Miykaey010530

 

三宅 由佳理

 

JリーグDivision1J1)昇格チームのスポーツ振興に関する考えと、地域に根付いた活動内容という2つの側面から、スポーツ振興くじ(toto)の売上金の使用用途について考えていくことにする。

前回にも述べたとおり、日本詳しい収益配分は、平成14年度から行う予定であり、体育・学校健康センターでは文部科学省が中央教育審議会の審議を経て決定する収益の使途についての基本的方針を踏まえ、平成13年度に具体的な交付の基準及び手続き等を示す交付要綱を定めるとしている。よって日本におけるくじの収益の使用はまだ完全に行われてはいない。よって、海外の現状について見てみることにする。

 

サッカーの発祥地であるイギリスでは、1923年からサッカーでカルチョを始めていた。その収益の配分は、国庫納付金26%、スポーツ関係支援9%、運営費30%という具合で、スポーツ振興くじとしての役割は小さいといえる。しかしながら、年齢制限が17歳以上と低いので、くじそのものを楽しむ人々にとっては身近な存在である。(日本では購入できるのは20歳以上)

http://www.kuji.ntgk.go.jp/outline_d.html

 

次に有名なのがイタリアのトトカルチョである。トトカルチョ自体は1946年に始まったもので、全試合が対象であるが、後に始まったトトゴールやトトセイなどは、対象となる試合が78試合と少なく初心者でも楽しめるので、くじとしての娯楽的要素が大きいものになっている。また、購入に関する年齢制限は無い。

http://www.kuji.ntgk.go.jp/outline_a.html

 

スイスは収益金の使用用途がとても細かく設定されており、一般に公開もされている。配分は各州を経由して各スポーツ団体へ36.75%、オリンピック委員会12.25%、国庫納付金1%の割合で定められている。また、その使途についてはスポーツ施設39%、クラブ・連合会への寄付20%、備品の調達10%、スポーツ大会の実施など5%、スポーツ教室・合宿9%、積立金・管理費17%となっている。さらにオリンピック委員会への助成の内訳も出ており、国際大会への準備及び派遣34%、スポーツ助成、トップスポーツ助成、若手選手の育成31%、医科学、ドーピング対策5%、競技場補助12%、運営費など18%となっている。

年齢制限が無いこと以外は、システムそのものは日本のものと似ている。

http://www.kuji.ntgk.go.jp/outline_h.html

 

Jリーグ1stDivisionのチームであるFC東京では、ホームの調布市教育委員会に対して東京スタジアム周辺地域のスポーツ振興安を提出している。その中で、

「FC東京を応援することで地元の人々が楽しくまとまとりながら結果的に他地域市民の人たちをうまくリードしていければいいと考えています。もし万が一、スタジアム周辺地域の盛り上がりのないオール東京のチームになってしまったとしたら、FC東京は試合をにしに来るだけのただのプロサッカーチームになっていまう。」と述べている。

プロのチームである以上、試合の結果が重要ではあるが、同じくホームタウンでの地域的な活動も大きな役割である。そしてその運営に関しては、それぞれの個性を出してよい。ただ、運営費という面から困難な状況に追い込まれるチームも少なくない。スポーツ振興くじの収益の使用用途は今の段階でプロのスポーツに使用されないと定められているが、活動目的によってはプロチームに使用することも許されるのではないか、検討するべきなのかもしれない。

http://www.annie.ne.jp/~fctokyo/teian/teiansho.htm