「イギリススポーツ政策の新展開と諸課題」 中村祐司(担当教員)
はじめに
労働党政権下(2001年5月現在)にあるイギリス文化省の「スポーツのための政府プラン」(Government Plan for Sport)とスポーツイングランド、UKスポーツ、「身体レクリエーション中央カウンシル」(CCPR=Central Council of Physical Recreation)の政策表明や諸提言に焦点を当て、イギリススポーツ政策における執行サービスの特徴とそれに呼応するボランタリーセクターの対応の動態を明らかにしたい。
政府による統治(governance)の側面から見れば、イギリスでは「ネットワーク管理(マネジメント)」あるいは「ネットワーク・ガバナンス」と呼ぶべき、新しい統治スタイルが展開されている。市場重視や自己責任・自助努力を第一に掲げつつも、市民セクターやスポーツ統轄団体などのボランタリーセクターへの権限委譲形態も含めて、あくまでも政府はコントロール権限を行使するための手綱を手放すことはしない。政府はスポーツイングランドやUKスポーツなどの非政府直属公的機関(NDPB=Non Departmental Public Body)を巧みに制御・操縦しつつ、自らは政策実施における「身軽さ」を追求する。政策マニュアルプランの作成や財源の行使といった資源(リソース)利用のコアを保持しつつ、実際の執行サービスはその裁量権も含めて、より「現場」に身近な諸アクターに拡散的に降ろしていくという手法を貫いているのである。
したがって、執行諸アクターは多様に分散された形態をとり、そのことが実際のサービス執行段階においても、配列の混乱を生み出しているし、後述するようにそうした諸アクターの混沌状況に対する批判もCCPRによってなされている。しかし、執行サービスの担い手の分散化・混沌化は、政府の政策戦略における支柱のひとつであるし、政府自身が意図していることなのである。すなわち、「第三の道」に代表される政府の基本的スタンスは、例えば、「スポーツマッチ」に典型的に表れているように、市場の活力を最大限に生かし私的セクターの参入を歓迎しながら、これと並列してボランタリーセクターに自己責任を厳しく見据えさせ、同時に政府は統治のマニュアル化を深化させつつ、ネットワーク・コントロールを貫徹していくというやり方である。
このように政府が意図するネットワーク態様の枠組みを認識しつつ、イギリス文化省が奔流のごとく提示するスポーツ政策実施プランの特徴を把握し、こうした政策戦略がCCPRに代表されるボランタリーセクターの政策見解にどのように影響を及ぼしているのかを明らかにしていきたい。スポーツ政策ネットワークの中枢に位置する文化省が繰り出す一連の諸方策は、そのままイギリス政府全体の今後の方向性を指し示す壮大な実験として展開されているのではないだろうか。
1. 文化省による「スポーツのための政府プラン」とコミュニティススポーツ戦略[1]
イギリス文化省は、2000年に「みんなのためのスポーツの将来」(Sporting Future for All)を公表した後に、「スポーツ戦略実施グループ」(Sport Strategy Implementation Group)を立ち上げた。そして、他の政府省庁や関係諸機関との協議を経て、同年12月に「スポーツのための政府プラン」(Government Plan for Sport)を公表した。「イギリスにおいて初めて、政府の政策作成が、あらゆるレベルのスポーツ領域、すなわち、学校、地方自治体、コミュニティ、統括団体、行政諸機関、スポーツチャリティ団体、スポーツ公正団体に関わるようになった」と述べられた。文化省はこの「政府プラン」を「今までのイギリスのスポーツ政策史の中で最も意義のある政策の表明である」と位置づけている。
特に注目したいのが「コミュニティにおけるスポーツ」に関するプラン内容である。すなわち、地方自治体を当該コミュニティにおけるスポーツサービス提供の中心的な役割を果たす存在と位置づけた上で、スポーツ諸施設の提供や基盤整備、レジャーサービスやスポーツ機会の態様は国内において様々であるとして、政府支援の必要性を強調する。
そして、スポーツくじ基金( Sports Lottery Fund) 4億1,200万ポンドが700以上の地方自治体諸施設に対して提供されており、その影響は地方の復興に大きく寄与しているとして、「スポーツと芸術のための空間創出計画」(Space for Sport and Arts scheme)を打ち出す。実質的にはコミュニティにおける中核である小学校をベースとした施設に対する資金提供である。
文化省は2001年から2004年までの間で、プロジェクト支援としての9000万ポンドのPFI貸付金を紹介し、国際・国内・地域大会などによる観戦客からの入場料収益など、スポーツ観光業をスポーツ財政の収入源として期待する。さらには特に地方自治体間の「スポーツ情報ネットワーク」の構築にも力を入れるとしている。例えば、運動場の整備においても文化省、教育省、環境省との協議を経た地方自治体による調査を行うことや、緑地スペースの確保、屋内コミュニティ施設の整備などを新設の協議機関である「コミュニティスポーツ連合」などとの協力により実施することを表明している。
要するに「地方自治体コミュニティ計画では機関相互の協働やパートナーシップに焦点が当てられている。スポーツは諸個人やコミュニティが発展するための強力な道具であり、地方再建のためのパートナーシップにおいて重要な役割を果たし得る」という表現に代表されるように、文化省はスポーツをコミュニティ再生の切り札と捉えているのである。
2.スポーツイングランド及びUKスポーツの政策戦略
前節で見たような文化省のスポーツ政策の実施を具体的に詰めていく存在が、政府と「ある程度の距離を保った」(at arm’s length)非政府直属公的機関(NDPB)であるスポーツイングランドである。スポーツイングランドは最近の報告書「良質な実践ガイド―新しい住宅開発を通じたスポーツ・レクリエーションの提供」[2]の中で、住宅建設場所とスポーツ・レクリエーション施設へのアクセスをめぐる利便性の向上に関する施策を提示している。
「資金提供とパートナーシップ」と題して、これを「ベストバリュー」[3]の展開と絡める形で、地方自治体は私的セクターや非営利機関と共同で「コミュニティニーズ」に対応し、「経済的、社会的、環境的な安寧の促進において全体としてコミュニティに従事するよう促される」としている。そして、コミュニティスポーツ施設に利用可能な最も重要な公的資金は、「スポーツイングランドくじ資金」(Sport England Lottery Fund)であり、年間約1億1,000万ポンドが資本計画(capital project)に対する支援として、また、年間4000万ポンドのコミュニティ収入プログラムへの投入が利用可能であるとしている。
また、「アクティブ・スクールニュース」という季刊紙[4]では、学校スポーツコーディネーター・プログラムが紹介され、これがスポーツイングランド、青少年スポーツトラストYouth Sport Trust、英国体育助言・指導者協議会British Association of Advisers and Lecturers in Physical Education、英国体育協議会Physical Education Association of the United Kingdom、文化省、教育省の間での協働によって展開され、執行されていることが強調される。
「プレーヤー」という同様の体裁の季刊紙[5]においては、政府がかつてない規模の7億5000万ポンドに上る学校スポーツへ資金提供を決定したことと(分配先はイングランド、アイルランド、スコットランド、ウェールズ)、この資金は「国営くじの新しい機会のための基金」(NOF=National Lottery’s New Opportunities Fund)から拠出され、対象は1,500校にのぼることが紹介されている。
加えて、2000年にスポーツマッチ(Sportsmatch)をめぐる資金提供主体がスポーツイングランドに移行後、この収入がスポーツイングランドの単一で最大の助成金収入となっており、2700を超える会社がスポンサーとなり、300の草の根スポーツ計画が展開されているという記事も掲載されている。1992年以来、総額で5000万ポンドがスポーツマッチを通じて草の根スポーツに注入された。そして、この種のスポンサーシップはスポーツ市場ビジネスにおいて最も急成長している分野の一つであることが指摘されている[6]。
スポーツイングランドによって提供されていた従前の多くのサービスは、民間事業者の入札によって提供されるようになっており、サービスの質を検証しながら、契約サービス提供の拡大を企図しているというのが基本的スタンスとなっている。宿泊・会議施設、銀行取引、コンピュータの維持管理など49項目が契約サービスとなっている。「より多くの人々がスポーツに関わり、スポーツを行うより多くの場所を設定し、高水準のスポーツパフォーマンスを通じてより多くのメダルを獲得することを目指している。スポーツイングランドはパートナーと顧客との関係を重んじ、この3者の成功に貢献するようサービスを提供する」という表現にこの準政府組織の政策スタンスが凝縮されている[7]。
スポーツイングランドが2000年に開催した「スポーツサミット」[8]では「3つのネットワーク」(教育、地方自治体、全国スポーツ統轄団体)の役割の明確化、スポーツ統轄団体に対し人種的に平等な対応をとらせるための方策、犯罪・厚生・教育等と比較した場合の相対的政策優先順位の低さ、資金提供とメダル獲得というスポーツ競技実績の定量性、政府の基本的スポーツ戦略(あらゆる年齢層とあらゆる社会層のより多くの人々がスポーツに参加すること、トップレベルの競技者やチームが国際大会でより一層の勝利をおさめるようにすること)の再確認、官僚主義矮小化の必要性、資金提供についての説明責任、くじ提供資金減少の理由(「新しい機会のための資金」の創設、チケットの売上の減少、世界水準クラスの強化プログラム)などについての議論が交わされた。
エリートスポーツ競技者やチームの輩出を志向するNDPBである「UKスポーツ」は、その収入のほとんどを文化省からの国庫金とくじ資金として得ている[9]。
UKスポーツの年次報告[10]によれば、エリート競技者は今や多大なネットワーク、すなわち、UKスポーツカウンシルや委員会のメンバーを通じた競技監督者、コーチ、科学者、管理責任者などによって支えられているという。資金援助として、1999年に全国コーチング連盟NCFはUKスポーツから770万ポンドの助成金を得た。
3. CCPRの対応戦略と課題
身体レクリエーション中央協議会は、イギリスにおける256のスポーツ・レクリエーションの統轄・代表機関を傘下に置くボランタリー組織で、「政府コントロールのあらゆる形態から完全に独立した存在である」と言明している。15万のボランタリースポーツクラブにとっての利益表明も掲げる。スポーツ・レクリエーションに影響を及ぼすあらゆる争点に関して自立的に発言することのできる独立機関の存在を自負している。
その使命として、@有効なロビー組織として、スポーツ統轄団体の見解を代表して関係政府当局への働きかけを行うこと A政策作成を行う組織に対する選択肢と助言の提供 B政策展開をめぐる集約的機能的なプラットホームとしての存在 Cスポーツ統轄団体に対する事業運営上の課題に関する助言と情報の提供 D政府政策、イギリス法、EU法の改正等に関する情報の継続的提供、を挙げる。
CCPRは欧州議会とも協働関係にあり、さらには「ヨーロッパ非政府スポーツ組織」(ENGSO=European Non-Governmental Sports Organisation)を通じてヨーロッパの同様の諸組織との密接な関係を維持している。CCPRはENGSOをヨーロッパ中にスポーツ諸機関の諸見解を提示する有効な媒体と位置づけ、ヨーロッパの政治舞台におけるスポーツの地位向上のために作動しているという認識を示す。CCPRは「欧州議会スポーツ国際団体」(European Parliament Sports Inter Group)の設置にも尽力した。この団体は欧州議会においてスポーツの地位を向上させ、文化やメディアと同等の地位を獲得することを目的としている。
CCPRの活動では国内の関係諸アクターとの密接な相互支援が強調される。すなわち、「スポーツスポンサー助言サービス」では、「スポーツスポンサー機構」(Institute of Sports Sponsorship)との共同運営が、「スポーツ紛争解決委員会」(Sports Dispute Resolution Panel)では「競技者委員会」(Athletes Commission)・「プロスポーツ機構」(Institute of Professional Sport.サッカー、クリケット、競馬、アイスホッケー、ゴルフ、ラグビーなど)・「スポーツスポンサー機構」(Institute of Sports Sponsorship)・イギリスオリンピック協会(BOA=British Olympic Association)・北アイルランドスポーツフォーラム・スコットランドスポーツ協会・ウェールズスポーツ協会との相互協力が力説される。
さらに、慈善組織であり、スポーツにおけるボランタリーな仕事を奨励する「灯火トロフィー基金」(Torch Trophy Trust.毎年約20の賞が提供され、ボランタリーな基盤において草の根スポーツ、参加スポーツに取り組む諸個人に対して与えられる。)との連携も指摘されている[11]。2001年5月に公表された「アクティブなイギリス―スポーツレクリエーション宣言」[12]では、@すべての人々に対する教育を向上させること A社会的疎外の危機にある人々に対する雇用の促進 B精神的・身体的健康の向上 C犯罪と薬物乱用の減少 Dスポーツ活動の成功のための基礎構築、が目標として掲げられた。
このようにCCPRはほぼすべてのスポーツ施策領域において、大枠の方向性では文化省と足並みをそろえてはいるものの、特にその実施局面での修正的な見解を矢継ぎ早に提示していると言えるであろう[13]。
おわりに
以上のように、イギリス文化省によるスポーツ政策の実施設計ともいうべき「スポーツのための政府プラン」と、これに呼応するスポーツイングランド及びUKスポーツの政策戦略の内容を把握し、その後に、こうした公的セクターとは一線を画し、政府から独立した立場を強調し続けるボランタリーセクターであるCCPRのスポーツ政策見解の内容を整理してきた。
その結果、明らかになったのは第1に、市民スポーツにせよ、エリートスポーツにせよ、文化省はますます多元的な諸アクターのルートを設定・拡散・拡大化しつつ、市場と自己責任を強調しながらスポーツ振興策を展開しているということである。したがって、CCPRが批判するように一見、スポーツ政策の担い手があまりにも多元化・多様化し、個々の担い手の所管と責任の所在が混沌とした状況にあるかのような様相を呈していることは否定できない。文化省はスポーツイングランドとUKスポーツに代表されるNDPBを通じてスポーツ政策のネットワーク・ガバナンスを、敢えて関連諸アクターの権限や機能を分散化させることで貫こうとしているのである。
第2に、こうしたスポーツ政策をめぐる諸アクターの表層的な無秩序状況が生じるのと軌を一にするかのように、諸アクター間の競合と自己責任の深化が確実に進んでいるように思われる。政府がサービス提供の直接的な担い手から乖離し、これをコミュニティレベルにまで浸透させることによって、地方自治体間、私的セクター間、学校間、スポーツ統轄団体間、ボランタリーセクター間の競争と提供サービスの質量をめぐる比較や監視、さらには評価づけが、まさに多層レベルにわたって貫徹される素地が整いつつある。そして、これこそが政府・文化省によるガバナンスの制御・操作の中枢手法となっているのである。
第3に、文化省の政策スタンスに異を唱えているかのように見えるCCPRも、結局のところ、こうした政府の統治スタイルに呼応せざるを得ない。政府のネットワーク・ガバナンスはその規模の大小にかかわらず、ボランタリーセクターや私的セクターの自己目的や自己利益の追求、要するにパイの拡大に向けた誘引・誘導政策となって次々に具体化していくからである。タイムスケジュールを設定して、個々の施策を加速度的に進めていくという政策実施の手法とスピードはここ数年でますます多元化・加速化しており、このことがCCPRによるスポーツ政策への関わりを活性化させているかのような状況を呈している。文化省の誘引・誘発的な手法は成功裏に進行していると見なしてよいのではないだろうか。
第4に、そのような意味でスポーツ政策をめぐる公的セクターとボランタリーセクターは、まさに協働関係にある。言い換えれば諸アクターのネットワーク化により、相互の協力や共同の作動システムが強力に要求されることとなるのである。ネットワークの相互ルートが細分複線化・網化(ウェッブ化)するにつれて協働関係の態様は希薄化にではなく、濃密化に向かっているように思われる。
したがって第5に、協働関係における諸アクターや政策、資源の配分や所有の組み合わせをめぐり、今後は目に見える形での実績と成果の蓄積が問われるようになるであろう。そのことは、スポーツ政策への資金提供の拡大や政策としての優先性の上昇が、参加や国際的な成績向上のみならず、犯罪防止、厚生、教育といった政府の広範な諸目的にも合致するという一連の波及効果の強調や説得力と連動していくこととなろう。さらには、
諸アクターのネットワーク世界も国内におけるリージョン、さらにはコミュニティレベルへの「ミクロ化」と同時に、ボーダレスにEU諸国、世界諸国へと「マクロ化」していくことは避けられないであろう。まさに内向きと外向きに突き進む政策と諸アクター連関のベクトルをどのように協働関係に組み込んでいくかが、より一層問われる所以であろう。
註
[1] Department for Culture, Media and Sport, The Government’s Plan for Sport (London, 2001).
[2] Sport England, Good Practice Guide Providing for Sport and Recreation through New Housing Development(London, 2001).p.86.
[3] 地方自治体レベルへの「ベストバリュー」の適用については、2000年4月に、すべての地方自治体がすべての職務とサービスを対象とする業務改善の継続を確保するために開始され、経済性、効率性、有効性といった観点から、また、コミュニティとの協議を通じて取り組まれているとし、スポーツ政策領域における具体的な業務遂行指標として、以下の9項目が掲げられている。すなわち、
@ 地方自治体はスポーツ戦略を採択しているのか。「良質な実践」(best practice)に関するチェックリストに記入、
B 体育の授業に週2時間以上費やしている青少年の割合、
C スポーツクラブのメンバーである住民の割合、
D 人口千人当たりの有資格のスポーツ指導者、コーチ、担当職員の数、
E 現行のスポーツサービスに満足している住民の割合、
F 当局のスポーツサービスは一連のサービス水準に達しているか。良質な実践に関するチェックリストに記入、
G 人口千人当たりのスポーツ行政サービスの歳出、
H 人口千人当たりのスポーツ諸組織に関する歳出、
である。(*Sport England, Performance Measurement for the Development of Sport, Consultation Draft, January 2001 (London, 2001)pp.9-18.)
[4] Sport England, Active Schools News, Issue 3 Summer 2001(London, 2001).
[5] Sport England, The Player, Spring 2001(London, 2001).
[6] スポーツマッチに関する説明として、「政府の草の根スポーツをめぐるスポンサーシップのインセンティブ計画である。文化省とスポーツイングランドから資金提供がなされ、イングランド内において『スポーツ・スポンサー機構』(Institute of Sports Sponsorship)によって管理される。スポーツイングランドは政府から年間約330万ポンドの資金提供を受けている」とある。(http://www.sportsmatch.co.uk)
[7] Sport England, Sport England Annual Report 1999-2000 (London,
2000)pp.102-103.
[8] Sport England, English Sports Summit (London, 2000)pp.1-40.
[10] UK Sport, UK Sport Annual Report 1999-2000(London, 2000)pp.1-17.
[12] The Central Council of Physical Recreation, Active Britain, A Manifesto for Sport and Recreation (London、2001)pp.1-18.
[13] しかし、例外的に「スポーツマッチ」(最低額で1000ポンド、最高額で5万ポンドが草の根スポーツに提供される。ただし、学校の場合最低額は500ポンド。スポーツマッチ獲得に向けた申請はスポーツとスポンサーによって共同でなされなければならないとされる。)に関するCCPRの見解は、以下のように文化省のそれとほぼ一致していると見なすことができるように思われる。すなわち、「草の根スポーツに新たなスポンサー金をもたらすものである。スポーツマッチは参加と技術の向上を促進する。スポーツに広範囲な観衆をもたらすことによって、スポーツマッチはこの国のあらゆるスポーツの将来に積極的に貢献するのである。若者、コミュニティ、身障者スポーツ、学校に重点を置くことにより、スポーツマッチはスポンサーを、通常はスポンサーにとって有望だとは思えないような大会にスポンサーを誘引することが可能となる。」という見解がそれである。(http://www.ccpr.org.uk/clubs/index.html)
<参照サイト>
http://www.culture.gov.uk/sport/index.html
イギリス文化省スポーツ担当部門のページ
* この小論は中村祐司「イギリススポーツ政策における公的セクターとボランタリーセクターの協働と課題」(『宇都宮大学国際学部研究論集』12号、2001年10月)(印刷中)を要約したものである。