参 照


授業科目名 地方自治論 科目コード K130351
科目区分 専門教育科目 開講時期 後期
学部・学科等 国際学部 国際社会学科 曜 日 月曜日
必修・選択区分 選択 時 限 3 〜 4 時限
標準対象年次 授業形態 講義
単位数 2 単位 教室名 イメージラボ(峰)
担当教員名
中村 祐司
e-mailアドレス(代表者) yujin@cc.utsunomiya-u.ac.jp
オフィスアワー 特に設けないが、e-mailか電話による事前連絡を受け、面会の日時調整を行う。
対象年度 2003 年度
授業の概要
<授業の目標>
 市民にとって身近な地方自治が果たすべき役割は何であるのかについて、その機能的・制度的
側面から論じたい。地方分権や市町村合併をめぐる論議、自治体の国際比較・国際交流という視
点からも予算や財源・権限の行使、さらに意思決定過程等について考察する。中央−地方の政府
間関係論にも言及し、基礎的自治体を起点とした自治型・上昇型のコミュニケーションルートの
在り方を探りたい。
 後半は受講生自身が地方自治に関するテーマを設定し、そのテーマに関するレポートの作成に
取り組む。提出後は電子媒体上に掲載することでレポートの共有を図り、他者のレポートを読
み、議論を行うことで地方政府の特定政策領域における知見を深めてもらう。

<授業内容>
 1993年以降の日本における地方分権の流れを把握する。国会における地方分権推進決議、地
方分権推進委員会の諸勧告、地方分権一括法の成立と施行、その後の地方分権改革推進会議の中
間報告や最終報告、さらには近年の市町村合併をめぐる国の誘導政策と地方の対応など、国全体
の動態を包括的に把握する。直接請求権や住民投票など住民自治の近年の動きについても解説す
る。同時に教科書を読み進め、特定の政策領域における住民自治活動の態様と地方政府の対応状
況について、事例を通じた理解を深めていく。
 講義の前半で地方自治をめぐる考え方や基礎知識を身に付けてもらい、後半では受講生自身が
テーマを設定しレポート作成に取り掛かる。インターネット情報を利用した資料収集と問題解決
の方向性を自ら考える作業を通じて、特定政策領域における行政サービスのメカニズムに対する
理解を深めてもらう。レポート提出後は他者のレポートを読み込み、討議を通じて今後の研究に
も生かせる視点を身に付けてもらう。

<前提とする知識・経験>
 国内外を問わず、地方自治体が提供するサービスに何らかの関心を持つ者であること。この講
義でのレポート作成作業から得られた知識や分析の視点を、卒論作成などに生かしていこうとい
う意欲を持つ者。行政サービスに関わるインターネット情報を積極的に利用する姿勢を持ってい
ること。

<成績評価方法>
 出席(30%)、中間に実施する試験と期末に提出するレポート内容(40%)、講義やレポー
トをめぐるディスカッションの際の積極的発言と発言内容(30%)という3つの側面から成績評
価を行う。

<教員からのメッセージ>
 まず、様々な生活課題に直接的に対応する基礎的自治体(市町村)に対する関心を持ってほし
い。ただし、自分の目で実際の行政活動を確認し、「現場」に踏み込んで実証することで始めて
納得するという思いを持ち続けてほしい。意欲あふれる受講生の参加を望む。
 この講義の成果であるレポートを積極的にインターネット上に公開していきたい。なお、履修
を検討するにあたって受講生には「宇都宮大学国際学部行政学(中村祐司)研究室」のホームペ
ージ
http://gyosei.mine.utsunomiya-u.ac.jp/
を参照願いたい(Yahoo Japan!等の画面で「中村祐司」で検索するとアクセス可)。
授業の方法
<授業計画>
                                    予習文献
授業の計画
 第1週 自治行政の理念                       
 第2週 自治行政の制度的沿革                    教科書第1章
 第3週 自治体における首長と議会                  教科書第2章
 第4週 市民参加                          教科書第3章
 第5週 市民参画と議会                       教科書第4章
 第6週 職員参加                          教科書第5章
 第7週 市民行政・職員行政・企業活動                
 第8週 地方分権をめぐる論議−その1、試験実施        
 第9週 地方分権をめぐる論議−その2          
 第10週 市民・地方政府・中央政府          受講生によるレポート中間報告
 第11週 地方行政活動の実際             受講生によるレポート中間報告
 第12週 地方自治と政策
 第13週 自治体における文化行政
 第14週 自治体の国際政策                提出レポートをめぐる議論
 第15週 市民活動の成熟とは               提出レポートをめぐる議論

<授業の具体的な進め方>
 前半は講義形式となるが、後半はレポート準備報告やレポートをめぐる議論といったように、
受講生が自らこの時間を形成していくようにしたい。講義レジメや参照資料などは研究室HPに
できるだけ掲載し、情報量や参照リンクの提示などの面で電子媒体を生かした形で効率的に進め
ていきたい。

<教科書・参考書・教材と入手方法>
教科書: 寄本勝美編著『公共をささえる民―市民主権の地方自治』(コモンズ、2001年)。

参考書: 松下圭一他編『岩波講座 自治体の構想1〜5』(岩波書店、2002年)。
     大石嘉一郎他著『日本における地方自治の探求』(大月書店、2001年)。
     秋月謙吾『社会科学の理論とモデル9 行政・地方自治』(東大出版会、2001年)。

教材 : とくにインターネット情報に関して適宜配布する予定である。

<その他>
 地方自治体が提供するサービスを「お役所」のイメージで捉えてはいけない。今や「ローカル
ガバナンス」という言葉に代表されるように、従来の行政サービスは、NPO、市民団体、企業
などとの「協働」なくして成り立たなくなっている。地方自治を学ぶことはこうした他のセクタ
ーとの協力・交錯関係をいかに構築していくのかを追及することである。