余暇行政論

お香」 大槻久美(990112k)

最近では、お香を楽しんだり、部屋のインテリアなどとして若い人々の間でも人気となっています。専門店ではなく、一般のお店でも売られ身近なものになっています。しかし、お香がどんなものかは、くわしく知られていないように思います。そこで、私自身お香について調べるとともに、皆さんに紹介したいと思います。

 お香の始まり

日本に始めて「香」として香木などを用いるようになったのは、『日本書紀』によると、「推古天皇3年(595年)4月に一抱えもある大きな沈水香木が淡路島に漂流し、島人がそれと知らずにかまどに入れて薪とともに焼いたところ、その煙が遠くまで薫り、これを不思議なこととしてこの木を朝廷に献上した」と記されています。

平安時代になると、衣服に香を焚き込めそこに移った香りを楽しむ「移香」や、部屋に香りをくゆらす「空薫(そらだき)」などが、貴族の間で楽しまれていました。その後、足利義政のもとで、志野宗信や三條西実隆らの文化人の手によって、「六国五味(りっこくごみ)」といわれる香木の判定法や組香が体系化されます。そして、一般人の間でも優雅な習慣として楽しまれるようになります。

原料

代表的なお香の原料をいくつか紹介します。これらは、日本では取れないものばかりで、多くが他のアジアの国々から伝わってきています。

伽 羅 きゃら

香道では沈香を六国【伽羅(きゃら)・羅国(らこく)・真那賀まなか)・真南蛮(まなばん)・佐曽羅(さそら)・寸門多羅(すもたら)】に分類しますが、そのなかで最も品位の高いのがこれです。古来ベトナムの限られた所から産出されます。

 

大茴香 だいういきょう

中国南西部及び安南地方の原産。香辛料スターアニスとして親しまれています。

白 檀 びゃくだん

インド産で、古くからわが国に渡来。薫物だけでなく仏像彫刻や扇子などにも多用されてきました。

桂 皮 けいひ

シナモンの名で世界中に親しまれています。中国、東南アジアが原産。京名物八つ橋やアップルパイなどに欠かせないスパイスです。

 

お香づくりの工程で、最も難しいのが香りの調合です。調合師は、数十種類の原料を幾通りにも組み合わせながら頭に描いた香りのイメージに合わせ、いくつものサンプルを創るのです。お香に使われる香料は、ほとんどが天然素材。例えば同じ白檀でも、産地や採取時期、気候などさまざまな自然条件によって香りが異なる為、公式通りに配合しても、いつも同じ香りが生まれるとは限りません。そんなデリケートな素材の個性を見きわめ、見えない工夫を加えながら安定した香りと品質を作りつづけているのです。http://www.shoyeido.co.jp/koukoto.html

 お香の種類

私たちのもっとも身近にあるお香は、‘線香’。これもれっきとしたお香の仲間です。主に家庭で仏事に使われます。仏事での焚き方や本数は、宗派によって異なります。また、伽羅や沈香を多く用いた高級線香は、仏事だけではなくお部屋で楽しむ香りとしても利用できます。その他を調べてみると、その形や焚き方などによって、様々な種類がありました。ここでは、実際に部屋でも楽しめるようなものをあげてみます

スティック型

長いものから短いものまで様々で、時間は約12分。香りも花やフルーツなどいろいろ

と揃っています。

コーン型

…時間は約10分で、短時間に強く香りを出すことが出来るうえ、灰を散らさないお香です。円錐の先端に点火しそのまま香皿や灰の上において使います。

コイル型

時間は約70分で、長時間焚き続けることができるので、広い空間や、空気の流れの多い玄関などでのしように適しています。専用の香皿や香立てを用いるほか、よく乾燥させた灰の上に直接のせて焚くこともできます。

お香の楽しみ方

休日のリラックス、音楽を聴いたり、読書をしたり、絵を描いたりする時に、部屋にお香を焚くとより集中でき、また心と身体の両方をリラックスさせてくれます。その時によって香りを使い分けるといいかもしれません。例えば、朝の目覚めの時は、ペパーミント、ジャスミン、レモンなどがいいです。また、寝る時には、花の薫りが緊張を解いてくれます。お酒の好きな人は、薫りの高いリキュールもいいかもしれません。

一般的なお香だけでなく、最近は薫りの種類も増え、おしゃれなものがたくさんあります

上の写真は、コーン型のお香で、ココナッツとレモングラスの香りです。また、右の人形は、お香を焚くと口から煙を出すというもので、部屋のアクセントとしても楽しめます。

お香の効果

近頃、「アロマテラピー=芳香療法」とか「アロマコロジー=芳香心理学」という言葉を耳にする機会が多くなってきましたが、アロマコロジーとは、香りを利用して心身を心理的な部分で療法すること。そしてこれの基礎となっているものが、アロマ(香料)を利用するテラピー(治療法)、つまり嗅覚刺激を手段とする治療法のことだそうです。こうした香りの応用は、最近の社会生活で大きな問題となっているストレス解消や、特に心身症の治療に効果があるのではないかと期待されているようです。

東邦大学の鳥居教授の研究によると、集中力などの脳の働きを示す期待波と呼ばれるCNV(随伴性陰性変動(ずいはんせいいんせいへんどう)では、香りによる「鎮静効果」と「興奮効果」があることが実証されました。

それによると、ラベンダーや白檀(びゃくだん)、伽羅(きゃら)の香りはα波(鎮静波)を示し、気持ちを落ち着かせ、思考力を高める効果があります。また、バラやジャスミンの香りは、逆にβ波(興奮波)を示します。これは、気持ちをリフレッシュさせ、やる気を起させる効果があるそうです。

 

お香は、むかしから人々に親しまれてきた習慣であり、その効用も実証されています。紹介したように、最近は若い人にもなじみやすいフルーツや花の香りなど、たくさんの種類があります。気軽に、リラックスしたい時や就寝前など部屋に焚いてみるのもいいかもしれません。香りにはそれぞれ好みがあるので、いろいろ試してみて自分の気に入った香りを見つけてみてください。

 http://okou.ceremore.co.jp/invite/invite_index.html 「セレモアつくば」…お香の効用や種類などが分かりやすく載っている。

 http://www2.117.ne.jp/~daishoji/q%26a3.html 「日蓮宗」…日蓮宗にちなんだお香の作法などがのっている。

 http://www.shoyeido.co.jp/koukoto.html 「松花堂」…お香全般についてが載っている。原料から作り方や種類までわかる。