どもの国籍」問題は、国家と個人の相互関係を考える格好の素材を提供しているのかもしれない。

5

方波見律子

北京オリンピックー三つのスローガンに関わる現状―

大会を成功に導くためには、都市と農村の格差拡大や環境問題を看過できないことが分かる。「グリーンオリンピック」の成否を判断するには、総論に終始せず、個々の細かな事例を対象とする検証を積み重ねていくのが大切であろう。

6

中村祐司(担当教員)

北京オリンピック大会に関わるインターネット情報から見えてくるもの

7

早乙女貴美子

金日成、金正日の独裁国家形成の過程

レポート作成者の意図をめぐる誤解を招かないためにも、「集中指導作業」の記述などについて、丁寧過ぎるぐらいに資料源をはっきりさせておいた方がいい。そして、特定の資料源に乗る形ではなく、できるだけ見解や立場の異なる文献や情報にも当ってほしい。

8

 

在日朝鮮人の戦後における法的措置

憲法89条との緊張関係、私立学校への助成金問題、裁判事例など、教育面・学校面から考察している点が興味深い。国と地方自治体の対応に温度差がある点も浮き彫りにしている好レポート。ただし、「現状をよく知らない」と指摘するからにはその裏付けの提示がほしかった。

9

松井敬資

日韓両国間の領土問題及び漁業権の問題について

単眼的ではなく、複眼的視点から実に丁寧に複数の歴史情報源に当たり分析した好レポート。「領土問題と漁業権の問題がリンクし始める」歴史的経緯もよく理解できる。しかし、後半は最終パラグラフを除けば感情面を優先させてしまったとも受け取れる記述が続いているようである。国際司法裁判所への提訴が本当に「最良の手」なのか。「自国領土と信じて疑っていない」はどちらも同じではないのか。「武力行使」という言葉をこうもあっさりと使えるものなのか。

10

神戸麻美子

日本国憲法の改憲問題について−第9条編−

9条と日米安保との矛盾は古くて新しい問題である。自衛隊の存在意義をめぐる議論も絡んでくる。アクターとしての政党、団体、世論をうまく整理しているし、レポート作成者の見解が明確かつ力強く述べられている。もう少し全体を凝縮して提示した方がよかったのではないか。

11

真玉橋知香

各国NGOを支える背景とそれに比較される日本のNGOの相違点と問題点

レポート作成者が、背伸びせず等身大の姿勢を保ちつつ、それでいて真正面からテーマを考察している。これが「当事者意識の低さ」の指摘につながった。C-CAPの限界は極めて複雑で錯綜した問題をあまりにもシンプルに象徴化させた点にあるのかもしれない。しかし、後半の展開は独自色が弱まったような総論レベルの話しとなり、日本のNGOが黎明期にあることを指摘すれば足りたのでは、という思いがした。

12

緒方良至

少子化問題―日本の現状と起こりうること―

少子高齢化、年金、医療、市場の縮小、さらにはBRICsの台頭や国政への影響など、マクロな視点から把握しようとする姿勢が貫かれてはいる。各国間比較も興味深いものの、地球規模に言及するのであれば、アフリカ諸国や他のアジア諸国の動態についても触れてほしかった。

13

荒川直大

年金問題についての考察

分かりにくい年金のしくみを読み解こうとする姿勢が終始一貫している。3方式のいずれにおいても課題が山積していることが分かる。政府の見通しが甘かったというのも事実であろう。年金をめぐり負担が増すばかりである若者世代による、こうした向き合い方が大切なのであろう。「すべての問題に自分で考え選択し行動にうつし」というスタンスをぜひ今後も保ち続けてほしい。

 

 

研究室トップへ