余暇行政論

   余暇行政論

「余暇と美術館・博物館(日米比較)」         高橋豊(mk990108)

このテーマを選んだ理由は下記の理由による。

どうすれば、余暇に、美術館・博物館が充分に活用されるのであろうか。これを二つの視点で、アメリカの美術館・博物館と比較しながら考えていきたい。

美術鑑賞を趣味とする人が、ホームページを見て、訪問を検討中と言う設定である。

1.「好奇心」を満足させれば、利用度が向上するのではないのか。

2.鑑賞者を満足させるサービスとは何か。

下記の絵画はニューヨーク近代美術館(MOMA)の絵画だがこの作品が何故収蔵されている考える事から始めたい。

T.美術館の場合:

ピカソの絵画が展示されているのは、有名だからでなく、MOMAが、この作品が鑑賞者に「知的好奇心」を刺激すると考えているからだ。(アメリカの近代美術は、ヨーロッパの美術から開放された時点で、アメリカ美術になったので、この作品は、境界線にあるとも言える。)http://www.moma.org/docs.cfm/collection/paintsculpt

 

では、日本の場合は、どうであろう。東京都現代美術館では、「現代美術の系譜を体系的に紹介し、展示構成は、第二次世界大戦後直後の日本の前衛美術から始まり、日本の美術のその後の展開を基軸とし、同時に海外の作品が加わる事で、国際的な視野から現代美術が捉えられる」と言う言葉の説明だけで、ホーム・ページ上に日本の代表作品が掲載されておらず、イメージがわいてこない。次に、鑑賞予定者は、祭事日程を確認するこれは、明快だ。

http://ww.tef.or.jp/mot/eventinf/index.html

美術館訪問の帰りに、当日の展示に関した本あるいは、現代美術の本を買いたいと思ったが、当該のホームペ−ジには記載は無かった。もし、この美術館が気に入ったらボランティアで働いてみようかと思った。「友の会」と書かれているが、詳しい説明がない。MOMAの方を見たら、詳しい説明がされていた。Volunteer programとして、条件も明記されていた。Qualifications:Conversational skill in a foreign language or sign language is preferred.この条件の中に、手話通訳も載せていることは、非常に良いことだ。最近、車イスの事が、日本でも考えられるようになったが、これからは、手話も公共施設では大事だろう。

http://www.moma.org/docs/education/volunteer/index.htm

 

U.博物館の場合:

博物館は、国立民族博物館(民博)とJewish Museumを比較してみたい。「文化」には普遍的な性格と個別的な性格があるが、正に民博は普遍的な文化が存在する事を認識した上で、個々の文化を取り上げているのに対し、Jewish Museumはあくまで文化の個別性に焦点を当てている。アメリカが多民族国家であるが為に、民族のアイデンティティを示すために、このような種類の博物館は必要とされるのであろう。かって、民博で、「異文化へのまなざし(大英博物館コレクションにさぐる)」(1997.9.25―1998.1.27)によれば、「アフリカとオセアニアを奥地と楽園と対照的に捉えるが、これは西洋から見ての場合だが、日本もこのまなざしで見るが、日本も又西洋から見れば【異文化】にほかならないので、自ら西洋のつくりだした【異文化観】を受け継いだのではないか。展示を通して自分自身の異文化観を見なおそう」と説明している。

http://www.minpaku.ac.jp/museum/tour/special-

民博が単なる「展示施設」に終わらず、上記のような問題提起を行えるのは、総合研究大学院大学文化科学研究科と言う学部を持たない大学院として昭和63年10月1日に開設したり、さらに、地域研究企画交流センターを1994年6月に付設している事も理由として考えられる。

では、アメリカのJewish Museumはどうであろう。「文化」の個別性を展示の思想で述べている。「いかにして、この数世紀を生き長らえたのか」「ユダヤ民族のアイデンティティの構成要素は何か」と2つのキイーワードを使っている。

これは、ユダヤ民族がDiasporaと言う単語で説明できるほど単純なものでない。移民先で、「倹約、質素、野心、教育志向、遠い先の目標を達成する為、目の前の満足感を先送りする」中産階級的価値観を持つことで、成功を収めただけに、自己文化に憧憬が強いのであろう。(ロナルド・タカキ著「多文化社会アメリカの歴史」第11章参照)

 

 http://www.jewishmuseum.org/pages/permanent-

博物館は、美術館に比べ、「好奇心」を満足させると言う点かれすれば、まさっているが、「勉強」をしたり、知識を習得する場ととも言えるので、やはり、少し堅苦しく、鑑賞者に「サービス」を提供すると言う点では劣るのかもしれない。しかし、これからは、図書館で、百科事典を調べたり、インターネットで済ませるのではなく、アーカイブ(古文書館)に準じた形で利用すれば、活用が広がるとも言える。最近、普通の人が「自叙伝」を作る為の「ソフト」の人気がでていると聞くが、「ソフト」の利用も良いが、博物館は、きっと、一味違った情報を提供してくれるであろう。

V.余暇を充実させる美術館・博物館の楽しみかた:

高齢化社会を迎えるこれからは、自分たちが、MUSEUMの館長であり、理事長であると言う気持ちで、MUSEUMに立ち向かっていかないと、充実した「余暇」の過ごし方にならない。本年5月のNHKの「新日曜美術館」で紹介された画家なので、ご記憶の方も多いと思うが、17世紀のオランダ(デレフト出身)画家フェルメールは、生涯でたったの36枚しか絵画を残していないと言われている。盗難でみつからない作品、真作の是非が問われているのを除けば34点とされている。この34点を生涯に全部鑑賞しょうと世界中を旅している人がでてきている事である。私の知り合の男性も20年かけて、30点近く鑑賞し、残り数点をいかにして鑑賞しようかと楽しみにしている。これからは、世界中の美術館・博物館が、自分の鑑賞対象と考え、インターネットで、先ず、「バーチュアル・美術館鑑賞旅行」を行い、自分にとって一番、時間的・金銭的に都合の良い時に「美術館鑑賞旅行」に出かければ良いと言える。旅行会社も最近は、色々、良い「企画」をたてるが、まだ、まだ「大美術館・大博物館」が多い。やはり、専門家にもっと協力して欲しいものだ。規模でも、コレクションでも、アメリカのMetropolitan Museumを見ると、面白いコーナーがある。“SUPPORT THE

MET“である。すなわち、美術館のサポーター・クラブである。色色書かれているが、サポータの特典で、、やはり一番嬉しくなるのは、トラベル・プログラムだろう。美術館が企画して「海外旅行」を行うのだ。まだ、この企画を利用して、旅行した人の話はきかないが、いずれ、周りに体験者が現れるだろう。やはり、「余暇は有効に活用したいものである」

http://www.metmuseum.org/support/index.htm

リンク先選定の基準:

自分が、「学芸員資格」保持者として、美術館・博物館を訪問する機会が多いのだが、必ずしも満足するわけでもない。

今回、このレポートを作成する為に、いろんな「ホーム・ページ」を見て気づいたのだが、「見て楽しくなる」美術館は、やはり現実も、魅力がある事を発見した。日本とアメリカの大都市の美術館・博物館の紹介になってしまつたが、訪問するチャンスも多いと思い選んだ次第である。

 http://ww.tef.or.jp/mot/every/index.html

http://www.moma.org/menu/onnow.htm

http://www.minpaku.ac.jp

http://www.jewishmuseum.org/pages/permanent

http://www.metmuseum.org/home.asp