参加型開発におけるNGOの役割
参加型開発とは・・
開発の中心は物質的な生産の増加よりも、むしろ後述するように開発にかかわる人々の社会的能力の育成・向上であるべきであって、そのためには人々が開発の担い手として種々の開発活動に主体的に参画し、開発の便益を享受すること、すなわち「参加」が重要である。政治、経済、社会の各局面における「参加」は開発の目的及び手段としてともに必要なものである。
農村コミュニティ−の集合体、あるいは行政単位、開発の単位ともなりうる地域社会を社会の基本単位として捉え、この地域社会における参加の質を高めていくこと。
http://www.jica.go.jp/enjoreport/participation/participation-h32.html 国際協力事業団・分野別援助研究会報告より抜粋
開発の受益層、すなわち社会的弱者の立場にある住民自身が開発の意志決定プロセスに参加すること、そしてより公平にその恩恵を受けること。
http://www.obirin.ac.jp/gscl/kenkyu/1999/19741117.htm 「参加型開発の現状と課題」より抜粋
ジェンダーや階層、民族の区別なく、すべての人々が社会、経済、政治のあらゆる側面で平等な参加の機会を持つ権利を保証されるべきであるという考え方
http://www.jacses.org/sdap/infoservice/bps/bps09.html:「環境・持続社会」研究センター『開発における「参加」とODAの課題』より抜粋
開発途上国のNGOの役割
途上国のなかには、NGOが非常に大きな役割を果たしている国がある。例えば、フィリピン。その理由には、政府の脆弱さ、国民の政府に対する不信感、貧富の格差があげられる。フィリピン社会では
――法律の立案(立法)、履行(行政)、チェック(司法)の全ての面においてフィリピンのNGOは時に政府を支え、時に政府の尻を蹴飛ばしながら大車輪の活躍をしている。『KAISAHAN』は生活苦にあえぐ農民を支援するため、1988年に設立されたNGOである。フィリピンでは植民地時代からのプランテーションの名残で、一部の大地主が国土のほとんどを所有している。そのため大多数の農民は土地なしの小作農として苦しい生活を強いられてきた。
こうした状況を改革するため『KAISAHAN』のメンバーは各農村へ出向き、互助活動をさかんにするようコミュニティーを組織化している。またその一方で、大土地所有制自体を変えるため、他のNGOと協力して農地改革の立法活動を行ってきた。その結果、現在施行されている『CARP』農地改革プログラムが作られ、大地主は最大3ヘクタールまで小作農に土地を分配することが定められた。こうした活動は何も農地改革の分野に限ったことではない。都市貧困層、低賃金労働者など様々な分野を支援する無数のNGOが存在し、革命以降その量と質を急速に拡大してきた。政府もそうしたNGOの能力を活かそうと、91年には地方自治法を改正し、正式にNGOが地域行政の政策形成に参加する道を開いた。最近ではNGOから行政の要職に抜擢される者も多く、実は現在の農地改革省のトップもNGO出身である。――また――
NGOを中心にこうした政治を改革していく動きが始まっている。98年から導入された、政党ごとに候補者を選ぶ比例代表選挙がそれだ。この制度を利用して今までNGO活動で活躍していた若いリーダーが、それぞれの対象分野について訴えるため、都市貧困の『AKO』、女性問題の『ABANSEPNINE』など多くの新政党を生み出した。――http://www.mskj.or.jp/getsurei/moriokay0007.html 松下政経塾・森岡洋一郎月例レポート2000年7月より抜粋
*住民自身が中心となって開発を実践してきたNGOを、「参加型開発」の主体として取り上げる。その事例として、参加型開発の理念に沿った途上国のNGOの活動を比較し、参加型開発を行うNGOの現状、あるいは参加型開発の現状と、参加型開発の効果・課題etc.を検討したい。