Akais010704 余暇政策論レポート 『福島県における地元密着型テレビ局』K990501 赤井里美 

 

1.はじめに

 

現代の私たちの生活にはテレビが密着しており、テレビから得る情報は莫大な量である。最近ではケーブルテレビが普及し、地元密着型のテレビ局が増えた。私の地元である福島県のテレビ局は地方テレビ局で、福島県の情報番組や県内ニュースの番組などが多数あり、福島県に密着したテレビ局となっている。

福島県には以下のテレビ局がある。

FCT福島中央テレビ、KFB福島放送、TUFテレビユー福島、FTV福島テレビ、NHK福島放送局

 

そして私のふるさと伊達町には平成11年に伊達町ケーブルテレビ局が開局した。このような地元密着型テレビ局はどのような特徴があり、またどんなメリットがあるのか、各局が開設しているホームページを参考に見ていきたいと思う。

 

 

    2.FTV福島テレビにみる地方テレビ局制作番組の特徴

 

 先にも述べたとおり、地方のテレビ局の制作番組は、地元の情報を提供する番組が多い。ここでFTV福島テレビの自社制作番組を紹介する。

 

L番テレポート、サタデー福島、カラオケグランプリ、くらしの情報、ときめきうつくしま、Beerフレンズ


一部の番組内容を紹介する。

l         L番テレポートという番組は毎週月曜〜金曜夕方5:00〜7:00に放送している。内容は、その日の県内ニュース、福島県近隣のニュース、全国ニュース(全国のニュースはフジテレビからの放送となる)をはじめ、県内各地のうわさのお店の紹介や暮らしに役立つ情報、週末には県内外のお出かけ情報なども紹介。街角からの中継もあり、時々『友だちが出ている!』ということもある。

 

l         サタデー福島という番組は、毎週土曜日のお昼11:45〜12:45から放送している。内容はL番テレポートと似ているが、放送が土曜日ということもあり、週末に日帰りでいけるお出かけ先の紹介などがメインである。


 


このように、これらの自社制作番組は地元の情報を提供する番組が多いことが分かる。このような番組が多いのはFTV福島テレビだけに言えることではなく、他のKFB福島放送、TUFテレビユー福島、FTV福島テレビ、NHK福島放送局にも同じことが言える。これらの番組で紹介されて地元でうわさになった店も少なくない。また、イベントの宣伝活動(高校・大学の文化祭のPR活動、町おこし、音楽祭のPRなど)も盛んに行っている。その他には地元に伝わる生活の知恵の紹介、郷土料理の紹介、そしてその地の旬の情報(例えば信夫山の桜はいつ頃が見ごろか、いわき港で獲れる魚は今何が旬か、)などの提供も数多くある。

 

3.伊達町ケーブルテレビ局  

 

伊達ふれあいセンター

                     

この中に伊達町のケーブルテレビ局がある 

                                                     

 情報化社会、高齢化社会、生涯学習に対応する拠点施設として、ケーブルテレビ、保健センター・デイサービスセンター・在宅介護支援センター、図書館を併せた複合施設として建設。
 緑豊かで静かな環境に恵まれた阿武隈川沿いに、約19000uの敷地に鉄骨造一部3階建、延べ床面積約4640uの建物を配している。建物の特徴は,阿武隈川の流れをイメージした緩やかに曲がる大きな屋根。

(『伊達町ホームページ』より)

 

先に述べたように平成11年、伊達町にケーブルテレビ局が開設された。テレビ局を開設するまでの流れは以下のようである。

 

事業経過

 平成5〜6年

地域情報化施策として、ケーブルテレビを調査

平成6年5月

地域政策課題と財政支援でリーディングプロジェクトを調査。
情報化、保健福祉、生涯学習のための施設整備を検討

平成6年10月

施設整備の財政支援をリーディングプロジェクトに決定

平成7年4月

自治省に事業要望調書提出

平成7年10月

リーディングプロジェクトの指定を受ける(計画づくり)

平成8年7月

事業認定申請(自治省へ推進計画書提出)

平成8年10月

事業実施の指定を受ける

平成8年12月

町民説明会

平成9年10月

有線テレビジョン施設設置許可(郵政大臣)

平成9年12月

着工

平成11年2月

建物引き渡し

平成11年4月

開館

(『伊達町ホームページ』より抜粋)

 

伊達町ケーブルテレビの特徴と利点

l         アンテナ・パラボラ不要で申し込みも非常に楽である

l         伊達町の行事を毎月紹介(地域情報が満載)

l         最大27チャンネルで、映像も非常にきれいである

l         災害時にも音声ですばやくニュースをお届けできる「音声連絡放送」の利用が可能となる

l         伊達町ケーブルテレビ加入者同士なら通話料無料の「ケーブル電話(だてフォン)」の利用が可能となる

l         自宅にいながら血圧・心電図・心拍数などが測定できるシステムの利用可能

 

 ・最大27チャンネル、というのはBSデジタル放送やWOWOW、その他の衛星放送なども別料金で見られる、ということである。地域によっては最大50チャンネルも見られる、というところもあり、このサービスは今後ますます充実していくだろう。

 ・自宅にいながら血圧などの健康管理ができるというのはお年寄りが非常に多い伊達町にとって非常に助かるシステムである。ケーブルテレビ局の入っている伊達ふれあいセンターの目的のひとつである「高齢社会に対応する施設」としての一環なのであろう。

伊達町ケーブルテレビ局による制作番組は、伊達町の幼稚園・小中学校の行事、町の祭りなどイベントごとを放送するものが主である。また、伊達町定例議会も中継する。

番組例(五月)

・伊達中学校中国研修旅行
・愛宕神社祭礼 箱崎の獅子舞(境内編・地区廻り編) 

・伊達小学校、東小学校、伊達中学校卒業式

・伊達幼稚園、伏黒幼稚園、伊達小学校、東小学校、伊達中学校、伊達保育園入園、入学式特集

(伊達町ホームページより)

 

 伊達町ケーブルテレビによる番組の特徴は、なんといっても『町のケーブルテレビだからこそできる番組作り』である。上記の番組例を見ても分かるとおり、番組はどれも伊達町(町民)の行事に関連したもので、はっきりいってしまうと伊達町に関係のない人々にとってはあまり関心のない内容の番組の数々である。しかしこれらは全国の人々に向けて発信している番組ではなく、伊達町民のみを対象としたテレビ局の番組である。伊達町の人々が楽しめる番組作りということが何よりも大切なことである。

                                                                          

私が今も伊達町に住んでいたら、母校である小中学校の今の様子がテレビを通じて見ることができるというのはとてもうれしい。幼稚園・小中学校に通う子どもたちの家族や親戚、近所の人々が子どもの様子をテレビで放送されるというのはやはりとてもうれしいだろう。テレビを通じて町の人々が学校の様子を知ることができれば、伊達町ケーブルテレビの作る番組が学校の情報提供につながり、『開かれた学校づくり』へ発展するのではないだろうか。

また、体が不自由なため外出できないお年寄りにとって、テレビで町の祭りの様子が家にいながらテレビで見られる、というのはありがたいサービスであろう。

 

さらに、伊達町ケーブルテレビでは毎月の定例議会の生中継を行っている。この放送は非常に意義があると思う。実際、この定例議会の生中継を見ている家庭は少なくない。伊達町民が自分たちの町で実際どのような政治が行われているのか、ということに関心が高まったのではないか?また、議会に参加している議員たちもテレビで中継されているため、今まで以上に緊張感を持って議会に参加できるであろう。そして、テレビの中継が伊達町の政治の透明性への第一歩になれば、と強く思う。

 

4.他地域のケーブルテレビ

 現在、日本には多数のケーブルテレビ局がある。今回のレポートを書くにあたっていくつかのケーブルテレビ局のホームページを見た。すると、これらのケーブルテレビ局には共通点があることが分かった。ひとつめは、これらのケーブルテレビ局の自社制作番組は先にも述べたように地域に非常に密着している、ということである。例えば神奈川県の「はまっこチャンネル」の自社制作番組『はまっこアイ』は地元南区・磯子区・中区を中心とした地域の話題や、旬の情報・商店街のお得な買い物情報などをもとに放送されている。宮城県のケーブルテレビ局「ケーブルテレビ局キャベツ」の自社製作番組『ハッピースクウェア』では毎月、ひとつの地域にスポットをあてて、その地域の特徴、また、その地域で行われている地域活動の様子などを紹介、そして地域の現在かかえている問題、その取り組みなど住みよい街づくりのための工夫なども取り上げている。福岡県のケーブルテレビ局「くーみんテレビ」では他地域のように地元の情報を提供するほか、地元福岡ダイエーホークスのホーム試合を完全生放送し、試合結果も自社のホームページに載せている。地元ならではの情報提供である。このような点からも、各地のケーブルテレビ局はその地域地域との係わり合いが強く、密接した関係にあることが分かる。

    5.最後に

 いくつかの地方テレビ局、ケーブルテレビ局にホームページを通してこれらのテレビ局がいかに地域に密着した番組を制作しているか、ケーブルテレビの特徴をいかしてさまざまなサービスを利用者に提供しているかがわかった。サービスの充実度に関しては私の想像をはるかに越えているものもあり、非常に驚いた。私たちはこれらのテレビ局が提供する数多くの地域の情報を見分け、上手に利用していくことが必要である。テレビの情報をただ鵜呑みにするのではなく、情報を見分けることのできる「目」を持ち、必要な情報、自分にとって役立つ情報とそうでないものをきちんと区別することがこれからの情報化社会において情報にのみ込まれずに生きていくことが大切になってくる。

 ケーブルテレビ局や地方のテレビ局の自社製作番組というのは、地元からの情報が何よりも大切になってくるであろう。自社製作番組の充実度は製作者の情報量、技術はもとより、いかに地元を見つめているか、地元に密着しているか、地元の人々からの信頼を得ているか、といったことに懸かっている、といっても過言ではないだろう。

ケーブルテレビの「最大50チャンネル」などのうたい文句を見ても分かるとおり、現在テレビは多チャンネル化に間違いなく進んでいる。多チャンネルテレビの時代になれば私たち視聴者の番組の選択範囲は今よりも大幅に広がる。そうすれば視聴率などは何の意味も持たなくなり、今のテレビ番組の大半を占める、高視聴率だけを目的とした若者をターゲットとした内容の薄いくだらない番組が減り、内容の充実した、視聴者の必要とする情報を提供してくれる番組が増えていくのではないだろうか。私はぜひそうなっていって欲しい。 

 

参考ホームページ 

FTV福島テレビのホームページ http://www.fukushima-tv.co.jp/

番組案内をはじめ、会津磐梯山に設置されたカメラからのライブ映像、映画情報、イベント・ライブ情報盛りだくさんのホームページ。番組の紹介のページでは地元の飲食店情報や、暮らしに役立つ情報、県内各地の天気予報なども掲載している。他のフジテレビ系列テレビ局のホームページへのリンクも可。

 

伊達町ホームページ http://www.safins.ne.jp/DateTown/

伊達町の案内として、産業情報・教育・福祉・祭り・歴史・伊達町特産物・文化財などを紹介。また、伊達町未来計画と銘打って、現在の伊達町の都市基本構想・環境共生事業・地域情報化事業についての情報を掲載。そのほかにもその時々の伊達町の行事(成人式・卒業式・入学式・運動会など)も紹介。伊達町ケーブルテレビ局についての紹介。

 

神奈川県のケーブルテレビはまっこTVホームページhttp://www.ytv.ne.jp/broadcast/hamakko.html

 自社製作番組の詳しい案内をはじめ、他のケーブルテレビ局同様、加入方法、ケーブルテレビの仕組みや特徴、利点、さらにサービス内容について詳しく情報提供している。他局のテレビ局へもリンク可。

 

宮城県ケーブルテレビ局ケーブルテレビキャベツのホームページhttp://www.cabbage.co.jp/

自社製作番組案内をはじめ、宮城県の各種イベントの紹介、東北レジャー情報、お料理リンク集などの情報が詰まったホームページ。自社製作番組の『ハッピースクウェア』の翌月のスポット地域の情報提供への呼びかけもある。加入方法をはじめとしたケーブルテレビ局の説明もある。

 

福岡県のケーブルテレビくーみんテレビのホームページhttp://www.kumin.ne.jp/kumin/

自社製作番組案内をはじめ、地元福岡ダイエーホークスの試合結果もある。加入方法をはじめとしたケーブルテレビ局の説明もある。