<授業の目標>
市民にとって身近な地方自治が果たすべき役割は何であるのかについて、その機能的・制度的
側面から論じたい。地方分権や市町村合併をめぐる論議、自治体の国際比較・国際交流という視
点からも予算や財源・権限の行使、さらに意思決定過程等について考察する。中央−地方の政府
間関係論にも言及し、基礎的自治体を起点とした自治型・上昇型のコミュニケーションルートの
在り方を探りたい。
後半は受講生自身が地方自治に関するテーマを設定し、そのテーマに関するレポートの作成に
取り組む。提出後は電子媒体上に掲載することでレポートの共有を図り、他者のレポートを読
み、議論を行うことで地方政府の特定政策領域における知見を深めてもらう。
<授業内容>
1993年以降の日本における地方分権の流れを把握する。国会における地方分権推進決議、地
方分権推進委員会の諸勧告、地方分権一括法の成立と施行、その後の地方分権改革推進会議の中
間報告や最終報告、さらには近年の市町村合併をめぐる国の誘導政策と地方の対応など、国全体
の動態を包括的に把握する。直接請求権や住民投票など住民自治の近年の動きについても解説す
る。同時に教科書を読み進め、特定の政策領域における住民自治活動の態様と地方政府の対応状
況について、事例を通じた理解を深めていく。
講義の前半で地方自治をめぐる考え方や基礎知識を身に付けてもらい、後半では受講生自身が
テーマを設定しレポート作成に取り掛かる。インターネット情報を利用した資料収集と問題解決
の方向性を自ら考える作業を通じて、特定政策領域における行政サービスのメカニズムに対する
理解を深めてもらう。レポート提出後は他者のレポートを読み込み、討議を通じて今後の研究に
も生かせる視点を身に付けてもらう。
<前提とする知識・経験>
国内外を問わず、地方自治体が提供するサービスに何らかの関心を持つ者であること。この講
義でのレポート作成作業から得られた知識や分析の視点を、卒論作成などに生かしていこうとい
う意欲を持つ者。行政サービスに関わるインターネット情報を積極的に利用する姿勢を持ってい
ること。
<成績評価方法>
出席(30%)、中間に実施する試験と期末に提出するレポート内容(40%)、講義やレポー
トをめぐるディスカッションの際の積極的発言と発言内容(30%)という3つの側面から成績評
価を行う。
<教員からのメッセージ>
まず、様々な生活課題に直接的に対応する基礎的自治体(市町村)に対する関心を持ってほし
い。ただし、自分の目で実際の行政活動を確認し、「現場」に踏み込んで実証することで始めて
納得するという思いを持ち続けてほしい。意欲あふれる受講生の参加を望む。
この講義の成果であるレポートを積極的にインターネット上に公開していきたい。なお、履修
を検討するにあたって受講生には「宇都宮大学国際学部行政学(中村祐司)研究室」のホームペ
ージ
http://gyosei.mine.utsunomiya-u.ac.jp/
を参照願いたい(Yahoo Japan!等の画面で「中村祐司」で検索するとアクセス可)。
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