永住外国人の地方参政権について

 私は今回、中島健という方のこの問題に関する意見を読み、また近畿地方に住んでいる在住外国人がどう思っているのかを表すアンケートを見ながら、地方参政権について考えてみたい。

http://www.geocities.co.jp/WallStreet/7009/mg0011-3.htmより

永住外国人に地方参政権は付与すべきか(第1回) 中島健 著(大学生)

 

 

グリーンカードを取れば、『徴兵登録しろ』といわれる。しかし、グリーンカードを取っても徴兵登録しても、米国では選挙権はもらえない。それぐらい国籍は重いものだ」(高市氏)等と発言したという。

私は米国で永住権をもらえれば、選挙権をもらえるものだと思っていたのでこの情報は私にとって新鮮なものだ。私は今までグリーンカードを付与されれば、つまり永住権が認められれば、選挙権があるものだと思っていたからだ。

 

中島健さんが調べた永住外国人に地方参政権の付与を推進する側の意見と反対する側の意見を簡単にまとめてみた。

     推進派

   1定住性、納税義務の履行

   2永住外国人の基本的人権の確立と少数民族権の保障

   3戦後処理の清算の一環

   4日本社会の真の国際化の具現

 

     反対派

   1国民主権との関連

   2納税義務とは無関係

   3国政と地方自治体の関連性、安全保障上の問題

   4比較法的視点

 

これらの中で私が感じた部分をあげてみる。

 

3戦後処理の清算の一環(推進派)

「在日韓国籍住民の歴史的経緯を正しく認識し、適正な処遇がはかられます。この運動は戦後処理の清算の一環でもあり、日本の民主主義の成熟の問題でもあります。

私は永住外国人に対する地方参政権付与問題に戦後処理の清算の一環から考えることは難しいと思う。なぜならば、この問題は日本の国益に反しないかどうかという問題だからだ。戦後処理の清算の一環だからといって日本の国益に反してまで彼らに地方参政権は与えなくてもいいと私は思っている。

 

また、戦後処理の清算に関して反対している人々の意見で「現在在住している韓国人は任意の永住者であって特別扱いすることは適当ではない」といった意見もあるが、これには私は納得できない。私が1回目の発表で調べてきたように彼らは日本にいたくていたわけではない人もいる。韓国に帰っても生活の基盤がなかったから日本に住み始めたのであり、彼らから韓国での生活基盤をうばったのは日本政府なのである。だから、この反対意見には私は納得できない。

 

 

2納税義務とは無関係(反対派)

「納税は公共サービスを受ける対価であり、参政権とは直接結びつかない。」

この意見に中島健さんはこう反論している。私はこの反論がなかなか説得力があってよいと思う。

 

「当為としての納税」は公共サービスの対価であるが、「事実としての納税」は必ずしも対価関係に立たない。例えば、所得の少ない人は所得税を免除されるし、最も貧しい人は逆に生活保護を受けて暮らしているが、だからといって、道路を歩けなかったり、図書館が使えないわけではない。生活保護を受けている人は、「所得が無い」から「事実としての納税」を免除され「実際には税金を払わずに済んでいる」が、依然として「税金は払うべきである」という抽象的義務の下にあるわけであり、故に公共サービスを受けられるのである。

 

「納税は参政権とは直接結びつかない。」ということに私なりに反論してみると、彼らが税金を払っているにもかかわらず、このような訴えを起こしているのは公共のサービスを満足に受けられていないからだと思う。このことを示しているアンケートがある。

このアンケートは近畿地方の格自治体の国際化施策 1998 年2 月から4 月にかけて、近畿2 府4県の326 市町村を対象に国際化施策に関するアンケート調査を行い、57 件の回答を得た(回収率17.5 %)ものである。

 

「在住外国人の市政参加施策」や「在住外国人の住宅問題対策」、「外国語による相談窓口の設置」といった在住外国人に対する施策を行っている市町村は少ない。外国語による情報提供を行っていない自治体が1/3

http://www.kiis.or.jp/region/より

「財団法人関西情報センター」の情報提供コーナー

 

上のアンケート結果だけからでもわかるように在住外国人に対して何かやっている自治体は少ない。つまり、税金を払っていても公共のサービスが満足に受けられていないのである。このことに在住外国人は不満をもっているのだと思う。不満をもっていても意見をぶつける場所がなかったり、または相手にされなかったりしているから地方参政権を認めてもらいたいのだと私は思う。

 

また、次の資料でも彼らが今もなお日本社会で差別を受けるかもしれないという恐れがあることを示している。

オールドカマーの本名使用率は、15年前に比べて確かに増えている。84年の調査では「本名のみ」は3・7%、「本名の方多く使用」と合わせても12・0%だったのに対し、今回の調査では「本名使用」は22・5%だった。

 しかし、回答者の八割弱がいまもなお「通名」を用いている現状からしても、「通名使用」が世代を超えて継続されている現状に変わりはない。「通名」を用いる理由としては、「日常生活の差別」や「就職差別」を回避するためという回答が顕著だった。

 

外国籍住民の政治参加意欲は、オールドカマーとニューカマーの別を問わず、全体としてかなり高いことが今回の調査で明らかとなった。 主な政治制度や権利のうち「外国語で参加できるモニター」は62%が「必要」と回答、「地方議会議員、首長を選挙する権利(選挙権)」も60・4%だった。以下、「審議会委員への登用」(58・1%)、「地方議会議員、首立候補する権利(被選挙権)」(51・1%)と続く。

http://www.mindan.org/undou/index.htmより

MINDAN:在日韓国人の地方参政権への思いを中心に在日韓国人に関する日本での出来事などを掲載

本名を名乗ると止めさせられるかもしれないという恐れがあっては安心して生活ができるはずがない。また、永住外国人のほとんどが選挙権を望んでる。私は彼らの政治参加を日本人のわれわれも見習わなければならないと思う。彼らが必死で彼らの存在を、彼らに対する差別があることを知ってもらおうと政治参加への意欲を示しているのならば、私たち日本人も私たちの生活をよりよいものにしようと政治参加への意欲をみせなければならないと思う。

今回のまとめ

 私はこれらの資料から在日韓国・朝鮮人に地方選挙権を付与してもいいと確信し始めた。彼らがまだ、日本での生活に恐れを感じているのであるから、その恐れていることを打ち明ける場を与えてあげなければいけないと思う。選挙権を与えてなくても解決方法はあるように思うが、それを行わなければならないのは、われわれ日本人なのである。彼らのために地方自治体の、政府の政策を変えていかなければいけない。選挙権を与えなくても彼らが住みやすくなる方法は次回までにいろいろと考えてみたい。