yamamotohi010704   余暇政策論レポート  「余暇政策としての生涯学習―――横浜市の場合」

  k980148  山本弘子

 

1、     はじめに

近年、政府における余暇政策の一つとして、生涯学習が挙げられる。そのための整備として、「生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律」(いわゆる「生涯学習振興法」)が平成26月に制定され、改正された法が平成131月に施行された。また、この生涯学習は、市民たちによる活動の一つともなっている。これらの中には、高齢者の生きがいともなり,市民生活における潤いとなっているものもある。生涯学習という言葉は,時折ラジオや,テレビ,広告などでも目にする。しかしながら,実際,具体的にどのように行なわれているのであろうか?地方自治体としては,生涯学習について,どのような取り組みを行なっているのであろうか?そこで,一つの例として,横浜市においての生涯学習について,リポートをしてみた。

2,生涯学習とは何か

  生涯学習とは,人々が,幼児期から高齢期までのライフステージを通して,その人その人の興味や関心,あるいは,家庭,地域,学校,職場など,その生活の場面に応じて,生涯にわたって学ぶことである。(http://www.planet.pref.kanagawa.jp/

3、行政が生涯学習に取り組む根拠

「生涯学習の振興のための施策の推進体制等の整備に関する法律」(「生涯学習振興法」)の第2条にある。

(施策における配慮等)
第2条  国及び地方公共団体は、この法律に規定する生涯学習の振興のための施策を実施するに当たっては、
学習に関する国民の自発的意思を尊重するよう配慮するとともに、職業能力の開発及び向上、社会福祉等に関し生涯学習に資するための別に講じられる施策と相まって、効果的にこれを行うよう努めるものとする。(http://www.tcp-ip.or.jp/~syaraku/sinkouhou.htm)

この条での特徴は、国民の自発的意思で、生涯学習に参加することであり、(但し、強制でない。)そして、国や地方公共団体は効果的に行うよう努めることである。(つまり、生涯学習の基盤をつくることである。)

4、横浜市をリポートに選んだ理由

  横浜市は、江戸時代末期から、諸外国との貿易のための港が設けられ、外人墓地や中華街などがあり、異文化との接点が濃いことと、現在でも元町、山下公園あたりは異国情緒が残っていて、特に若い女性に人気がある。また、最近では、地方公共団体の財政赤字を解消する策として、横浜市独自の税金を起案したことにより、総務省から異論が起こったり、サッカーのワールド・カップの開催地となったりしている。これだけ、地方公共団体が活発に行政を行っていることで、生涯学習も独自性や独特のものがあるのではないか、と考えたことによる。

     

山下公園             外人墓地

5、横浜市における生涯学習の取り組み

  生涯学習は,「変わりつつある社会において,一人ひとりについて,主体的に生きる力をつける手段」と位置ずけ,次のような取り組みを行なっている。1,市民の自立的な生涯学習の推進 2,多彩な学習資源を生かす環境つくり 3,暮らしやまちの創造につながる学びや活動の推進・支援 4,子供と大人がともに学ぶことができる環境つくり、である。これらを、わかりやすくいえば,1)学びがいの充足 2)生きがいの充足〔心の豊かさや自己の充実を図るために〕 3)働きがいの充足〔自己をたかめ、充実した職業生活を営むために〕 4)創りがいの充足〔明日の地域や社会を創るために〕のスローガンを掲げている。(http://www.city.yokohama.jp/me/gakusyu/concept/index.html)

横浜市の生涯学習支援センターについて

生涯学習支援センター(または相談コーナー)は,市内18区全てにある。学習相談・学習情報の提供・学習機材の 貸出し,交流コーナーの提供などを行っている。(相談コーナーでは,学習相談・学習情報の提供のみ行なう。)

情報提供コーナー   資格習得など、生涯学習に関する図書や雑誌が置いてあり、自由に閲覧できる。講座のパンフレツト・催し物のチラシ・施設のリーフレツトもある。

インターネツトコーナー  センターには6台のパソコンが設置され、開館時間中、無料で情報が検索できる。

学習相談コーナー  開館時間中、学習相談員が、来館者の相談や問い合わせに応じている。また、面談だけでなく電話やFAX、E-mailでも相談を受け付ける。

横浜市の生涯学習支援センター・相談コーナーの開館時間  磯子区・栄区/火〜日曜日 10時〜17時 その他の区/月〜金曜日 8時45分〜17時15分(http://www.planet.pref.kanagawa.jp/)

6、横浜市におけるIT講習

 IT講習とは,パソコンの基礎的な操作方法を習得し,インターネットや電子メールを楽しんでもらう講習である。パソコンにまつたく触れたことがない方でも安心して,受講できる。内容としては、1,パソコンの基本操作,2,文書作成,3,インターネットの利用,4,電子メールの送受信,等,初心者向けの講習となっている。対象者は,満20歳以上の横浜市在住・在勤者(在勤は神奈川県在住の方)となる。講習時間は全12時間で,受講料は無料である。「一般コース」と「ゆつくりコース」の2種類あり、自分のレベルに合ったコースを選ぶことができる。募集方法は、第1期から第5期までの5回に分けて,募集を行い、「平成13年度実施 横浜市IT講習のご案内」を区役所等で,入手し,添付されている「IT講習専用申込用紙」と「あて先」を,官製の往復はがきに貼り付けて,申し込む。IT講習に関する問合せ先は、横浜市 I T講習募集・受付センターで行っている。TEL:329―3071 FAX:664―9386 お問い合せ時間は、9時から19時までである。(http://www.city.yokohama.jp/me/soumu/ipd/it/)

7、横浜市で行われているその他の講座

    今回は、まちづくり、少子・高齢化、環境がテーマである。

    水曜日

    A−1: 横浜の大地・水・緑の配置から住まいを考える: 9,000円

    A−2: 横浜港 きのう・今日・あした〈パート1〉

−開港140年と横浜港の現在−※金曜日1回あり: 7,200円

   A−3: 華僑社会と横浜中華街: 9,000円

   A−4: 世界の食糧と環境: 4,500円

金曜日

    B−1: 高齢化と日本経済の再生: 5,400円

    B−2: 日本の社会における高齢者の役割と自己実現:5,400円

    B−3: 子どもの人権とエンパワーメント:5,400円

    B−4: 足もとから考える21世紀の地球環境:7,200円

    申込は、8月31日までに、案内書(8月16日から教育文化センター、区役所広報相談係ほかで配布)に添付の申込書を郵送かFAX、またはEメール(hamanabi@city.yokohama.jp)で教育委員会生涯学習課よこはま市民カレッジ担当(〒231―0017中区港町1−1)に送る。そして抽選となる。詳細は案内書かホームページ「PLANETかながわ」(http://www.planet.pref.kanagawa.jp/、8月12日から配信)に記載されている。問合せは、教育委員会生涯学習課(TEL664局5498、FAX681局1414)である。(http://www.city.yokohama.jp/me/shimin/kouhou/606/001-5.html)

8、おわりに

以上,横浜市における生涯学習について,リポートしたわけであるが,その特徴としては、横浜港の歴史を取り上げたり、華人社会と中華街を取り上げたりして、国際色豊かである。特筆すべきこととして、生涯学習支援センターで、開館時間中は、インターネットが無料で使えることがある。インターネットに関する諸費用は、近年、だんだん低価格になってはいるものの、まだまだ高価である。その中で、無料で使えることは、かっ機的なことである。これにより、横浜市が生涯学習を推進していることが分かる。そして、生涯学習は,一人ひとりの生きがいとなることはもちろん,図書館・博物館・美術館等、文化施設の有効利用,刻々と変化し変わってゆく環境や,社会を,生きぬくためのひとつの道しるべとなる。特に、社会人にとっては、職場のIT化などの情報化・国際化・産業構造の変化等により、常に学ばなければならず、そのための必要性として、生涯学習は役立つひとつの方法となる。また,高齢者などにとっては、人生の充実感,新しい出会いとなることもある。しかし、受講費用を要するものもあり、経済的なことは人さまざまであるが、経済的にあまり豊かでない人は、自分の興味のある講座を受講したくても、受けられないのではないか?生涯学習に対する意欲を損なうのではないか?との問題点もある。これらについては、国や地方公共団体などの関係機関による経済的な支援・補助の拡大が望まれるが、税金・国債等でまかなう予算の制約もあり、困難な面もあるであろう。

参考文献

生涯学習振興法http://www.tcp-ip.or.jp/~syaraku/sinkouhou.htm

生涯学習情報誌<PLANETかながわ> No.7 http://www.planet.pref.kanagawa.jp/planet9903.html

生涯学習ページ「はまなび」 http://city.yokohama.jp/me/gakusyu/A-1-a.html

広報よこはま 平成13年4月号、平成11年8月号 http://city.yokohama.jp/me/shimin/kouhou/

平成12年度 我が国の文教施策 http://wwwwp.mext.go.jp/jyy2000/