余暇行政論   『整備新幹線と地方行政』   作成者 宇都宮大学国際学部 長田(ながた) (げん) 990143K

 

1はじめに

日本の代表的な交通システムのひとつである新幹線。1日あたり平均して、82万の人を運んでいます。(運輸省 平成8年統計)新幹線は仕事、旅行、レジャー、など様々な目的で使われています。余暇のひとつにあたる旅行、その大きな役割を果たしている新幹線。そして新幹線の恩恵を享受している太平洋側の地域と未だ整備されていない日本海側の地域。私の出身である北陸の整備新幹線(北陸新幹線)と地方自治体の取り組みを調べてみることで身近な存在である新幹線の機能の理解を深めようと思います。

 

2 新幹線ってどんなもの?

*新幹線についての簡単な知識を集めてみました。*(一部建設省のサイトから抜粋)

1 新幹線って何ですか?

新幹線(新幹線鉄道)とは日本の主要都市を結ぶ、標準軌間(レールの内幅一四三五ミリメートル)のJR超高速鉄道。東海道・山陽新幹線、東北・山形・秋田新幹線、上越・長野新幹線がこれにあたります。

 

2 整備新幹線って何ですか?

「整備新幹線」とは、全国新幹線鉄道整備法に基づき、昭和48年に運輸大臣により決定された整備計画に定められている北海道(青森〜札幌)、東北(盛岡〜青森)、北陸(東京〜長野〜金沢〜大阪)、九州鹿児島ルート(博多〜鹿児島)、九州長崎ルート(博多〜長崎)の5新幹線のことです。

 

3 新幹線を造るには一体どれくらいのお金がかかるのですか? 

整備新幹線として初めて開業した北陸新幹線高崎・長野間(長野行新幹線)を例にとると、高崎・長野間約126qの建設費は残工事を実施中ですが、約8,400億円(用地費等含みます。)と見込まれることから、1q当たりおよそ70億円弱かかることとなります。また、整備新幹線5線全線フル規格では、7.4兆円(平成6年4月価格)となります。

(参考) 東京湾アクアライン 約1.4兆円  関西空港 約1.5兆円

 

4 整備新幹線はいつ完成するのですか?

北陸新幹線のうち、高崎・長野間は平成9年10月に開業しました。その他現在工事中の東北新幹線(盛岡・八戸間)、北陸新幹線(糸魚川・魚津間、石動・金沢間)、九州新幹線(八代・西鹿児島間)は工事開始より概ね10年を予定に工事が行われております。また、新規着工区間である東北新幹線(八戸・新青森間)、北陸新幹線(長野・上越間)、九州新幹線(船小屋・新八代間)は概ね20年の予定です。

 

5 整備新幹線は無駄な事業だという声もありますが・・・?

新幹線の建設は確かに多額の費用を要しますが、一方誰でも容易に利用できる交通手段として、大幅な時間短縮を達成することができます。また、その建設に際しては、各線区ごとに、需要予測、収支採算性の確認はもちろん、地域経済に与える開発効果、経済振興効果等を計算して、投資効果があることを確認しております。実際、北陸新幹線高崎・長野間については、新幹線の持つ高速大量輸送機関としての優位性を活かし、長野オリンピックの会場へ多くの人を迅速に運ぶなど、大変活躍したのは記憶に新しいところです。

 

6 新幹線の車両一両はいくらですか?

種類にもよりますが、1両あたり約2〜3億円です。16両1編成では約40億円となります。

(参考) ジャンボジェット1機 約150億円   バス1台 約 1600万円  タンカー1隻 約30〜40億円

 

7 新幹線は、地球に優しい乗り物です

新幹線は、地球に優しく、エネルギー消費量も少ないうえ、信頼性・安全性及び大量輸送性に優れた高遠交通手段として、21世紀を前にますますその期待が高まっています。新幹線は、自動車や航空機と比較して地球温暖化の原因となるCOの排出量が少なく、また単位輸送量当たりのエネルギー消費量も小さいことから、環境に優しい省エネ型の交通機関です。

 

交通機関別の単位輸送量あたりのCO2排出量(青)と主要輸送機関別エネルギー消費原単位(白)

(石川県 北陸新幹線 新幹線は、地球に優しい、21世紀の乗り物です)より  URLは http://www.pref.ishikawa.jp/shink/hsks7.htm です

 

3 自治体(石川県)の取り組み

石川県のWeb Siteから北陸新幹線着工のがどのような影響を与えるかを調べました。

『北陸新幹線は、国土の均衡ある発展に貢献します。北陸新幹線は、東海道新幹線沿線に匹敵する約4000万人の人口を擁し、東海道・山陽・東北・上越新幹線に接続し、また、首都圏、近畿圏とも結ばれることから旅客需要が多く見込まれ、収支採算性に優れた路線です。このような北陸新幹線が東京から大阪まで結ばれることにより新幹線ルートの多重化が図られ、地方の国際化や文化、人的交流が活性化され広がりのある国土づくりが進められるほか、災害などの不測の事態に備えた多重型国土軸形成を担う路線として大きなポテンシャルを有しています。北陸新幹線は、21世紀の全国高速交通体系の柱として、極めて重要な国家的プロジェクトです。

私たちは、地図の上で北陸・石川県が日本のほぼ中央に位置していることを知っています。東京も大阪もそんなに遠くないと思いこんでいます。しかし、時間距離の上では、新幹線の有無により、他の地方都市よりもこんなに遠くなってしまっているのです。』↓下図参考

文章 石川県 多重型国土軸形成を担う北陸新幹線より URLは http://www.pref.ishikawa.jp/shink/index.htm です

(参考) 東京と各都市の距離と所要時間 JR時刻表より

東京

一金沢 460.7km 3時間43分

新大阪

−金沢 263.8km 2時間28分

 

−秋田 662.6km 3時間49分 

 

−東京 552.6km 2時間30分

 

−盛岡 535.3km 2時間26分

 

−博多 623.3km 2時間17分

 

私の考え

比較的交通整備の遅れている日本海側の石川県。近年石川県は県庁所在地の金沢市を中心に都市整備を積極的に進めています。これは、将来石川県(金沢市)が日本海側の中心都市、東アジアの国々との貿易の拠点になるかもしれないからです。事実、貿易では石川県の各港(金沢港、七尾港)の貿易額は去年を上回る額を打ち出しています。また、新幹線の整備は観光名所や温泉の多い北陸地方に大都市から観光客を連れてくるのにもその力を発揮すると思います。石川県にとってはいいことずくめの整備新幹線。地方の存亡を賭けた大きなプロジェクトになっているのことが理解できます。新幹線の着工が採算が取れ、地方自治体の資金調達に役立つのであれば着工するのがよいというのが私の考えです。

4 北陸新幹線のルート

北陸新幹線の整備計画図・ルートです。 (図をクリックすると拡大して表示します)

 

<フル規格新幹線方式>

(金沢〜東京2時間30分 現行(越後湯沢経由)3時間43分)

現在の東海道新幹線と同じ、線路路盤を全線で整備し、そのうえに新幹線と同じ標準軌(幅1435mm)の線路を敷設し、最高速度260km/hで走ります。

 整備区間 東京〜大阪約690km

最高速度 260km/h

所要時間 金沢〜東京約2時間30分(現在より約1時間13分短縮)

金沢〜大阪約1時間20分(現在より約1時間8分短縮)

 

石川県 北陸新幹線の整備計画図・ルート図より  URLは http://www.pref.ishikawa.jp/shink/hsks2.htm です

 

北陸新幹線の当面の整備計画路線図 (同じく図をクリックすると拡大して表示します)

 

<スーパー特急方式>

現在の東海道新幹線と同じ線路路盤を一部新たに整備し、そのうえに在来線と同じ狭軌(幅1067mm)の線路を敷設し、現在の新幹線車両より一回り小型のスーパー特急が走ることとなります。線路路盤を整備しない部分は在来線を利用します。

 

車両 スーパー特急(時速 200km/h)

所要時間 金沢〜東京 約3時間20分(現在より23分短縮)

完成時期 着工後概ね10年で完成
石川県 北陸新幹線の整備計画図・ルート図より  URLは http://www.pref.ishikawa.jp/shink/hsks2.htm です

 

5 最後に 私の考え

新幹線の整備には賛否両論いろいろあるが、採算が採れるのであれば着工すべきというのが私の考えです。

第一に北陸新幹線の着工は太平洋側と日本海側の財政的・インフラの格差を小さくするのにある程度の効果が認められるからです。その理由として挙げられるのが新幹線の着工は人々の交流を活発にし、地域を活性化させるとともに地方への人口の定住化と大都市圏からの人口の分散を促進します。経済のサービス化、情報化、国際化の進展は、人々の価値観・ライフスタイルを大きく変化させるとともに人的ネットワークを著しく拡大させることから、各人の行動範囲もますます広がるからです。また、将来経済成長が見込まれるであろう東アジアの地域や極東に最も近くてある程度の都市基盤が整っていて、しかも兼六園に代表される観光名所や温泉が多い石川県。これらの地域との交流・貿易、国内の旅行・観光開発のためにもますます多くのインフラが重要視されると思います。

第二に北陸新幹線の着工は大都市と地方との距離を縮めます。先に示したように比較的、観光名所や温泉が多い日本海への旅行などを促進して、旅行が快適になるほか、旅行の選択肢も増えると思います。日本海側から大都市への観光も同様です。その際、だれでも乗れる新幹線、目的地に早く着いてくれる新幹線は絶大な効果を発揮すると思います。

第三に新幹線は燃費や輸送力をとっても最も効率的な交通機関のひとつだと思います。それは、先の2‐7を見ていただければそれがお分かりになると思います。電力やガソリンの節約にも、またこれから高齢化社会に向けて、自動車を運転するのが困難になるであろう高齢者の移動手段としても最も効果的な交通機関になると思います。

財源の確保、トンネルの工事など安全性など問題は多いが財政の目処がつきしだい着工にとりかかってもらいたいです。

 

余暇行政論

リンク先

運輸省 http://www.motnet.go.jp/mthome_.htm

(新幹線など輸送に関する様々な情報があります。新幹線についての詳しい情報も充実しています。) 

石川県 http://www.pref.ishikawa.jp/

(北陸地方最大の都市を抱える石川県のページです。県政や観光名所の情報が詳しく載っています。また、ページも文化の都としての石川県をイメージしており、とても優雅で華やかなページになっています。)

JR東日本  http://www.jreast.co.jp JR西日本 http://www.westjr.co.jp/ JR東海 http://www.jr-central.co.jp/

(本州JR各社のサイトです。それぞれ新幹線の空席情報や指定席の予約などができる便利なページです。各社のページそれぞれに独自の特色が出ておりそれだけでも十分楽しめます。JR西日本には山陽新幹線の新型車両の紹介、JR東海のページには東海道線(在来線)などの電車の紹介もやっています。)