まちづくり提案2021 感想
〈Aチーム〉
地域デザイン科学部コミュニティデザイン学科
3年 遠藤浩輔
まちづくり提案が先週で終わりひとまずホッとしました。発表当日に向けて着々と準備を進めてきたものを、本番で存分に発揮できたので達成感をものすごく感じました。また、あれだけの人前でプロジェクターを使って発表をしたという経験は、これからの卒論研究なり、社会に出た後も自分の自信に繋がる気がします。一方で反省点としては、提案の具体性、特にその提案した事業を実際に実行する際に生じる課題や効果、協力団体についてもう少し深掘りしてもよかったと思いました。特に他の優秀賞を受賞していた班では、実際に調査を行ったり、関係する団体へのヒアリングを行ったりしている団体もいたため、現状分析の重要性を改めて感じました。そういった反省・気づきを次の研究活動に活かしていきたいなと思いました。ありがとうございました。
地域デザイン科学部コミュニティデザイン学科
3年 木塚翔子
まちづくり提案に参加して、私は二つのことが気になりました。一つ目は、スマートシティに対する捉え方には大きく二つ分けられることです。私達のグループは、VRを活用して観光客向けのイベントを提案しましたが、これは宇都宮市外が対象です。一方他のグループは、バスの乗り替えを便利にするアプリ開発や市民が行政情報を入手しやすくするシステムの提案など宇都宮市民が対象になるものでした。このように初めに市民に新しい技術の便利さを伝えて、少しずつ外へと枝葉を伸ばしていくという視点も大切であることを勉強させていただきました。
二つ目は、学外の方に説明することの難しさです。全体発表やポスターセッションを通して学外の方に発表した中で、「自分達がなぜこのテーマを取り上げたのか」を更にゆっくり説明することが必要だと感じ、今後の発表に生かしたいと思います。
〈Bチーム〉
「変わったこと、変わらないこと」
地域創生科学研究科 コミュニティデザイン学プログラム 1年 川口直樹
私にとっては2年ぶり2度目のまちづくり提案となったが、2019年の前回とは少し様子が違っていた。ポスターセッションは2会場に分けられ、口頭発表では使用機材の消毒などの対策がとられていた。しかし、以前の姿ではなくとも、コロナ禍のなかでも対面での開催が続いていることに意義があると思う。
今回の提案における一番の難問は「スマート×風土」というテーマとの関連性であった。思い返せば2年前のテーマはSDGsであり、SDGsは明確に17のゴールと169のターゲットが定まっているため、関連を見出しやすかった。今回のスマート、風土は抽象的な概念で、幅広い解釈が可能であるがゆえの難しさがあった。一方で、各グループの個性が出て面白さがある。今回はセンさんと2人のグループであったため、まずは2人の研究テーマの中から、私のプロサッカーを「風土」と位置付けて考え始めたが、徐々にAIマッチングなどの活用が進む結婚支援は「スマート」に合致することが分かってきた。結果的に2人の研究テーマが「スマート×風土」に合致し、当初頭を悩ませたテーマとの関連性は無事にクリアできたので安心した。サッカーと結婚支援を組み合わせるのは難しいだろうと思われたかもしれないが、個人的には当初から自信があった。そして当日評価されたのは、やはりこの2つを組み合わせたテーマの斬新さであった。細部に課題はあるものの、若者ならではの視点という本発表会の趣旨からすれば、有益な視点を提供できたのではと自負している。
当日、審査員の方から言われたのは、これは予想していたことではあったが、やはり「なぜサッカーなのか」であった。そもそも若者のサッカー人気はどれくらいなのか、サッカー好きな男女がマッチングする確率は低いのではないか、アプリにどれだけの需要があるのか。そして、これははっきりとは覚えていないが、「なぜバスケでないのか」。もちろん、今回提案したアプリはサッカーに限定のものではなく、他のスポーツにも応用の可能性はある。しかし栃木県でまずプロサッカーを取り上げようとすると、やはり「なぜバスケ、ブレックスでないのか」という疑問がついて回る。サッカーのJリーグとバスケのBリーグには類似点が多い。とりわけ栃木県内では特に無視できない存在である。バスケとの関係性、「なぜJリーグなのか」は、修士論文を考える上でも重要なテーマであると改めて感じた。
ポスターセッションや口頭発表の風景は確かに変わった。しかし、提案書、発表スライドやポスター作成に勤しみ、そして迎える当日の発表。2か月にわたるまちづくり提案を終えたあとの達成感や充実感、そして一抹の寂しさは、コロナ禍があってもまったく変わらない、かけがえのない思い出である。そんなことを思った2021年のまちづくり提案であった。
「結果の意味を超えた収穫」
地域創生科学研究科 コミュニティデザイン学プログラム 1年 QIAN TINGZHI
今回のまちづくり提案は、人生の第2回かつまた最後回である。
今回我々の研究室を代表として2つのチームが提案を参加した。4人は2つのチームに分かれていて、2人で1つの提案を準備した。率直に言うと、私はこのような組み合わせが好きである。なぜと言えば、授業中にチームワークの経験から、団体として人が多すぎると非常に多くの考えが生まれやすい、意見が統一しにくいような気がした。一人でやれば大変なので、2人で1つのテーマを作るのがちょうどいいと思った。
でも2人で制作されたそんなこと言ったが、チームB代表者である川口さんは、今回の提案に最も多くの貢献をした人であることは間違いなかった。ポスターのデザインは元々私の任務はずだが、いくつかの操作の原因で、本番の印刷する時にすべての文字がぼやけていた。最後に川口さんのおかけでポスターの印刷をいよいよ無事に終えた。『こんな簡単なデザインもできませんか』って怒られると思っていたのに、逆に、前に設計したように印刷しなかった大丈夫かと心配された。こんなチームメンバーがいるのことにより、本当にまちづくり提案を参加することに何よりも感謝の気持ちを持っている。また、まちづくり提案の模擬発表中に、先生や他のゼミ生から、コンメンや助言をもらって、提案の内容や説明方式に助かりを役に立った。
提案当日、審査員の方や発表を見に来てくれた方から、多くの認可のコメントをいただいて嬉しかった。現場で他のチームの課題を聞いていただき、宇都宮市では、そんな改善の余地があったかな、他のチームの発表成果に驚きつつ、一般市民が大学生の提案への高い関心度、まちづくりへの高度な参加意欲などに感動した。
世論に結果は大切な存在だと思われるが、今回のまちづくり提案を通して、テーマ決定、テーマ分析、丁寧な説明、さらに人とのコミュニケーションなどのような経験を積み重ねたから、本当に入賞をしなかったても人生の成長に有意義なことを取り入れられたと思う。
〈担当教員〉
「心地よい虚脱感と達成感に覆われて」
宇都宮大大学行政学研究室担当教員 中村祐司
後期の行政学研究室活動の二大イベントの一つであるまちづくり提案が遂に終わった。
発表当日は、残念ながら夕方からの大学業務と重なり、授賞式や審査員の講評を聞くことはできなかったものの、もう賞がどうこうではなく、二つのチームが最後まであきらめずにやりきった事実が研究室の貴重な「ソフト財産」として残った。
要するにAチームもBチームも各メンバーが持ち味を発揮して、ベストの相乗効果を見事に発揮したのである。発表のスタイルに限定したとしても、たとえばAチームにおける最後の数日間の追い込みは凄まじかったに違いない。コロナ感染対策のため着席のままという制約の中で、驚くべきことに発表本番の際は一度も資料に目を落とさずに顔を上げ続けて、会場の参加者に直に語りかけるスタイルを貫徹した。
また、Bチームの報告には「掛け合いの妙」が際立っていた。普通は発表の前半と後半といった具合に報告を分担するのが常なのだが、敢えて、小刻みに交互にシンクロするかのように、また、あたかも報告者間でキャッチボールをしているかのように、緻密かつ華やかパワポ画面で聞き手を引き付けながら、発表をやり抜いた。
ぎりぎりの段階でといったら失礼だろうか。両チームとも準備の終盤になって、各々の良さを吸収し合ったことが見て取れた。教員冥利に付ける行為であった。発表が終わり、報告者でもない教員が心地よい虚脱感と達成感に覆われたのはそのためであった。
知性における学生の伸びしろは大きく、それも短期間で著しい成長を遂げる。だからこそ、まちづくり提案には、組織ではなく、学生の「素手」のみでもって今後とも向き合わせたい。
宇都宮市が、テーマをめぐる情報収集のアドバイス、論文の掲載、当日のプレゼンやポスター提示の機会など、いわば学生の研究・発表の環境を整備してくれたこと、そして、他大学や他の研究室の報告が大いなる刺激を与えてくれたことに感謝したい。