国際学部国際社会学科2年

990131A

澤ちえり

余暇と都市公園について

1.はじめに

私たちの周りには、散歩など気軽に立ち寄れる身近な公園から、金沢の兼六園、岡山の後楽園、水戸の偕楽園に代表される自然公園がある。そのなかでも前者の公園は都市公園に含まれる。私は都市公園の中でも街区公園(旧児童公園)や近隣公園に注目した。それらを設置しているのは主に地方自治体であるのだが、その運営側が何であれ彼らがどうゆう目的または目標をもって公園づくりを行っているのかに焦点を当てたい。また、公園づくりの過程で国民の意見が反映されていない、あらゆる年代層の人々、障害者の方々のニーズにかなっていないことからあまり活用されていないなどの問題がある。そのこととも関連して見ていきたいと思う。

 

2.都市公園とは

建設省のホームページにある都市公園の定義は以下のようなものである。

都市公園(都市公園法)

都市計画法により指定された都市計画区域において、地方公共団体が設置する公園若しくは緑地又は同法第4条第6項に規定する都市計画施設である公園若しくは緑地で地方公共団体又は国が設置するものをいい、それらの地方公共団体又は国が当該公園又は緑地に設ける公園施設を含む。

http://www.moc.go.jp/city/index.html

 

3.国の都市公園へのはたらきかけ

では国は都市公園に対してどのようなはたらきかけを行っているのだろうか。地方公共団体管理による都市公園に設置された遊戯施設が倒壊するという事故をきっかけに再発を防ぐために「都市公園における安全管理に関する調査」を行っている。そしてその結果を各公園管理者に通知し一層の安全の確保に努めるよう促している。また、「平成9年度末都市公園等整備現状」の報告においては、1人当たりの公園面積が目標値(20u)に達していないことから、平成8年度から始められた都市公園等整備七箇年計画を続けていくとしている。私達が容易に見つけられるのはこういった情報だけであった。このことは国が西洋の水準に早く達しようとして質より量を重んじているように思われる。

 

4.栃木県の都市公園づくり

都市計画公園は、都市計画区域内において、都市公園法に基づき、地方公共団体が設置する公園の内、主として屋外における休息、鑑賞、散歩、遊戯、運動、その他のレクリエーション利用に供し、あわせてオープンスペースを確保して防災避難など災害を防止するための公共空地です。また、緑地とは、都市計画区域 において樹林地、草地、水辺地、岩石地など良好な自然環境を形成しているものです。これらは公害防止、優れた風致・景観、健全な生活環境を確保するためのもので、適正な設置と維持・保全を図る必要があります。

http://www.pref.tochigi.jp/toshikei/18.htm

 

これは栃木県のホームページの「都市公園計画」載っていたものである。ここには、一般的な概念や既成の言葉のみが並べられており、県民に意見を募るというような試みはない。

5.住民と公園

地域住民の中には都市公園が人々にとって身近でなく、愛着を持たれていないと指摘する人もいる。そしてそのような意見がホームページに掲載されていたので紹介したい。彼女は公園が「よそよそしい」存在になった原因として、@公園が政府の管轄下にあるということ、Aこれまでの公園が西洋を模範としてつくられたと言っている。

@について

公共事業として発注されるため、年次ごとの予算やさまざまな行政上の問題などから計画書が単なる説明書として取り扱われることに問題がある。 問題が起こると苦情が持ち込まれるのは役所であるため、問題が起きない公園設計となるように考慮される。その結果、デザインや使い方に自由度が失われてしまっている。

Aについて

公園に限らず「本物の場所」は地域の人々の経験から必要があって生まれるものである。欧州が多く公園を持っているのは何らかの理由があって公園が数多く生まれたのであり、背景が全く異なった日本でその基準を用いるのは場所性を全く無視したものではないだろうか。公園づくりのコンセプトの第一は人々に洋風を与えるということであった。これは、人々に安らぎや愛着の持てる場所であろうとする現在の公園に求められているものとは相反するものがある。

http://krd.roshy.human.nagoya-u.ac.jp/%7Emakoto/report3/oguri3.html

さらに彼女は自然に発生したのではない公園は本当に必要とされておらず、行政によってつくられた公園は「偽物の場所」であると指摘している。

  http://www.yukei.co.jp/asobi-a.html(写真)

6.おわりに

私の周りにはこどもからお年寄りまでが集う公園があることは確かである。しかし実際に公園がつくられる時に、計画段階で地域住民である私達にその内容を公表することはない。私達が知らされるのはすでに決定された報告書なのである。私達は既成の公園で決められたあそびをするしかない。公園づくりにもっと人々が参加できれば、「自分達がつくった公園をきれいに大切に使おう」という思いも自然とでてくるのではないだろうか。それにより地域住民が愛し、自然と集まる公園つくりが成功するのである。