Keisukem060123

松井敬資「日韓両国間の領土問題及び漁業権の問題について」

 

日本には、3つの領土問題が存在する。まず、尖閣諸島(中国と台湾が主張)は現在も日本政府が実効支配しており、海保の管理する灯台もあり、日米安保の範囲内と言われている。また、北方領土(ロシアが主張)は元島民が居り、そのため国民的関心も高くノービザで島に入る事などが行われている。一方、3つ目の領土問題である竹島問題は、近年までほとんど盛り上がりもなく、話題に上ることさえ稀だった。最近の切手の発行や竹島の日条例などによって知名度が上昇しつつある竹島について調べてみることにした。

 

まず、竹島に基本情報だが、隠岐島の北西約157km。北緯3715分、東経13152分、島根県隠岐郡隠岐に属す。(韓国名は獨島で、慶尚北道鬱陵郡鬱陵邑独島里に属する)面積は日比谷公園程度、東西の2主島と総計37の岩礁からなり、総面積が日比谷公園並の小さな島々を、日本・韓国・北朝鮮の3国が領有権を主張している。

 

歴史を振り返ってみると、朝鮮最古の歴史書『三国史記』(1145)に「512年于山国が服属を願い出てきた」いう記述がある。また1481年『東国輿地勝覧』にも朝鮮領という記述がある。この于山国が竹島かどうかが争点となっている。1454年『世宗実録』の記述を根拠に韓国側は竹島領有を主張するものの、1417年『太宗実録』での于山島の記述は「15戸の家があり86人の住民がいた」という記述からして竹島ではないと日本側は主張する。

元禄時代に鬱陵島をめぐって朝鮮と鳥取藩と争った際、藩は竹島も版図外と回答した。が、江戸時代になると、幕府が竹島渡海免許を発行した。

 

1692年、鬱陵島に出漁した大谷・村川の一行が朝鮮人と遭遇、翌年にも遭遇して連行したのを契機に紛争が勃発、1696年鬱陵島への渡航を禁止した。さらに問題なのは、今の竹島という呼称が前から使われていたわけではなく、鬱陵島を竹島と呼んだり竹島を松島を呼んだりしていたため地図を見る上でも混乱をしている。

 

 1868年明治政府が誕生した。1877329日、「日本海内竹島外一島ヲ版圖外ト定ム」とする太政官の指令が内務省に伝達された――これを根拠に韓国側は、日本は竹島が朝鮮領土と認識していたという主張をしている(当時の竹島=現・鬱陵島)。19001025日、大韓帝国勅令41号で鬱陵島を江原道の郡に昇格、石島を韓国領とした。その石島を韓国側は獨島と主張しているが、その5年後の1905128日、日本政府は閣議で竹島と命名し、島根県隠岐島司の所管としたことから見ても日本側に伝わってないことを示している。ただ、この時大韓帝国が抗議しなかったことについては、日露戦争中であり1904年に第一次日韓協約で外交部門に日本の推薦者を入れるということが決まってたことからしても、抗議できなかったのではないかという意見が韓国側にある。また、日韓間の条約の正当性についても、日本と韓国で合法性について揉めている。

 

 その後、日中・太平洋戦争という戦争を経て、1945年大日本帝国は降伏した。それに伴い、1946129日・連合国軍最高司令官総司令部覚書667号「若干の外郭地域を政治上行政上日本から分離することに関する覚書」、同年622日・ 1033号「日本の漁業及び捕鯨業に認可された区域に関する覚書」(マッカーサー・ライン)というものが出された。これには、「日本の領土は北海道・本州・九州・四国およびその隣接する島々」という記述があり、領土的にも漁業水域的にも、竹島は除外された。ただし、この覚書には、『日本の領土や管轄権や漁業権を確定する最終的な連合国の政策ではない』と断り書きがある。韓国側は、両覚書を根拠に竹島は韓国に返還されたものとしているが、日本側は、条約の断り書きの点と、両覚書で日本領とされなかった小笠原諸島・奄美諸島・琉球諸島など返還されている点で韓国側に反論している。1949年、米駐日政治顧問シーボルトは「竹島は歴史的にも日本領」と言い、講和条約草案でも竹島は日本領という記述がされている。サンまた、フランシスコ平和条約の「日本国は、朝鮮の独立を承認して、済州島、巨文島及び鬱陵島を含む朝鮮に対するすべての権利、権原及び請求権を放棄する」でも、両国の解釈は異なっており、これが竹島の日本領有を認めたものか領有を定めないものか争っている。

 

 戦後になり、サンフランシスコ講和条約発効3ヶ月前の1952118日・韓国政府は李承晩ライン(目的:韓国付近での漁業を禁止する。竹島などの領有を主張する)を一方的に宣言し、以後13年間日本漁船の拿捕や銃撃事件が相次ぎ、抑留者3929人、拿捕船舶328隻、死傷者44人となった。また、釈放の代償として在日朝鮮人の犯罪者472名を釈放した。このあたりから、領土問題と漁業権の問題がリンクし始める。竹島に話を戻すと、53420日、独島義勇守備隊、竹島に駐屯。同年626日、日本側が竹島に「日本島根県隠岐郡五箇村」の標識を立て、守備隊員6人を追い出す。同年712日、竹島に上陸していた韓国の獨島守備隊が日本の海上保安庁巡視船に発砲する。以後、武装化をすすめ日本の艦船の接近を認めていない。1954925日、日本政府は領有問題を国際司法裁判所に付託することを韓国側に提案するものの、韓国政府はこれうぃ拒否。同年1130日、韓国側が竹島に近づいた日本警備艇を砲撃する。

1965年に日韓基本丈訳調印が調印されたものの、竹島の領有の問題は棚上げされ、今も韓国が実効支配をしており、武装警察官40名と海洋水産部職員3名および民間人2名が常駐している。また、97年には500t級船舶用の接岸施設設置。98年、灯台設置。その都度、日本政府は抗議をしている。

 

また、漁業問題もある。この島の帰属によってEEZの問題も発生するものの、当面の問題は、現状の新漁業協定では、竹島周辺の海域は「日韓暫定水域」とされ、両国の漁船の共有水域となったが、韓国のほうが鬱陵島で補給ができ有利であることと、暫定水域自体、日本のほうに大きく食い込んでいて、日本の漁業には不利だと言われている。また、韓国船による日本の漁業者の漁具への被害が続発し、韓国漁船の漁具などで漁場が占拠されており、日本漁船が締め出されている状況。この状況に業を煮やした島根県は問題継起するために2005316日に議会が、竹島の日条例を可決した。

参考サイト

Wikipedia竹島http://ja.wikipedia.org/wiki/

All about http://allabout.co.jp/career/politicsabc/closeup/CU20050313A/

 

 上記のようにみてきたが、やはり領土問題というのは相容れない部分があると感じた。上の日韓間の意見の相違を見れば明らかなとおり、両国とも竹島を自国領土だと思って疑わなく、相手が間違っていると思っている。

自分の意見は、日本側の主張に沿っている。やはり、日本人だからなのかもしれないが、調べてきた上で韓国側の主張には無理があると感じているからだ。まず、最初の根拠である「于山島」も記述が明らかに一致していない。また、旧竹島=現鬱陵島、旧松島=現竹島、と呼ばれていることから考えると、太政官の指令も鬱陵島を指すと考えられるし、大韓帝国の勅令も石島=竹島だという根拠が皆無で、普通に1905年の日本政府の編入が初めだと考えるからだ。が、1905年韓国が抗議できなかったというのはありうるかと思う。だが、逆に戦後を考えてみると、1952年の李承晩ラインの制定時、日本はまだ主権を回復していなかった。覚書について見てみても、あくまで仮決定のものを本決定事項かのように扱うのはおかしいし、アメリカは沖縄等を返還しているのを見ると、やはり韓国もせめて交渉につくべきではないか。

 

近年、韓国では竹島に対する様々な行動が起こっており、それに感情的な反日も加わって酷いように感じる。韓国には、竹島の歌もあるし切手もある。また、「対馬は韓国領土」だという考えもあったり、政府は政府で今度買ったF-15K戦闘攻撃機に軍参謀長がのり、あえて竹島上空を旋回するなどのパフォーマンスもしている。このように韓国でナショナリズムを煽っている状況下で解決のための手段を考えてみると、かなり絶望的だとわかる。もちろん最良の手は、日本と韓国が話し合いで国際司法裁判所に提訴することを決めて、その判決に基づいて領土問題を解決することだが、韓国側が拒否しているため、それは無理だろう。共同統治案という物もあったとしても、日本人は国民感情的に可能かもしれないが、韓国側は自国領土と信じて疑ってないため無理ではないか。昔の日韓会談では「竹島なんて爆破してしまえばいい」という意見も出たが、いまさらあの島を爆破するのは不可能であろう。日本が引いて韓国に譲渡するという意見も日本国内の一部にはあるが、普通に考えてそれはありえないと思う。そうすると最終的に経済制裁・武力行使あたりに行くということを覚悟する必要があるのかもしれない。フォークランド紛争を見てわかるように結局領土問題は紛争に発展している。考えたくはないが、日韓両国が竹島をめぐって衝突ということもありえるかもしれない。できることなら、ナショナリズムを煽ることも無い親日的な政権が韓国国内で登場して、日本・韓国両政府の同意の下、国際司法裁判所に提訴して、判決を待つという方法を期待している。しかし、現在の韓国の世論を見ているとそれは遠い未来の話のような気がする。

 

竹島問題解決は遅くなってしまっても、少なくとも政府は、既に決められている漁業協定の問題で、日本と韓国の漁船が共同漁業区域で平等に漁業ができる環境を作るべきだと思うし、韓国側に要求すべきだと思う。向こうとしては、竹島周辺水域は韓国のものだと思っているだろうが、既に決まったことに関して韓国に適切な措置を求めるのは当然だと思う。今回の島根県の竹島の日条例も、結局国が漁業権の問題に無関心でそれに耐え切れなくなった漁業関係者の後押しで作られた。今度の漁業協定改定の際は、両国の漁民が平等な漁業ができるようにして欲しいと思う。また、これからの政治情勢でチャンスがあれば竹島問題解決へ進んで欲しいと思う。