「自力でやり抜いた価値」

中村祐司（宇都宮大学行政学研究室担当教員）

会場となったライトキューブ内の空間の居心地のいい「柔らかさ」に驚いた。記念行事と重なったとはいえ、このような場で提案発表の舞台に立てたことにも価値があった。今回は教員からすれば薄氷を踏むような思いでの参加であった。参加の条件として「二人以上のグループ」というのがあり、かろうじてその条件を満たすことができたからだ。

　確かに、学生の発想に発表者の国籍は関係ない。そうは言っても、必要書類のやり取り、中間報告、提言論文・パワポファイル・ポスターの作成などを「単独状態」の中で、しかも日本語コミュニケーションのみが通じる状況において、留学生のみで向き合い、やり遂げたことに大きな意義があった。教員からの発想面での助言は「アスノミヤ・ゲーム」という名称ぐらいで、後は文章の加筆・修正ぐらいであった。　

　ほとんどすべての取り組みを組織性とは無縁の自力でやり抜いたのである。

たとえば提言論文にしても8頁という分量はとくに留学生にとっては並大抵の分量ではなく、ある種の難関が突き付けられたことになる。それを自分たちの考えを主導に書き上げた。パワポやポスターは斬新なデザインに溢れていた。

今回の経験は今後の研究活動に還元され、飛躍のステップや後押しとなることは間違いない。こうした舞台を与えてくれた市政研究センターはもちろん、大学院研究生が会場に参加してくれたこと、その他研究室メンバーの励ましと支援にも感謝したい。

まちづくり提案２０２３　感想

宇都宮大学行政学研究室

趙　穎琦

まちづくり提案は無事終了しました。

ホッとしたと同時に、テーマを決める時のことや、報告書を書くために調査する時のこと、宇都宮ライトキューブで発表する時のことが目に浮かびます。ある提案を一から自分で考えるのは初めてです。全てが貴重の経験と思います。普段は参加者や第三者の視角から企画や活動に参加するか、今回は企画者どういう立場を体験してみました。普段が面白そうな活動がどれほど事前調査や現状分析を踏まえて、細かく考えすべきことに改めて実感しました。これもまた、今後自分の研究につながると確信しています。

最後のプレゼンテーションとポスター紹介は印象深いです。自ら提案をアピールの場であり、緊張することもあったが、会場の雰囲気はよく、私たちもワクワクしていました。今回の発表会は初めて新築された宇都宮ライトキューブで行いました。ホール内は木製のデザインが多めに、普通の会議室より気分が和らげます。そして、廊下は床から天井までの大きなガラスで囲まれ、太陽が通すことで明るいと感じました。

自分の団体の提案作業をする時間がメインですが、発表会で他の団体の提案と発想を知ることもまた面白いと感じに伴い、勉強になりました。幾つの団体の提案はまさにずばりと感心した。特に、街なかの体育と健康飲食を繋ぐ街づくり、西側の街道動線設計や、東側の空き家と情報シエアアプリの連携などの提案は、自分も喉から手が出るくらいこのような企画が欲しいですね。これらの提案に共通点があると自分なり思いました。それは、地道の現地調査と現状分析です。だから提案がこんなに説得力があるではないでしょうか。

そこから、自分たちのやったことはまだまだだなと感じましたが、自分の弱みと強みを知った良い機会となり、今後の研究にも活用できよう、今回の経験を時間持って吸収します。

宇都宮大学行政学研究室

鐘　越雯

日本に来てから初めて、多くの人々の前で発表するという経験は、私にとって忘れがたいものとなった。宇都宮ライトキューブはJR駅から直結しており、アクセスの良さが際立つ。広々としたその空間には、きちんと並んだ椅子が設置されており、たくさんの観客を収容することができる。そのデザインには、現代の美しさと機能性が見事に融合されており、さまざまなイベントに最適な場と言えるでしょう。

　今回の発表では、私たち2人の外国人として、観客からの温かい寛容と賞賛を受けた。残念ながら入賞は逃したが、他のグループの強みから多くを学ぶ機会を得ることができ、例えば、充分な事前調査、分かりやすく表現されたアンケート結果、プレゼンテーション時の声の調子などである。今後は、この経験から自分の欠点を改善し、他者の長所を取り入れ、勉強や仕事に活かしていくことを心掛けたいと思う。

見えたまちづくり提案の（個人的な）理想形

宇都宮大学大学院　地域創生科学研究科　研究生　川口直樹

　まずは今回の発表会に参加した趙穎琦さんと鐘越雯さん、お疲れさまでした。多くのメンバーを擁して参加するグループも多い中、留学生2人で各提出資料や発表資料の作成、当日の口頭発表とポスターセッションをこなしたのは賞賛に値することだと思います。大変お疲れさまでした。

　私個人については、今回は一般来場者として、客観的にまちづくり提案を観察した。ライトキューブでの初開催となった今回は、ポスターセッション（以下PS）の活況ぶりが印象的であった。過去に私が参加した開催回では、PSと口頭発表を同時並行で行っていた影響で来場者が分散し、口頭発表に多くの人が集まっていた。そのような状況で1日中PSの時間に充てられており、誰も来ないポスターの前で待ちぼうけを食うのはなかなか辛いものがあった。その分、怪我の功名というべきか、隣のシニアグループの方々とさまざまなお話ができた（2021年開催回）ことは僥倖であった（口頭発表直前まで話が続いたのには困った）。しかし、今回のように午前中は口頭発表、午後はPSと明確に区切って実施したほうが効率よく、メリハリのある発表会になることは間違いないだろう。タイムスケジュールの点で、今回の発表会は大変優れていたと感じる。

　一方、PSの会場がやや窮屈だったことが気になった。これは１つの会場で口頭発表とPSの両方を行い、またPS後に記念講演が控えていたため、座席の配置を崩せなかったことが要因であったと思う。

結果的にPSは会場の後方、やや押し込められたような形で行うことになった。もう少しゆとりのあるポスター会場を確保できればなお良かったと思う。

　上述したが、まちづくり提案の間に記念講演が行われるのも新鮮だった。示唆に富む講演を拝聴でき大変勉強になった。

　過去2回の参加時に疑問と不満を感じていたPS開催形態に対する答えを、今回見つけることができた。個人的なまちづくり提案の最適解は、開催場所に関わらず、今回のタイムスケジュールで、PSと口頭発表会場を別に確保して行うことだと考える。今後のまちづくり提案がより活気あるものになることを願っている。