「栃木科学・技術シンポジウム2001」

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第2部   インターネット・ミーティング

―絆は空をこえて―

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出場者/各国留学生

 

(韓国祥明大学からのインターネット中継)

 

コメンテーター/丁貴連・宇都宮大学国際学部助教授

 

司会/藤田和子・宇都宮大学国際学部長

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:まず交換留学を経験した学生に話しを聞きたい。

○ 祥明大学で1年間学んだが、印象に残っているのは最初に紹介された時に教室に緊張感が走ったこと。しかし、それは悪い意味ではなく、異文化間の最初の出会いから生じた緊張感だった。その後の交流はとても充実したものだった。自分はある意味「日本代表」のような存在だった。留学中は、韓国、日本に対して自分がいかに無知だったかを思い知った。

 

○ 最初、日本に行った時には日本語ができなくて、その結果として日本人の友達もできなかった。しかし、バイト先を通じて世代を超えて多くの日本人と友達となった。母のように優しい日本人もいた。

○ 韓国には短期派遣という形で1週間だったが、貴重な経験を積んだ。生の韓国を経験したことで、次はぜひ長期の留学をしたい。この派遣を一度きりの細切れの経験で終わらせたくない。

 

○ 宇都宮には今年の6月に行った。1週間だけだったが多くの事を学んだ。正直なところ宇都宮の秋の写真を見て宇都宮が恋しくなる。

○ 夏休みの1カ月間、日本で勉強した。言葉は重要だがその国の文化を学ぶことがより重要。今まで知らなかった日本を知るようになった。今度はもっと多くの日本人の友達、他の国の人達とも友達になりたい。

 

 

○ 私費で韓国から国際学部で学んでいるが、実際、国からの援助がないのでいろいろな面で厳しい。国立大学は私立大学より確かに奨学金など充実しているようだが、留学生のうちほんの一部しかその恩恵を受けることができない。留学生はどうしても不安定な環境に置かれがち。例えば、急に事故にあった時など、自分で解決しなければならない。やはりこうした問題を解消して、勉強に打ち込む環境を作っていきたい。

 

○ 私も国際学部で学んでいる中国からの私費留学生だが、日本語を学ぶ中国人は100万人を越えているにもかかわらず、まだまだ留学生が勉強しに日本に来やすい環境にはなっていない。栃木県の留学生受け入れの体制はまだまだ不十分ではないか。国際学部だけでなく他学部、自治体、NPOも協力して私費留学生を受け入れてほしい。

 

○ マレーシアから国際学部に来ている留学生だが、米同時多発テロの時、国連スタッフ(国連で2カ月のインターシップ経験)としてアメリカにいた。非常に緊張した。最初は状況がまるで把握できなかった。各国の外交官と話す機会もあり、大変勉強になった。

 

○ ブルガリアから国際学部で勉強している留学生だが、日本の文部科学省から奨学金をもらっているので経済的には困っていない。日本ではきりきり、ちくちく、しくしくといったヨーロッパにはない感性言語があり、これには戸惑った。日本人はこのような擬態語に外国人が困惑しているという認識がそもそもない。

ところで、世界中で最も言葉が豊かな国は韓国ではないかと考えるが、祥明大学の皆さんはどう思うか。

 

○ 1週間日本に滞在して、ホストファミリーの皆様に大変お世話になった。良い経験になったのは、道路を横断する時、日本では右側通行なので、韓国の左側通行とは違うため、戸惑っていたら、日本の友達が手を引いて助けてくれたこと。これからもこのようなプログラムを続けてほしい。

○ 私も9月に1週間日本に滞在した。その時のホストファミリーの優しさが忘れられない。国際化の時代に自分の国の文化を外国人に紹介することが大切だと思っている。

○ 私も9月に1週間日本に行った。胸がわくわくする経験ばかりだった。予め母にキムチの作り方を教わって、ホストファミリーに作り方を教えたら、まさに食べ物を通じて私たちは親しくなった。国際交流はこのような小さな事から広がっていくのだということを実感した。

 

 

○ 国際学部では留学生がたくさんいるということに慣れてしまった側面もあるのではないか。またそれだけで国際化が達成されていると安心してはいないか。大切なのは一人一人の相互のつながりの意識ではないか。1年間祥明大学で学んだことは一言ではいえないほど大きい。人と人とのつながりを大切にしていきたい。

○ 留学は異文化理解の絶好の機会。メディアではなく、生で異文化に体験できるから。自分の国にいる時はありふれてあたりまえだと思っていたことが、留学先で違うということに気付く。いい歌を好きになるように自然にその国の文化に溶け込んでいくことが大切。ホームページでの発信も大切。

○ インターネットは私達に無限の可能性を与えてくれる。しかし、バーチャルな世界と違って、人と人とのコミュニケーションこそが大切。皆人間であることでは共通。ITの可能性を生かしながら、生の人間同士の交流が何よりも大切ではないか。

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藤田:今回のシンポジウムを準備段階からコンピュータ技術面で中心に支えてくれた倪永茂先生と大学院生の李鍾元(イ・ジョンウォン)さん、鈴木さんをはじめ、宇都宮大学の関係者、宇都宮大学国際学部のスタッフ、多くの学生の協力があって本日のシンポジウムを開催することができた。暖かく支援してくれた方々に感謝したい。そして、最後に、今回のシンポジウムの総合的な中心者として、様々な調整に徹してくださった石浜昌宏先生に感謝申し上げたい。

 

倪永茂氏(宇都宮大学国際学部助教授) 石浜昌宏氏(宇都宮大学国際学部教授)

 

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宇都宮大学国際学部「栃木科学・技術シンポジウム2001」プロジェクトメンバー

プロジェクトリーダー石浜昌宏

プロジェクトメンバー藤田和子倪永茂内山雅生佐々木史郎丁貴連中戸祐夫

記録協力中村祐司

 

(文責:中戸祐夫、中村祐司)