余暇行政論レポート

国際学部国際社会学科 2年

990136B

田島優子

ミュージカル

T はじめに

日常生活で体験できない感動を味わえる旅は人をやみつきにしてしまうものですが、ミュージカルにも同じことがいえそうです。鍛え抜かれたプロの役者の技、壮麗なオーケストラ、拍手でわき上がる客席。ライブの舞台の世界に身をおいて笑ったり、泣いたり……。こんなぜいたくなひとときは、ふだんの生活ではなかなか味わえないと思います。ミュージカルの本場はニューヨーク、次いでロンドンといわれています。私は今回、ミュージカルというものについて、特にニューヨークのブロードウェイ・ミュージカルに焦点を当てながらご紹介いたします。あなたもぜひ、一流の舞台に触れてみてください!

 

U ミュージカルの分類

  1. 一般的にミュージカルとされているもの

<シネマ・ミュージカル>
ミュージカル映画のことです。かつて米国で500本以上も制作されましたがお金がかかりすぎるので、今はほとんど作られていません。シネマ・ミュージカルのメッカは今やインドです。独特の歌や踊りに加え、アクションや笑いもふんだんに盛り込まれた楽しい作品ばかりです。日本でもたまに思い出したように作られています。

<シアター・ミュージカル> 
劇場で公演されるミュージカルのことです。最近のロンドン・ミュージカルはオペラとも区別が付きにくくなりました。ビデオで気軽に楽しめるシネマ・ミュージカルとは違って、大都市でしか観ることができません。日本は劇団四季の全国展開のおかげで、地方都市でも本格的なミュージカルを楽しめます。俳優の層の薄さが気になりますが、世界でもおそらく日本だけであろうこの幸運を評価してあげるべきなのかもしれません。ミュージカルの本場、米国でも常時観ることができるのはニューヨークくらいなものです。

2.ミュージカルの祖先

<歌劇(オペラ)>
かつては歌だけで芝居が進行して行くという形式の違いで、ある程度はミュージカルと区別できましたが、最近はそれも難しくなりました。もはや区別するのはやめて、「オペラはミュージカルの古典」と考えた方が良いと思います。あえて線引きするなら、19世紀までの作品はオペラ、20世紀以降はオペレッタも含めて、全てミュージカルとするのが適当でしょう。ミュージカル・ファンは潜在的なオペラ・ファンなのです。

<喜歌劇(オペレッタ)>
歌劇の中で悲劇をオペラ、喜劇をオペレッタとして区別しているような感じです。しかし喜劇が多いモーツアルトの作品はなぜかオペラに入ってしまっています。
18世紀の当時、オペレッタというジャンルがなかったからなのでしょうか。 20世紀になってレハールやカールマンが活躍し出すと事態はますます複雑になって行きます。彼らはオペレッタとしながらも悲劇を制作しました。いやそれどころか、その新しさはそもそもミュージカルの始まりだったのです。オペラとミュージカルとの架け橋になったのがオペレッタです。
http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Theater/6572/musical-bunrui.htm

U ミュージカルの見方

<シネマ・ミュージカル篇>

この数年、「美女と野獣」、「ノートルダムの鐘」、「エヴィータ」、・・・と、そこそこの作品の上映が続いていますし、インド映画もがんばっていますが、それでもなお絶対数の少なさは否めません。また、過去のミュージカル映画のリバイバル上映もほとんどないという状況です。ミュージカル映画を映画館で観るのは非常に難しくなってしまいました。
 と言うことで、「シネマ・ミュージカルを観る」とは、すなわち、「ビデオなどで自宅で観る」ことを意味します。ビデオはかつては1本1万円以上していましたが、今は2〜3千円台のお手頃になっています。輸入盤も20ドル以下で手に入ります。通販もやっていますので便利です。多少リスクはありますが、インターネット通販で輸入するという手もあります。カタログを見たりするとびっくりしますが、米国制作のミュージカル映画だけでも500タイトル以上あります。これに日本、フランス、インドも加えると600タイトルくらいになるかもしれません。レンタルでもありますが、どこも品揃えがいまいちです。メジャーな作品しか置いていません。
 

<シアター・ミュージカル篇>

  1. 日本で観る

 ミュージカルも昔はがらがらで、劇場にぶらっと立ち寄っても必ず当日券があったものでした。しかし今や大人気。前売り券なしでは観れなくなってしまいました。そして、それを入手するのもまた一苦労。発売開始当日にぴあやチケットセゾンなどにTELしても、良い席を確保するのは至難の技です。で、どうするかと言いますと、会員になるのです。私は四季の会に入っていました。海外勤務(米国)に出る時に脱退して、そのままになっていますが、なかなか便利な会でした。年会費が2千円くらいで、毎月機関誌が送られてきます。これに四季の様々なニュースが満載されています。そして、会員になると一般よりも数週間先に先行予約ができます。
 さて、実は裏技もあります。公演当日、開演前に劇場入り口に行ってみて下さい。必ず余ったチケットの引き取り手を捜す人がいます。半額以下で譲ってもらえたりします。インターネットの掲示板やパソコン通信の会議室などでも、情報が入ってきます。
(2)海外で観る
 
ロンドンやニューヨーク、ウイーンなど海外におけるミュージカル公演でも、チケットは日本で入手できます。日本航空が扱っています。原価(ニューヨークで65ドルくらい)に手数料(25%)が上乗せされますが、安全・確実に良い席を確保できます。米国に在住していても日本航空を頼りにしている人がいるくらい便利です。最近はぴあも扱っていますし、インターネットで直接取引することもできるかもしれません。
 実は、必ずしも事前にチケットを入手しておく必要がないということも知っておいて下さい。一部の人気公演を別にすれば、半端な席のチケットは必ず余っています。1人で観るならば何の問題もないでしょう。 劇場のチケット売場に直接行って聞いてみて下さい。
 
http://www.geocities.co.jp/Hollywood-Theater/6572/musical-mikata.htm

 

V ブロードウェイについて

ブロードウェイと言っても色々あります。オンとオフ、オフ・オフの3種類があり、こうした呼び方が一般的になったのはごく最近のことです。「ブロードウェイ」で上演されているというと、それだけで一つのステイタスになる訳で、その区分けが必要に応じてできてきたようです。

●オン・ブロードウェイ

オン・ブロードウェイの劇場リスト ニューヨークの劇場は、客席数によってオン・ブロードウェイとオフ・ブロードウェイに分けられています。オン・ブロードウェイとは300席以上の大劇場をさします。製作に多額な資金を投入した作品は、必然的にこちらで上演されることになります。劇場は43丁目から53丁目までに集中します。

●オフ・ブロードウェイ

オフ・ブロードウェイの劇場リスト 客席数が100席から299席までの劇場をさします。42丁目付近のほか、マンハッタンのさまざまな地域にあります。規模が小さいから上演作品のクオリティが低いかと言えば、そんなことは決してありません。新人の俳優、新人の脚本を積極的に採用する実験的な上演が多いですが、ヘンリー・フォンダ、メリル・ストリープ、ダスティン・ホフマンなど、オフから誕生したスターは少なくありません。 オフ・ブロードウェイで話題を呼びオン・ブロードウェイの主流となるケースもあります。1996年に演劇界の話題をさらった「レント」も、オフで絶賛を浴びてから大劇場に進出した作品です。

●オフ・オフ・ブロードウェイ

客席数が99席までの小劇場をさします。実際にはロフト、教会、コーヒーハウスといった場所で上演されることが多いです。前衛的でユニークなパフォーマンスが試みられますが、新聞や雑誌に情報が載らないので、旅行者が質の高い作品を見つけ出すのはむずかしいです。

http://www.geocities.com/Broadway/7246/(上の三種)

 

さて、ブロードウェイ・ミュージカルに興味はありますか? 時々、日本公演も来るけど、実際ブロードウェイで見れば日本で見るのとでは、劇場の雰囲気 からお客さんの反応はもちろん、役者の輝きが全く違うことに気づくと思います。特に劇場は 古いものが多く、パリオペラ座でなくても怪人が住んでいそうなところが多いです。では、ニューヨーク、ロンドンでのミュージカル観劇の際によくたずねられる質問をQ&A式につづってみましょう。

 

Q.1ミュージカルは英語がわからなくても楽しめますか?

ミュージカルは簡単にいえば、歌やダンスがドラマに加わったものですから、ストーリーさえ把握していれば、たとえ英語があまり聞き取れなくても十分に楽しめます。作品によって難易度が違いますので、最初はなじみやすい作品から選ぶとよいでしょう。「オペラ座の怪人」や「美女と野獣」などは比較的ストーリーがわかりやすい作品です。しかも映画になっていますから、事前に映画を観ておけばバッチリです。

 

Q.2どんな作品に人気がありますか?

たとえばニューヨークでは、長くロングランしている『オベラ座の怪人』や『レ・ミゼラブル』、『美女と野獣』といった作品が一般に人気作といわれています。ただこれは国際的な知名度からのもので、実際に観客動員数の多い作品とは多少ずれがあるようです。

『各品名 客席占有率』

1「レント」 101.88%

2「オペラ座の怪人J 101.62%

3「レ・ミゼラブル」 97.67%

4「ブリング・イン・ダ・ノイズ・フリング・イン・ダ・ファンク」 96.95%

5「王様と私」 96.33%

これによると「美女と野獣」は8位、「キャッツ」は10位でしたこ順位は週によつて多少変動があります。

どの作品を観るか迷ったら、まずは人気作から当たってみることです。

 

Q.3いわゆる”良い席”はどこですか?

ライブのステージは、良い席で観ると感動の度合いもずいぶん違うもの。ですから、観やすい席で観ることをぜひおすすめします。一般には、 1階席中央の前から5〜10番目あたりがもっとも良い席とされています。ただし、演目や劇場の構造によつて多少相違があるので注意が必要です。たとえば『レ・ミゼラブル」のような大仕掛けの舞台は、 1階席よりも張り出した2階席前列の方が観やすいのです反対にスターが出演するショーならり”かぶりつき”の最前列も悪くありません。ところで、ニューヨークの劇場は客席番号の配列が複雑で、慣れないうちは戸惑うかもしれません。100番台が中央の席で、偶数または奇数同志が隣の席です。

 

Q.4観劇にふさわしいシーズンはいつですか?

ニューヨークでは4月〜トニー賞授賞式のある6月上旬、新しいシーズンが本格的に始まる10〜12月が観劇にはよいシーズンです。この時期は新作がたくさんオープンして、劇場街も何となく華やいでいます。反対に観劇にあまりふさわしくないのが、夏とクリスマス休暇の後です。客足が落ちてきたショーがどんどん閉幕してしまうからです。

 

Q.5ニューヨーク、ロンドン以外でもミュージカルは観られますか?

はい。海外でミュージカルの上映が盛んな都市にはほかに、サンフランシスコ、口サンゼルス、シカゴなどアメリカの都市、 卜ロント、ウィーン、ソウル、テルアビブ、メキシコ・シティなどがあります。ただしロングラン形式で上演されているショーが少ないこともあり、いつ行っても観られるとは限りません。

http://interq.interq.or.jp/world/kaiken/musical.htmQ&A)

 

W お気に入りの作品

ニューヨーク、ロンドンでヒットしているミュージカル

(○=ラヴ ロマンス ◆=泣ける話 □=コメディー ◇=大人向け●=ファミリー向け ▲=音楽がイイ■=ダンスに注日 ☆=スターが出演!◎=会話がないショー L=ロンドンでも上映中)

 

『オペラ座の怪人』 THE PHANTOM OF THE OPERA ○◆◇▲L

ゴシック・ホラーの名作をとびきリロマンチックにミュージカル化。19世紀のパリ・オペラ座を舞台に、怪人と若く美しい歌姫の悲恋を格調高くも官能的に 描く。アンドリュー。ロイド=ウェバーの美しい音楽、落下するシャンデリアやオペラのシーンなど目まぐるしく変わる豪華なセットも見どころ。

 

『レント』 RENT ○◆▲■

ドラッグやエイズの問題を抱えたニョーヨークの若者の街イースト・ヴィレッジを舞台に、SMクラブで働く娘とロック・ギタリストの純愛を描いた感動的なロック・ミュージカル。雰囲気を出すためにロビーなどがわざと安っぽく飾られている.ピューリッツアー賞を受賞し、またニューズウィーク誌の表紙にもなって、 今もっともチケットの取りにくい作品。

 

『レ・ミゼラブル』 LES MISERABLES ◆●▲L

ヴィクトル・ユーゴーの長編小説をミュージカル化。ジャン・バルジャンや彼にまつわる人びとのヒューマン・ドラマが、回転盤に乗ってよどみなくつづられる。群衆やバリケードなど巨大なスペクタルの迫力に、きっと心ゆさぶれられるはず。

 

『美女と野獣』 BEAUTY AND THE BEAST ○●▲

ディズニーのアニメ映画をそっくりそのまま舞台化したミュージカル。アメリカらしい楽天的で夢のあるステージは、大人も子供も楽しめる。野獣が王子様に一院のうちに変身するなどのトリックがみどころ。

 

『キャッツ』 CATS ○▲■L

超ロングランを続けるヒット・ミュージカル。ロンドンのとあるごみ捨て場に集まったねこたちが、永遠の命を与えられる1匹を選ぶという物語。SFチックなセットで、個性的なねこたちが次々紹介されていくのが楽しい。娼婦ねこグリザベラの歌う“メモリー”が心を打つ。

『ミス・サイゴン』 MISS SAIGON ○◆◇▲L

ベトナム戦争時のサイゴンを舞台に、戦争で引き裂かれたアメリカ兵と現地娘の悲しい恋の結末を描く。“エンジニア”と呼ばれるしたたかなポン引きの男がショーを盛り立てる。実物大のヘリコプターやキャデラックなど、セットにお金をかけた作品。オープニングのバーのシーンは、アジア女性蔑視だと思う人もいるかも。

 

『王様と私』 THE KING AND I ◆●▲☆

シャム(タイ)王国の開国の時代を舞台に、王様と、イギリス人家庭教師アンナの交流を描いた名作ミュージカル。ユル・ブリンナー主演の映画や主題歌“シャル・ウィ・ダンス”でもおなじみ。映画では西洋人の見た東洋蔑視がイヤミだが、今度の舞台は、アンナが王様より年配なので違和感がいくぶん和らげられている。タイとインドから取り寄せたという金やスパンコールをちりばめた豪幸なセットが素晴らしい。

 

『ヴィクター/ヴィクトリア』 VICTOR/VICTORIA ○□◇☆

映画「サウンド・オブ・ミュージック」の、あのジュリー・アンドリュースが主演するミュージカル・コメデイー。御年60歳の彼女が男装(女装?)し、信じられない若々しさで歌い、御足をさらして踊ってみせる。くどいギャグやお色気シーンなど作品の出来自体は賛否両論だったが、“本物のスターの輝き”に出会うのに、こんなにうってつけの舞合はない。

http://musicals.net/(全ての図)

 

X 終わりに

ミュージカルほど、好き嫌いが分かれる娯楽はないと言われています。なぜでしょう?もしかすると、初めて観たときの印象で決まってしまうのではないでしょうか?だって、その時に「つまらない」とか「不自然だ」と感じてしまうと、もう2度と観ようとは思わないでしょうし、たまたま目に入った時でも、最初から偏見を持って観てしまう可能性があります。
私にとってのオペラがそうでした。すごく長いし、外国語(イタリア語など)なので話の筋がよく分からないし、などの理由でどうしても好きになれなくて、長い間遠ざかっていました。初めて観た時の印象が悪かったので、食わず嫌いしていたんです。

何事もそうかもしれませんが、最初の出会いは大事だと思います。
私が初めて観たミュージカルは、たぶん、MGMのミュージカル映画「足ながおじさん」だと思います。当時はまだ小学校の低学年で、何が何だか訳が分かりせんでしたが、ひょろっとして軽快に踊る男優と、胸が躍るような楽しいダンス・シーンが印象に残りました。この映画が私にとってのミュージカルの原点です。ミュージカルを観て、ダンス場面がないと物足りなく感じてしまうのは、どうも最初に観たこのミュージカル映画の印象が尾を引いているような気がしてなりません。

このページを通してミュージカルを初めて知ったことで、あなたが少しでもミュージカルに興味を持ってくれたら、とても嬉しいです!