ishihara k 030114   地方自治論レポート

<伊勢崎佐波広域市町村圏振興整備組合・ASITAの役割とは> 

010104k 石原佳菜子

 

(1)伊勢崎佐波広域市町村圏振興整備組合(通称ASITA)とは何か?

群馬県の南西部に位置する伊勢崎佐波広域圏は、伊勢崎市とそれに隣接する佐波郡の各町村をすべて含んだ地域である。伊勢崎市・赤堀町・境町・玉村町・東村の5つだ。その 構成市町村の頭文字(kabori akai sesaki amamura zuma)を明るい未来を連想させる言葉、ASITAと並べ、この地域の発展のために活動している組合である。(本部は伊勢崎市役所内に置かれている)総面積165.19kuと群馬県内で一番面積の小さい広域圏だが、地理的条件に恵まれたことから、古くから文明が発達し、明治に入ってからは養蚕・銘仙が有名となった。その後、産業構造の変化にともない電気機器、輸送機器などを中心に工業が集積している地域である。また、群馬県でも有数な都市近郊型農業地帯だが、県内一番の人口急増地帯でもあり、急激な都市化にともない年々農地が減少しているという現状がある。

(2)組合の歴史・沿革

昭和40年代の高度経済成長による生活水準の高度化や生活範囲の拡大により、広域行政の重要性が認識されるなか、古くから地理的、経済的、文化的に深いつながりのある伊勢崎市、赤堀町、東村、境町、玉村町により、昭和469月に伊勢崎佐波広域市町村圏振興整備組合が設立された。広域行政を推進するため、昭和47年2月に「伊勢崎佐波広域市町村圏計画」、昭和57年3月に「新伊勢崎佐波広域市町村圏計画」、平成4年3月には「第三次伊勢崎佐波広域市町村圏計画」を策定し、広域市町村圏における地域振興および総合的住環境の整備を図ってきた。これまでに広域消防、臨海学校、育英資金の給与、休日夜間診療、また平成6年9月に「ふるさと市町村圏」の選定を受けたことにともない「ふるさと市町村圏基金」を設置し、その運用益を活用した各種ソフト事業や、農業共済事業の広域組合への統合、介護保険における介護認定審査会に関する事務など、さまざまな事業に取り組むようになってきている。その後、平成10年4月伊勢崎佐波農業共済事務組合(NOSAI伊勢崎佐波)を吸収・合併し、農業共済事業の継続と経営基盤の強化も分野に入る。そして、平成14年4月からは「第四次伊勢崎佐波ふるさと市町村圏計画」に基づき、豊かな圏域をつくるための事業に取り組んで行く予定である。

(計画の期間は、基本構想・基本計画とも基準年次を平成14(2002)年度とし、目標年次を平成23(2011)年度の10年間としている。)

(引用HP)http://www.sunfield.ne.jp/~nosaiise/frameset/set_topix.htm

(3)これまでの計画実施状況(一部)

<広域消防制度の整備>伊勢崎市・佐波郡内での、大規模な火災等、緊急事態発生時には広域消防局(伊勢崎市)からすぐに出動できる体制の整備。

<臨海学校の設立>新潟県三島郡寺泊町に伊勢崎佐波臨海学校を設立し、伊勢崎佐波郡内にある小中学校の児童生徒の実践型体験学習の場として利用されている。

(引用HPhttp://www7.ocn.ne.jp/~asita/rinkaigakou/rinkaigakkou.htm

(4)現在も行われている広域活動事業

<ふるさと再発見ツアー>圏域内の小学4年生を対象にして行われているツアー。圏域の史跡等を観光バスで回る。解説者も同行し解説しながら回る形式を取っていて、毎年開かれている。

ASITAカルタ製作>平成9年度に圏域の人々に郷土の身近な文化を再認識してもらうことと、圏域のPRや活性化に役立たせる目的でASITAかるたを製作した。ASITAカルタに出てくるスポットをサイクリングロードに指定し、サイクリング大会も行われている。

(引用HPhttp://www7.ocn.ne.jp/~asita/asita/asitacyclinglord.htm

http://www7.ocn.ne.jp/~asita/asita/karuta/karuta.htm

<寺泊シーサイドマラソン参加事業>

臨海学校を設置している新潟県寺泊町で行われる、マラソン大会に圏域市町村から出場者を募り参加している。

<職員合同研修会開催事業>

構成市町村及び消防のおおむね在職10年程度の中堅職員を対象に、資質の向上・職員相互間の交流促進を目的とした研修会を開催している。

<スポーツ交流事業>

伊勢崎佐波交流駅伝大会を始めとする、スポーツ大会を開催し、各地域ごとの交流を図る。

<広域広報紙発行事業>

住民の広域圏への理解を深めるために、広域の事業や情報を提供するための広報誌を作成・発行している。

(引用HPhttp://www7.ocn.ne.jp/~asita/syoukai/jigyou.htm

(5)今後の事業計画

平成14年4月からは「第四次伊勢崎佐波ふるさと市町村圏計画」に基づいた、事業が様々な分野で展開される予定であるが、その基本方針は以下の6個であるとしている。

快適でみどり豊かなASITAづくり みどりの田園風景と限りある自然を保全・整備し、快適でみどり豊かな圏域づくりをめざす。
明るさと安心を感じるASITAづくり 災害に強く、事故や犯罪のない安全な社会をつくり、環境にやさしい社会を形成し、明るさと安心を感じる圏域づくりをめざす。
個性的で元気あふれるASITAづくり 高速交通網の整備などによる、地域の交通結節点としての優位性を活かした個性豊かな産業を育成し、個性的で元気あふれる圏域づくりをめざす
健康とぬくもりあるASITAづくり 健康とぬくもりある圏域づくりをめざす。
生きがいと文化の香るASITAづくり 生涯を通じて個性を磨き、豊かな社会を築くための生涯学習社会の形成を図り、豊かな心、広い視野、想像力を持った人材を育成するための文化的環境の充実に努る。
輝くあしたに向けたASITAづくり 広域化・多様化する行政需要への対応や、効率的な行財政の運営に向けて広域的な連携の強化を図り、輝くあしたに向けた圏域づくりをめざす。
これらの中で、今回の第四次ふるさと市町村圏計画の中心とも言える事業は、下水道設備の設置である。現在の圏域の下水道の整備状況は、おもに伊勢崎市と玉村町は公共下水道事業が進んでおり、赤堀町と東村は農業集落排水事業の整備が進んでいる。このように圏域内での格差もある。また、圏域のかなりの地域で排水を側溝に放流あるいは、地下に浸透させているため、生活排水による河川や農業用水の汚濁が進んでいる。また、急激な都市化にともない、豪雨時に浸水被害が発生しており対策が必要とされている。そのため、この下水道問題が、今注目されているわけだが、この組合は、あくまで計画を推進する組合であり、事業を立ち上げ、実際に下水処理場を作るのは、各市町村に委ねられているという現状もあり、結局のところ、現実性が欠けている計画であるといえると思う。

(6)問題点と今後の課題

まず始めに、上にも挙げたように、この組合の問題点としては、実行力が弱いという点だと思う。今までに実施してきた、広域消防や夜間診療の実施・農業共済事業の拡大、住民にとって役立つ事業を起こしてきたことも事実だが、ここ最近は資金不足のため、大規模な事業が行えていないように見える。「ふるさと市町村圏」の選定を受けたことにともない設置した「ふるさと市町村圏基金」の資金はあるものの、やはり財政的には厳しい現実がある。そのため事業の内容も、組合ではたくさん計画しているが、実際に作るのは県域の1市3町1村のそれぞれになってしまっていたり、この計画自体、現実性を欠いていて、理想像を求める計画のように思える部分もある。上にあげた下水道の問題もまさにそのいい例で、計画内では、圏域内の下水道の設置率の向上を目指すと言っているが、現実では、まだ下水道処理施設の建設予定も立っていないし、圏域が広範囲に渡っているため、すべての市町村をカバーできるのか、という疑問もある。その他の計画に関しても、やはり理想像を描いた計画が多いと感じた。以上のことから、私は、市町村圏組合の計画をもっと圏域に住む住民たちに知ってもらい、住民たちの意見を取り入れるべきだと思う。また多岐に渡る計画を10年に一度立てるのではなく、今最も必要とされている事業だけにしぼり、現実的な協議を重ねた上で、計画を作るべきだと思う。そうすれば、計画した事業もより確実に実行できると思う。

第二に、問題点としては、各広域市町村圏振興整備組合同士の連携がないことだ。群馬県の中には同様の組合が11個あるのだが、地理的に遠い組合は別としても、近くにある組合との連携が少ないのである。この佐波伊勢崎地区の圏域は利根川を挟んで、埼玉県の深谷市・本庄市・岡部町・上里町と接している。そのため。これらの地域とは、利根川フォーラムと題し、利根川周辺の環境問題について協議したり、協力をしていく活動があるが、その活動内容が限られているため、十分な連携体制とはいえないと思う。

そこで、私は、定期的に各市町村圏組合の代表が集まり会議をする機会を持てばいいと思う。各組合にそれぞれ特徴があると思うし、各組合の事業で特徴的なもの、また効果的なものを発表する機会を持ち、それぞれの組合の事業案に生かせれば、よりよい事業が展開されると思う。

(引用HP)http://www7.ocn.ne.jp/~asita/tf_web/index.html

http://www.aic.pref.gunma.jp/noukei/nougyou_kyousai/kyousai-toiawase.htm

(7)まとめ

「広域市町村圏振興整備組合」このような難しい言葉に、今までの私だったら興味も持たなかったと思います。しかし、今回、この組合をはじめ、広域行政について調べてみて、自分の生まれ育った環境は、こうして整備され動いているのだと感じられました。市町村合併問題がクローズアップされてきている今日なので、今後ますますこのような広域行政が果たす役割は大きくなっていくと思います。しかし、同時に広域行政の難しさもより大きくなっていくと思います。これからも、広域行政の動きを見ていきたいと思います。