余暇行政論レポート

「ハリウッド映画について」 小島 周一郎(990123A)

1はじめに

一時期廃れてきた映画が最近また盛り返している。タイタニックやグリーンマイルという映画―主としてハリウッド映画が日本でも大ヒットし、またそれに伴い映画館もアメリカ型の新しいタイプの映画館(シネマコンプレックス=シネコン)も作られてきて映画を観に行く事が余暇の1つとなっている。私はその中でもハリウッド映画に注目しその歴史、特に現在のハリウッドの地位についてを、また賞を取る事で映画収益が2倍とも3倍にもなるといわれている知っているようで知らないアカデミー賞についても取り上げてみたいと思う。

2その歴史

聖地の誕生

ハリウッドが映画の都となったのは1911年、それまで農地だったが、年間を通し雨がほとんど降らない気象条件の良さに着目した映画関係者たちが、格好のロケ地として選んだ。すぐに撮影所、オープンセット、トップ俳優たちの邸宅が建ち並び、史上まれにみる映画王国が建設。当時、映画は演劇に代わる一大娯楽産業として急速な成長をみせていたため演劇の脚本を書いていた若いシナリオ・ライターなどが、率先してこの世界に入っていく。映画会社の本社経営陣のニューヨークから遠く離れ、自由にやりたいことができる理想の聖地。それがハリウッドだった。

黄金時代

ハリウッドの最盛期は1920年代から30年代にかけての20年弱と言われる。とくに20年代には年間500本を越す大量の映画が作られた。映画の内容は、時代の流行によってさまざまだ。暗黒街ものや西部劇、スペクタルやミュージカル、通俗的な恋愛ものから娯楽性の強い喜劇映画まで、様々なシナリオ・パターンが、この時代に作り上げられた。ハリウッド映画はアメリカ国内だけでなく、世界各国にも輸出された。一方、ナチスが台頭し始めたヨーロッパからは、亡命俳優や亡命監督が渡って来て、このハリウッドに活躍の場を見いだした。

終焉への階梯

1930年代には、幸福な時代に早くもかげりが見え始める。1929年のニューヨークのウォール街から始まる世界恐慌の影響は、もちろん映画産業にも及んだ。経営が悪化した撮影所は30年代前半に莫大な負債を抱え、一部は金融業者の手に落ちた。しかし、この厳しい時期もハリウッド転落のほんの序曲に過ぎなかった。第二次大戦後になって、2つの大きな打撃がハリウッドを襲う。ひとつはテレビ時代の到来だ。1950年には全米のテレビ普及率が全家庭の20に達し、映画館に足を運ぶ人口は一気に3分の2と激減した。そしてもうひとつが、東西冷戦構造が始まった頃、ハリウッド関係者を襲った悪名高き「赤狩り(レッド・パージ)」だ。1947年と1952年の2度にわたる公聴会には、多くの映画関係者が証人として召喚され、情報提供を求められた。結局、「社会主義に影響を受けている人物」とされた数百人もの映画関係者がこの世界から追放された。この時期の映画製作は、ハリウッド関係者にとっては最も思い出したくないエピソードに満ちている。シナリオの書き換えや編集的な歪曲が横行し、自らハリウッドを捨てる人々も少なくなかった。年間製作本数は、1958年には200本に届かず、3年後の61年には102本となり、外国映画を輸入する事態にまで至った。1960年代に入ると、映画製作の現場はヨーロッパに移り、ハリウッドの撮影所は休止状態のまま放置されるか、テレビ番組の撮影へと鞍替えせざるを得なくなる。撮影所としてのシステムはここに崩壊し、ハリウッドは終焉を迎える。

現在のハリウッド

現在のハリウッドにもこの変化が続いている。1998年は史上最高の興行収入を記録し、隆盛を極めているかに見えるが、映画づくりの現場がハリウッドとその周辺からカナダやオーストラリアなど海外へ移行し本場の映画労働者たちの雇用がおびやかされている。製作費の高騰を背景にした「ハリウッドの空洞化」現象は「映画の質にかかわる深刻な問題」と危機感をもつ関係者も少なくない。映画産業の現状は、先月発表された第71(98年度)アカデミー賞にも端的にあらわれていた。作品賞部門の候補にのぼった5作品の撮影現場はすべてハリウッド外だった。このように「ハリウッド色」が薄かったのは事実だ。こうした異変は、ハリウッドにおける人件費など製作コストの高騰を背景に、外貨獲得をもくろむカナダやオーストラリア、中南米諸国が税金面での優遇措置をかかげてプロデューサー側にしきりに働きかけているからだ。米国内でも、元プロレスラーで芸能界にもつながりのあるミネソタ州知事のジェシー・ベンチュラ氏が知事に当選以来、ハリウッド映画の誘致に奔走している。しかし、映画製作にかかわる技術者や大小道具、衣装など関連業者を含めた雇用は今のところ減少していない。だが、撮影のハリウッド離れ傾向が今後も続けば、本場の映画労働者の雇用に影響が出るのは必至である。UCLAの研究チームは今後の数年間にハリウッドの雇用が17千人分増えると予測しているが、これは映画づくりのデジタル化にともなう技術面の雇用増加である。したがって、撮影のハリウッド離れが続き、ハリウッドが単にハイテク編集設備をそなえた映画づくりのコントロールセンターに変化すれば、地元の伝統的な映画労働者は職を失う。基幹産業に始まった「空洞化」の試練を、アメリカ文化の象徴であるハリウッド映画も避けて通れない。

ハリウッドの地盤沈下

ハリウッド映画の衰退と映画産業の発展

第71回(98年度)アカデミー賞受賞作品の制作場所

測定指標

測定値

作品

制作場所

ハリウッドでの映画本数

前年比27%減

「恋に落ちたシェークスピア」

英国

撮影延べ日数

28879日(97年31651日)

「プライベートライアン」

英国、アイルランド、フランス

米国内公開映画

490本(90年385本)

「シン・レッド・ライン」

オーストラリア、ソロモン諸島

興行収入

69億5千万ドル(史上最高

考察

ハリウッドの置かれている現状は歴史を見れば分かるように、厳しくなってきている。これは、情報化時代の発展による情報通信の進展により、ハリウッドにいる必要がなくなる。つまり、このままではハリウッド自体がなくなってしまうのではないかと感じる。

映画の一時代を築き上げてきたこの地はこのままではなくなってしまう。ハリウッドが世界の映画の中心であり続けるには今までの作ればハリウッドというブランドによりそこそこは売れるというぬるま湯に浸かっていることはできず、あえて高温の湯やサウナ、もしくは水風呂に入る必要があるのではないか。つまり、新たで様々な意味での開拓が必要である。いや、開拓しなければならないのである。

ただ、これまでの世界の映画を作り上げてきた発信地は言うまでもなくハリウッドである。ハリウッド映画をポップコーンムービーと酷評する人がいるが、それはそれで映画文化の1つの枠組みになっている。我々はこの文化を尊重すべきではないか。

ハリウッドは今、断崖絶壁に立たされている。

 

ハリウッドの画像の取り込み先 http://www.lax.or.jp/for3/area/holly/holyfram.htm

オスカー像の取り込み先 http://www.sankei.co.jp/

2アカデミー賞とは?

創立

1927年5月11日(「映画芸術科学アカデミー協会」が授与する賞のこと)

入会するには

映画芸術、科学に貢献したと認められアカデミー会員の推薦を必要とする

会員数

50000人(創立時275人)

開催月

3月か4月

賞候補の条件

ロサンゼルス地域で1週間以上、有料で上映された35ミリ以上の作品

代表的な賞

作品、監督、脚本、主演男優、主演女優賞(5冠)

アカデミー賞うらばなし

1回の特別賞チャールズ・チャプリンは「少数の人間の決めた賞など、たいした名誉ではない」と発言

2回の女優賞メアリー・ピックフォードが委員全員を自宅で接待していたスキャンダル

3回からは公平を期すためと賞を盛り上げるために、全員が投票権を持つようになっている

25回からはテレビ中継されるようになりショウ的要素 も強まる(会員も増え一般参加者も加わったため)

考察

アカデミー賞は思っていたよりも奥深いものがあった。よくアカデミー賞を受賞した作品は収益が2倍にも3倍にもなると言われているが、少数のアカデミー会員によって受賞作品が決められている現状を見るといささか不公平ではないかと感じる。また、よくアカデミー賞受賞が確実な作品と言われながら結局は受賞できなかったということが多々あるが、これはアカデミー会員達がその作品が気にいらなければその作品を数の力により受賞させなくすることも会員数から見て可能であるかと思う。

アカデミー賞の受賞式は全米に生中継され、その結果は日本でも即座に知ることができる。このことはそれだけアカデミー賞は世界的に注目されている訳である。つまりこの賞の結果自体が世界中の人々全てが納得いく結果という訳にはいかないが、それなりに納得する受賞作品である必要があるのではないか。

どちらにせよアカデミー賞は映画を見る人々が見るための1つの尺度として見られているのは確かである。毎年毎年、世界的規模で行われるお祭り騒ぎは毎年恒例の行事の1つとしてまだまだ続いていくだろう。

全ての画像の取り込み先 http://www2f.biglobe.ne.jp/~dondetch/movie/m&v-2.html

3おわりに

ハリウッド映画について調べてみると奥が深く、範囲を限定しても調べる量が膨大になってしまった。ハリウッドは夢が満ち溢れた希望の地と思っていたがそうではなく、現在様々な問題を抱えていることが分かった。情報通信が革命的な速さで進歩している現在、今までのハリウッドではなく新しいハリウッドになっていく必要性があるのではないかと感じる。このように、ハリウッド映画は大きな岐路に立たされているが映画産業自体は活況を帯びている。このことから余暇における映画の役割はますます増加していくだろう。

参考ホームページhttp://www2f.biglobe.ne.jp/~dondetch/movie/m&v-2.html

4参考にしたホームページ

http://www.stingray-jp.com/allcinema/

[全洋画ONLINE]映画について知っているようで知らない知識が身につく。特に、映画賞のデータが豊富であり受賞作品も知る事ができる。(小島周一郎)

 

http://www.oscar.com/

アカデミー賞の公式ホームぺージ。もちろん英語で書かれている。(小島周一郎)

 

http://www.sankei.co.jp/cgi-bin/rb/rbdraw.cgi?mov_movie

産経新聞の映画に関するホームページ。様々な過去の映画に関する記事を読むことができる。また最新映画の予告編も見ることができる。(小島周一郎)