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余暇行政論提出課題 (平成12年・前期・水曜・3-4時限)

 

国際学部 国際社会学科 3年  

宮田 弘美

 

≪テーマ≫スポーツ振興と地方自治体 

Jリーグと茨城県鹿嶋市〜

 

1.     はじめに

    地方分権の中で,各自治体は地域の実情に合わせた独自の政策を行えるという裁量権の拡大とともに、一方では,住民のニーズに応えられるような行政サービスの提供をしていくという力量も問われている。地域の自主性を失わず,個性ある街づくりをしていくことや、住民参加の自治を活性化させることなど、自治体に課せられた役割は大きい。ここでは、特に、J-1リーグのチーム(鹿島アントラーズ)をもつ茨城県鹿嶋市に焦点をあてて,Jリーグとの関連やその影響について見ていきたい。

 

   *鹿市・鹿アントラーズ

       「シマ」という漢字の違いは、合併によって「鹿島町→鹿嶋市」という名称の変更によるもの。

 

2.     Jリーグとの関係 

Jリーグとは?>

即ち、日本プロフットボール・リーグ(Japan Professional Football League)の頭文字をとった通称のことであり、1991年に設立された日本初のプロサッカーリーグである。19935月にスタートした時点では10チーム(鹿島アントラーズ、浦和レッズ、ジェフ市原,ヴェルディ川崎,横浜マリノス,横浜フリューゲルス、清水エスパルス、名古屋グランパス,ガンバ大阪,サンフレッチェ広島)であったが、1994年にはベルマーレ平塚とジュビロ磐田が入り、1995年にはセレッソ大阪と柏レイソル,1996年にはアビスパ福岡と京都パープルサンガ、1997年にヴィッセル神戸、1998年にコンサド−レ札幌が参加し,合計18チームで行われている。昨年からは,J-1リーグの下位2チームと、J-2リーグの上位2チームが自動的に入れ替わる制度が導入され、浦和レッズが降格するという意外な出来事もあった。

 

<ホームタウンとは?>

本拠地のことであり、各チームはJリーグ理事会の承認を受けて,特定の市町村をホームタウン(hometown)として定め,地域社会と一体化したクラブづくりを行い,サッカーの普及・振興に努めなければならない。原則として,そのホームタウンを含む都道府県が活動地域となる。現在,関東地区にチームが集中しているので、サッカーの普及という点からみると、それを全国的に分散させるなどの問題がある。

 

Jリーグ設立の主旨とは?>

1991年(財)日本サッカー協会・「Jリーグ設立準備室」によれば、@「スポーツ文化」としてのサッカーの振興,A日本サッカーの強化と発展、B選手・指導者の地位向上,C競技場をはじめフランチャイズ環境の整備、の4項目が挙げられている。なかでも地域密着を目指したサッカーの振興・普及は,各クラブのユースやジュニア選手の育成や地元ボランティアとの協力、サポーターと選手の連携などで力を入れている。

 

3.鹿嶋市の足跡

1991)茨城県は、「鹿島地域楽しい街づくりプラン」を出し, 旧鹿島町・神栖町・波崎町を中心に、各々の地域の機能的な役割を決め,開発していくこニを掲げた。まず、旧鹿島町をスポーツ文化コアと位置付け、鹿島アントラーズのホームタウン下におけるスポーツ文化施設の建設・整備を中心に進め,神栖町は、商業業務コアとしてSC(ショッピングセンター)やコンベンションセンターの開発が行われ, 波崎町は、海岸や河川を利用したリゾート・レクリエーションコアとされた。この開発に最も強い影響を与えたのが,地元企業の住友金属工業であり、プロサッカーチームを持つ計画が契機になって,サッカー場整備等のサッカータウンづくりが推進されていった。

1993)Jリーグが開幕し,鹿島町は鹿島アントラーズのホームタウンとなった。当時鹿島町が地域コミュニティ・地域間交流の拠点施設として整備を進めていた「ト伝の郷運動公園」内に、サッカー専用施設として「茨城県立カシマサッカースタジアム」が建設された。

1996)鹿島町は、北部に隣接する大野村と合併して「鹿嶋市」となり,人口約6万人、面積はほぼ倍の大きさになった。

 

4.鹿嶋市の現在 

ちなみに現在鹿嶋市は、神栖町・波崎町との合併説も浮上している。さらに、県とこれら3市町出資による第3セクター「鹿島都市開発」(人見実徳社長)の一貫として、1998年に「鹿島セントラルビル新館」建設が着 工され、2000年6月にオープンした。(この施設はワールドカップの際、宿泊施設として使用するほか、地元との交流スペースやショッピング・ビジス面での機能も備えている。)

そして今、鹿嶋市を最も賑わせているのが、何といっても2002年に日韓両国で開催されるワールドカップである。宿泊施設以外を見ても、ワールドカップに向けた準備は、以下のように進んでいる。

<治安>茨城県警を中心に地元・周辺自治体の警備体制の整備。阿見町の拘置所拡大

<ボランティア>鹿島アントラーズのボランティアとの協力。今後、さらに広い地域からも募集していく予定

<交通アクセス>JRとの連携。鹿島スタジアム周辺の道路の整備

<スタジアム>改修。しかし、鹿嶋市所有の土地にあるため、建設省からの補助金は、ほとんど期待できない。(国と自治体との関係)

    

5.考察

鹿嶋市は、他の自治体と比べると、Jリーグのチームを持つという点で、スポーツ振興やまちづくりに関しては、有利な条件のもとにある。地域の独自性や個性を反映していく上では、このように強みのある自治体とそうでないところの格差が、顕著に見られるだろう。  

前述したものから判断すると、鹿嶋市はサッカーチームと協力・連携して、地域の実情にあった政策を上手く実行している。地元住民も、サッカーの試合やイベントがある時は、すすんでボランティア活動に参加するなど、地域のチームを見る目も温かい。青少年のスポーツ振興やサッカーの普及という面から見ても、国側の「生涯学習・社会教育」の理念や、Jリーグの設立目的である「地域密着の振興・普及」を実現できていると考えられる。

 

6.まとめ

枚数制限があり、やや紹介に近い形になってしまったが、今後、行政とスポーツ振興の在り方について調べていく指針ができてきた感じがする。自分としては、もう少し鹿嶋市について取り上げてみたかったという反省はあるけれども、演習の方でそれを掘り下げていきたい。

Jリーグなどというと、単にサッカー好きのためにあるように思われてしまいがちだが、行政(自治体)の地域振興やまちおこしにも大きな影響を与えていることが分かったと思う。鹿嶋市を例にとってみても、鹿島アントラーズの存在がなければ、それほど有名にはならなかっただろう。

福祉や財政赤字など、住民にとっては自治体に対する先行きの見えない不安や暗いイメージがもたれてしまっている現在だからこそ、各自治は住民に明るい話題や生きがい、楽しみを与えるような行政サービスを行っていく必要があるのではないだろうか。

7.参考文献・資料

·  小島民雄・山形正男『imidas99』(集英社)

·  読売新聞 (茨城面)

·  井手よしひろ http//www.jsdi.or.jp/~y-ide/index.htm

·  鹿嶋市 http://www.sopia.or.jp/kashima/

·  茨城県 http://www.pref.ibaraki.jp/index.html

 

8.ホームページの紹介

http://www.cc.utsunomiya-u.ac.jp/~k980142/

昨年の後期、某授業で自分が作ったホームページ。普通自分のを紹介する人は、あまりいないと思うが、カウントをつけてあるので、是非どうぞ。今後興味のある<ワールドカップ>や<スポーツ振興>、<生涯学習>など、行政と関連したものを掲載する予定なので、乞うご期待。

 

http://www.intio.or.jp/simodate/

自分が幼少の頃から書道を習っているということもあり、その関連のものを探していたところ、偶然、所属する団体の創立者、故浅香鉄心の書が取り上げられている、茨城県下館市のページを発見。インターネット上で、「書」という芸術の世界を垣間見ることができる。

 

http://www.yomiuri.co.jp

最新のニュース、知的情報、趣味に至るまで、幅広く楽しめる。ジャイアンツファンにはもってこいのホームページ。

時事用語をコンパクトにまとめた「ミニ辞典」は重宝物。

 

http://www.net-ibaraki.ne.jp/yukicity/

「紬のまち」として、観光アピールしている結城市。地元ということもあり、宣伝の手助け。

 

http://www.gyosei.mine.utsunomiya-u.ac.jp

あの「中村先生」率いる、行政学研究室のホームページ。行政関係を調べたい人は、各リンク先が載っていることもあり、利用価値あり。先生の日誌もお勧め。

 

http://www.antlers.co.jp/index/index2.html

鹿島アントラーズの公式ホームページ。ファンのみならず、誰でも気軽に楽しめる。月間予定や最新のこと、試合結果など、頻繁に更新されているので、飽きのこない代物。

 

 

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