2002年度「地方自治論」
レポート一・コメント一覧
(各タイトルをクリックすると各レポートが提示されます。)
(黒文字が担当教員によるコメントです。)
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氏 名 |
テ ー マ |
1 |
中澤匠 |
コンベンションビューローの概要については理解できたものの、活動目的の表現自体に「官製」の限界があるのではないかとも思ってしまう。こうした活動に住民をどう巻き込んでいくかについてのマニュアルは存在しないのかもしれない。「住民理解」の達成や「中期、長期的な視点」の具体的中身について言及してほしかった。 |
2 |
羽石学 |
ISOの品質管理規格と環境管理規格の概要、両者の違い、自治体が取得することの意義などについて、このレポートの前半を読むことで把握できる。さらに環境管理規格を取得した宇都宮市の取り組についてもまとめられている。表を見ると「燃料使用料」をここまで減らすことができるのかと感心する。丁寧に情報源に当たっているがゆえに、「取得後の調査報告や取組結果・成果などの公表」を行うべきだという指摘にも説得力がある。欲を言えば、他市の事例についての言及がほしかった。 |
3 |
井上美子 |
国の“かたち”を理解することの大切さはその通りだと思うし、残留孤児やその子孫に対する政府の政策が、とくに国籍の取り扱いについて理不尽な側面に満ちていることも確かであろう。しかし、だからこそ、帰化や二重国籍の問題についても一つ一つ解決策や代替策を事例に則して手探りで求めていくしかないであろう。そのためには政府の論拠を逐一取り上げ、各々に対して理論的にも格闘していかなければならない。 |
4 |
和気和子 |
「不法(未登録)就労外国人が滞日外国人就労者の全体の半分を占める」というのは深刻な事態だ。現行の政府対応の制度的問題点を浮き彫りにしてほしかった。医療サービスや外国人就労者の職種をめぐる実際の問題は、利害関係者が錯綜すると同時に、蔑視や差別などの対人モラルといった側面が絡んでくることがよく分かる。「多文化、多民族社会」は試行錯誤を重ねながらの当該地域固有の実践の積み重ねによってしか実現されないのかもしれない。 |
5 |
菊地史子 |
世界遺産と地域振興、またそれに伴う問題点―日光の社寺を例にとって― 最初に世界遺産の概要を記し、日光市登録の経緯についてもまとめている。それだけでなく登録に至るまでの日光市の取組みや国のバックアップの内容などが具体的に述べられている。「動いていたのはその地域の市民ではなく行政であって、その行政の動き方も法的に外堀を埋める作業しかしてこなかったのでは」という指摘には説得力がある。そして世界遺産の意義を観光客に浸透理解させるには当該地域の住民が積極的に関わる必要があると説く。丹念な資料検討と連動する形で結論部分の内容が濃くなっている。前半、ノート的な区切り形式となったのがやや残念。 |
6 |
武藤幸夫 |
栃木県内7市を対象に前半で各々の国際交流協会の活動内容をまとめ、後半で現状や今後の方向性をめぐる課題を示している。そこに共通するのは従来の行政主導型の国際交流が転機をむかえていることである。そして、足利市や日光市に見られる「民間化」傾向のなかで、国際交流の個性化の必要性が説かれ、それは「市民一人一人の国際交流に対する普段の関心意識と行動力に掛かっている」という。そのための具体的方策への言及があれば、レポート内容の厚みが増したのではないか。 |
7 |
根上詩子 |
動物愛護法が制定された背景や飼い主の意識変容についてまとめた上で、宇都宮市保健所と栃木県動物愛護指導センターの活動内容を紹介し、とくに殺処分とその源である飼い主のペットに対する放棄行動や動物虐待、さらには動物実験払い下げのあり方に疑問の目を向ける。そして、自治体に対しては動物愛護法の精神を尊重した方策、個人には「飼育責任」の遂行が必要であるとする。全体に無駄のない論述だが、充実したノートからもう少しデータを盛り込んでもよかったのでは。 |
8 |
佐藤麻衣子 |
学生による宇都宮のまちづくりの現状と課題―イエローフィッシュを例として― 中心市街地の空洞化問題を解決するために「イエローフィッシュ」が立ち上げられた経緯について説明し、活動内容にも言及する。「イエローフィッシュ宇都宮大学支部」の設置など、組織活動の継続や商店街との協力関係構築に向けたいくつかの処方箋も提示され、興味深い内容になっている。確かに、「学生の持つ豊富な時間と、柔軟で斬新な発想から街づくりを考える」という発想は、今日の中心市街地が抱える閉塞感打破の起爆剤となる可能性がある。ただし、レポートの分量という点で、例えば、商店街の関係者との間での意見交換の具体的中身などを加えればよかったのでは。 |
9 |
木村文佳 |
東京都環状七号線内側におけるロードプライシング制度導入の現状と課題 「渋滞緩和と大気汚染の緩和」を目的として導入が検討されている制度の概要、海外の事例、この制度に対する意見を順に紹介している。そして、制度に関する情報提示の徹底と諸外国との比較検討を提言し、大枠では制度導入に賛成する。しかし、例えば、各論部分の「迂回路の交通量が増大し、周辺環境が悪化する恐れがある」「早朝、深夜の交通量が増加し、騒音や振動などの新たな問題を引き起こす」といった懸念はどのように解消されるのであろうか。こうした点に関する記述があれば説得力が増したように思われる。 |
10 |
菊入千賀子 |
原発立地が柏崎市にもたらした具体的な経済・財政効果と、その一方での事業費不正流用や安全性・治安上の問題、さらには生態系に及ぼす悪影響について言及する。「電源立地三法」についてもその概要が理解できる。結論として、現在では住民の意思が原発のあり方に影響を及ぼすようになっていることや、「首都圏の電力の4割は新潟・福島の原発で作られ、送電線を通して送られている」事実に注目した上で、原発との共存と「自立発展」の大切さを訴える。情報源のポイントをよく引き出し、論旨も明瞭だ。ただし、特定の領域における自立発展の具体的方策についての言及がなかったのが惜しい。 |
11 |
石原佳菜子 |
消防や臨海学校など、伊勢崎市と佐波郡3町1村による広域サービスの取組みを説明する。広域市町村圏の理念が提示される一方で、一体的な下水道整備などの点で「実行力が弱い」という指摘がなされる。圏域事業の重要性についての住民理解を深めることと、実施事業の絞込みや近接圏域間の連携が不可欠であるという結論に達している。このように広域市町村圏が抱える課題を指摘すると同時に、これを生かした形での今後の展開を期待している点が興味深い。ただし、考えられる具体的な事業案に言及してもよかったのでは。 |
12 |
山田実穂 |
中空知広域市町村圏組合―市町村合併をめぐる動きの中でこれからの展望と課題― 5市5町から構成される当該圏域の概要説明を読むと、広域市町村圏に関する基礎知識が得られるし、一般にいわれる合併論のポイントも把握できる。しかし、全体を通じて当該広域市町村圏組合をめぐる合併論の考察と抽象的な合併論とが混在していて、テーマをめぐる検討が深まっていないように思われる。例えば、JAの合併を紹介しているが、このあたりを切り口に展開を説き広げていく形にした方がよかったのではないか。 |
13 |
鈴木順子 |
最初の方の「文部科学省が目指すものと学校・家庭・地域社会の現実にずれが見られるようである」という問題意識は興味深かったものの、実際の展開は文部科学省のページと新学習指導要領に対する反対の見解を提示するページの引用ないしはまとめに終始してしまった。例えば、「地域社会もそのスキルを身につけ」と述べているが読み終わっても具体的な部分が何も見えてこなかった。 |
14 |
中村祐司 (担当教員) |
(担当教員作成のためコメント省略) |