余暇行政論レポート 国際学部国際社会学科990133X 瀬戸谷佳恵
世界各国で行われている国際映画祭について、その概要と特色について、そして、文化や社会への貢献についてまとめてみようと思う。
世界の映画祭
国際映画製作者連盟公認の世界主要映画
[グループA(国際コンペティション部分を持つ総合映画祭)]
ベルリン国際映画祭(ドイツ)Berlin International
Film Festival
http://www.berlinale.de/
1951年の創設、2000年に第50回を迎えた。世界三大映画祭の一つ。国際コンペ部門には長編劇映画のほか、記録、短編、及び児童映画の三部門があるこのほかパノラマ、ドイツ映画新作展など。また独立部門ヤングフォーラムは有名である。会期は例年2月中旬の12日間。
ヴェネチア国際映画祭(イタリア)
http://194.185.28.38/it/cinema.html
1998年に第55回目を迎えた世界で最も古い歴史を誇る国際映画祭。戦中、戦後に中断したこともあり、創設年と回数が一致しない。会期は9月上旬から中旬の11日間。ヴェネチア市の本島から離れたリド島で開催される。グランプリの名称は「金獅子賞」。公式上映は国際コンペティション、招待部門の「ヴェネチアの夜」、新しい表現形式の作品を集めた「イメージの窓」、イタリア映画の新作を集めた「パノラマ・イタリアーノ」など。
カンヌ国際映画祭(フランス)Cannes
International Film Festival
http://www.festival-cannes.org/
1946年の創設。ヴェネチアにつぐ歴史を誇る国際映画祭の総本山的な存在。会期は5月の第2−3週の12日間。公式上映はグランプリの「パルム・ドール賞」を競う国際コンペティションとノン・コンペの特別招待、本選のサブ・セレクションにあたる「ある視点」の三部門。パルム・ドールの他に審査員特別賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、芸術貢献賞。「ある視点」にはジェルペ賞、また併行週間イベントとして「監督週間」「批判家週間」があるが、いずれもノン・コンペ。さらに公式上映された全作品を通して最優秀新人監督作品に対し「キャメラ・ドール賞」(賞金30万フラン)が贈られる。
以上の、ヴェネチア、カンヌ、ベルリン映画祭を三大国際映画祭という。
◎三大国際映画祭で、グランプリを受賞した日本映画と監督
●ヴェネチア国際映画祭 1951年・第12回:『羅生門』黒澤明 1958年・第19回:『無法松の一生』稲垣浩 1997年・第54回:『HANA−BI』北野武
●カンヌ国際映画祭 1954年・第7回:『地獄門』衣笠貞之助 1980年・第33回:『影武者』黒澤明 1983年・第36回:『』今村昌平 1997年・第50回:『うなぎ』今村昌平
●ベルリン国際映画祭 1963年・第13回:『武士道残酷物語』今井正
モントリオール世界映画祭(カナダ)、カルロヴィ・ヴァリ国際映画祭(チェコ)、サンセバスチャン国際映画祭(スペイン)、カイロ国際映画祭(エジプト)、モスクワ国際映画祭(ロシア)、サンフランシスコ国際映画祭(アメリカ)、シカゴ国際映画祭(アメリカ)、ロカルノ国際映画祭(スイス)、上海国際映画祭(中国)、マルデルプラタ国際映画祭(アルゼンチン)、ファジル国際映画祭(イラン)、ソチ国際映画祭(ロシア)、サンパウロ国際映画祭(ブラジル)、キエフ国際映画祭(ウクライナ)、トリノ国際映画祭(イタリア)
東京国際映画祭(日本)
http://www.tokyo-filmfest.or.jp/index.html
1985年の創立。隔年開催でスタート、91年から毎年開催に。国際コンペティションを中心に「ヤングシネマ」「シネマリズム」「ニッポンシネマ・クラシック」などの各部門、テーマ別シンポジウムも開催。最優秀作品に「東京グランプリ」のほか、ヤングシネマには「東京ゴールド賞」「東京シルバー賞」(各賞金付)がある。
[グループB(国際コンペティションを行わない総合映画祭)]
トロント国際映画祭(カナダ)、コーク国際映画祭(アイルランド)、ウェリントン映画祭(ニュージーランド)、メルボルン国際映画祭(オーストラリア)、ベオグラード国際映画祭(セルビア)、シドニー国際映画祭(オーストラリア)、ウィーン・ヴィエンナーレ(オーストラリア)、香港国際映画祭(中国)、ロンドン映画祭(イギリス)、ニューヨーク映画祭(アメリカ)、エジンバラ国際映画祭(スコットランド)、ハワイ国際映画祭(アメリカ)
[グループC(特殊なカテゴリーによる部門別映画祭)]
国際鉄道映画祭(フランス)、パレルモ国際スポーツ映画祭(イタリア)、国際喜劇映画祭(スイス)、イスタンブール国際映画祭(トルコ)、ブリュッセル国際ファンタジー・スリラー・SF映画祭(ベルギー)、ロッテルダム国際映画祭(オランダ)、テサロニキ国際映画祭(ギリシャ)、シンガポール国際映画祭(シンガポール)、カタルへナ国際映画祭(コロンビア)、新・ラテンアメリカ映画祭(キューバ)、マドリード国際映画祭(スペイン)、タオルミナ国際映画祭(イタリア)、釜山国際映画祭(韓国)、国際海洋映画祭(フランス)、ストックホルム国際映画祭(スウェーデン)、サンダンス映画祭(アメリカ)、プラハ国際映画祭(チェコ)、ボゴタ国際映画祭(コロンビア)、トロイア国際映画祭(ポルトガル)、ジュネーブ映画祭(スイス)、国際ミステリー映画祭(イタリア)、バンフ山岳映画祭(カナダ)、コニャック国際映画祭(フランス)ツーリン国際映画祭(イタリア)、フランクフルト国際青少年映画祭(ドイツ)、ギヨン国際青少年映画祭(スペイン)、マンハイム・ハイデンベルク国際映画祭(ドイツ)、アステルダム国際記録映画祭(オランダ)、アヌシー国際アニメーション映画祭(フランス)、ライプツィヒ国際記録・アニメーション映画祭(ドイツ)、ビルバオ国際記録・短編映画祭(スペイン)、ザグレブ世界アニメーション映画祭(クロアチア)、オーベルハウゼン国際映画祭(ドイツ)、サンクトペテルブルク国際映画祭(ロシア)、タンペレ国際映画祭(フィンランド)、クラフク国際短編映画祭(ポーランド)、ポポリ国際映画祭(イタリア)、ナント三大陸映画祭(フランス)
これまでまとめてきたのは、世界中で開催されている国際映画祭の国際映画製作者連盟(国際映連・FIAPF)による国際映画祭規約の3種類のグループである。 ここに挙げたもの以外にも、自称他称をあわせると国際映画祭の数は二百を超えるそうだ。日本映画の入賞作品は少ないが、最近では、北野武監督の『HANA−BI』や今村昌平監督の『うなぎ』に代表されるように、日本映画の評価も高まってきている。映画はその時代の社会や文化、あるいは、それまでの歴史や伝統、様々なものが影響しているといえる。それらの、映画を通しての交流や語り合いは、文化や社会の相互理解にもつながる。もちろん、世界情勢の変化も、そのときどきの国際映画祭にいろんな形で投影されている。80年代末期にゴルバチョフ政権下でペレストロイカとグラスノスチが行われた直後、モスクワ映画祭での解禁映画の放出上映や、ベルリンの壁が崩壊し、東西が一体化した時のベルリン映画祭の政治的な対応ぶりなど、映画祭を通じて歴史の大きな流れを目撃することができたという。世界の映画人が映画を通して世界の平和について語り合うことの素晴らしさも、国際映画祭の大きな魅力といえる。
参考文献:草壁久四郎著『世界の映画祭をゆく』毎日新聞社
参照:国際映画祭への扉 http://www.jpnfilm.com/