参 照


授業科目名 余暇政策論 科目コード K130360
科目区分 専門教育科目 開講時期 前期
学部・学科等 国際学部 国際社会学科 曜 日 水曜日
必修・選択区分 選択 時 限 3 〜 4 時限
標準対象年次 授業形態 講義
単位数 2 単位 教室名 イメージラボ(峰)
担当教員名
中村 祐司
e-mailアドレス(代表者) yujin@cc.utsunomiya-u.ac.jp
オフィスアワー 特に設けないが、e-mailか電話による事前連絡を受け、面会の日時調整を行う。
対象年度 2003 年度
授業の概要
<授業の目標>
 日本における不況の長期化や企業業績の悪化に伴うリストラの激化、さらには地方税収入の減
少や負債の増大に伴う公共サービスの低下といった国民負担の増大は、人々の生活基盤そのもの
を直撃しつつある。しかし、その一方で、「東京ディズニーリゾート」の成功に代表されるよう
に、人々は特定のレジャー領域においては支出を惜しまない傾向も続いている。
 余暇政策とは、近年、政府が主張し始めた「観光立国」政策といったように、人々の仕事以外
の領域を活性化させるような政策を指しており、地方レベルでも国レベルでもその範囲は広範に
及んでいる。この講義ではレジャー、観光、スポーツ、文化、消費といった様々な余暇領域にお
いて、国や地方がどのような政策を立案し、実施に移しているかを具体的なデータを提供しつつ
論じる。後半には受講生による「参加型授業」を徹底し、各自が関心のあるテーマを設定し、レ
ポートを作成することで、国内外の今後の余暇政策の動向も含めた検討を行っていきたい。

<授業内容>
 余暇とは「仕事をはなれて、自分の勝手に使える時間。ひま」(岩波国語辞典)と定義されて
いるが、「ひま」が行政とどのように結びつくのか疑問に思われるかもしれない。しかし、実際
にはこの「ひま」こそが現代の人々の生活を特徴づけるキーワードとなっている。さらにこれ
が、レジャー産業やスポーツ・文化産業といった余暇産業に関わる私的なアクター(民間産業)
によって形成される市場(マーケット)を支える主要素となっている。
 極論すれば、現代の先進諸国では人々は「パン」の氾濫よりも「バラ」の充実を求める傾向に
あるし、それ以外の国々においては「パン」の不足に対する人々の不満が「バラ」によって癒さ
れるか、あるいは陰徴されている。
 講義では余暇をめぐる政府政策、市場メカニズム、消費者選好と、それら相互の作用・依存関
係について教科書を読み進めながら論じていきたい。そして、受講生がレポート作成作業を通じ
て、余暇政策領域の深みとメカニズムを把握できるようにしたい。

<前提とする知識・経験>
 余暇政策領域に関する何らかの関心を持っていること。余暇活動を人々の生きがいの側面から
考察すること対する関心があること。実際に夢中になれる何らかの余暇活動を持っていること。

<成績評価方法>
 出席(30%)、中間に実施する試験と期末に提出するレポート内容(40%)、講義やレポー
トをめぐるディスカッションの際の積極的発言と発言内容(30%)という3つの側面から成績評
価を行う。

<教員からのメッセージ>
 ある意味で余暇活動の世界は人間社会の縮図を体現している。「たかが余暇。されど余暇」の
「されど...」に共感する学生の受講を望む。この講義の成果であるレポートを積極的にインタ
ーネット上に公開していきたい。なお、履修を検討するにあたって受講生には「宇都宮大学国際
学部行政学(中村祐司)研究室」のホームページ
http://gyosei.mine.utsunomiya-u.ac.jp/
を参照願いたい(Yahoo Japan!等の画面で「中村祐司」で検索するとアクセス可)。  
授業の方法
<授業計画>
                                    予習文献

 第1週 余暇とは何か                  
 第2週 余暇活動の諸領域                      教科書第6章
 第3週 余暇政策の歴史                       教科書第7章
 第4週 政府と余暇行政                       教科書第8章
 第5週 余暇政策の構成領域                     教科書第9章
 第6週 余暇産業と余暇市場                     教科書第10章
 第7週 スポーツ・文化産業のメカニズム
 第8週 国際交流とスポーツ・文化政策、試験実施
 第9週 リゾート開発と環境行政
 第10週 余暇をめぐる行政と産業のパートナーシップの在り方
 第11週 東京ディズニーリゾートの戦略        受講生によるレポート中間報告
 第12週 地方におけるテーマパーク運営の課題     受講生によるレポート中間報告
 第13週 レジャー行動の変容と今後の方向性
 第14週 生活の豊かさと余暇活動           提出レポートをめぐる議論
 第15週 社会的閉塞状況と余暇活動の再認識      提出レポートをめぐる議論


<授業の具体的な進め方>
 前半は講義形式となるが、後半はレポート準備報告やレポートをめぐる議論といったように、
受講生が自らこの時間を形成していく気概を持ってほしい。講義レジメや参照資料などは研究室
HPにできるだけ掲載し、情報量や参照リンクの提示などの面で効率的に進めていきたい。

<教科書・参考書・教材と入手方法>
 教科書:「公共を支える民−市民主権の地方自治−」寄本勝美編著 コモンズ。
  
 参考書:池田勝他編『講座 スポーツの社会科学1〜4』(杏林書院、1999年)。

 教 材:毎回の講義で資料(とくにインターネット情報)を提示する予定。

<その他>
 この講義を通じて、あらゆる政策領域を学ぶ上でのヒントとなるものを受講生に提示したい。