参 照


授業科目名 現代政治の理論と実際 科目コード G411713
科目区分 教養教育科目 開講時期 後期
学部・学科等 共通教育  曜 日 月曜日
必修・選択区分 選択 時 限 1 〜 2 時限
標準対象年次 授業形態 講義
単位数 2 単位 教室名 イメージラボ(峰)
担当教員名
中村 祐司
e-mailアドレス(代表者) yujin@cc.utsunomiya-u.ac.jp
オフィスアワー 特に設けないが、e-mailか電話による事前連絡を受け、面会の日時調整を行う。
対象年度 2003 年度
授業の概要
<授業の目標>
 冷戦終結後の現代世界は、民族間摩擦や地域紛争、グローバリゼーションに対抗するナショナ
リズムの顕在化に象徴されるように、まさに先の読めない混沌とした状況となっている。この講
義では考察の対象を世界に向け、国家間関係の変容や国家戦略を把握し、国際組織の在り方や国
際的なNGO組織の可能性を探ることとする。
 とくに核開発や武力紛争といった国家間での危機的な状況に注目し、こうした危機を回避する
ためにはどのようなルール作りが必要であり、利害の対立する国家同士が共通認識を持つために
はどのような方策が考えられるのか、教員と受講生とが一緒に知恵を絞っていきたい。

<授業内容>
 まず、現代世界における「政治」の側面に注目し、国際政治をめぐるいくつかの分析枠組みを
提示する。旧ソビエトの崩壊によって唯一の超大国となったアメリカ、経済面を軸として新たな
統合を模索するEU諸国、台頭著しい中国、そして政治・経済の停滞からなかなか抜け出すこと
のできない日本など、いわゆる先進諸国における国家戦略の変容を理解する。
 そして、とくに朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)における核開発問題を取り上げ、戦後の朝
鮮半島をめぐる政治的推移を整理した上で、以下の項目についての情報提供と意見交換及び考察
を行う。すなわち、北朝鮮の核開発疑惑とこれに対するアメリカの対応、体制の存続と相互不可
侵を目的とする北朝鮮の戦略上の課題と国連の対応、韓国による「太陽政策」の継承と世論の変
容、日本の対北朝鮮政策の変化と拉致問題、ロシア・中国の対北朝鮮政策の特徴などである。
 要するに北朝鮮問題に関わる諸国家を各アクターとみなし、諸アクターがどのような戦略をも
って影響力を行使しようとし、諸アクター間の相互作用や相互関係は今後どのように変容してい
くのかを探っていきたい。

<前提とする知識・経験>
 「現代政治」という語に触れて何かしらの興味と関心を持つ者であること。また、日々の新聞
に目を通しているか、目を通さなければいけないと考えている者であること。ただし、高校時代
における政治経済科目に対する得手不得手は一切問わない。

<成績評価法>
 出席(30%)、期末に提出するレポート内容(40%)、講義やレポートをめぐるディスカッ
ションの際の積極的発言と発言内容(30%)という3つの側面から成績評価を行う。

<教員からのメッセージ>
 意欲的・積極的な問題意識を持つ学生の受講を期待する。現在の「政治」に何らかの関心があ
る学生には、得るところの多い授業にしたい。この講義の成果(レポート)を積極的にインター
ネット上に公開していきたい。なお、履修を検討するにあたって受講生には「宇都宮大学国際学
部行政学(中村祐司)研究室」のホームページ
http://gyosei.mine.utsunomiya-u.ac.jp/
を参照願いたい(Yahoo Japan!等の画面で「中村祐司」で検索するとアクセス可)。




授業の方法
<授業計画>
                           予習文献は各回毎に適宜提示する。
 第1週 現代社会における国家(中央政府)の役割と課題
 第2週 現代政治へのアプローチ方法と分析の視角
 第3週 現代政治における権力、イデオロギー、利害
 第4週 国家構造の変動と政治・経済・社会の変容
 第5週 北朝鮮の核開発疑惑とアメリカの対応
 第6週 戦後の朝鮮半島状勢の変化
 第7週 北朝鮮―韓国関係の変容と国際政治
 第8週 日本の対北朝鮮政策の特質と拉致問題
 第9週 北朝鮮問題をめぐる国際組織の役割と課題
 第10週 朝鮮半島エネルギー開発機構(KEDO)をめぐる国家間関係
 第11週 国際NGO組織による北朝鮮支援の特質
 第12週 ロシア・中国の対北朝鮮政策をめぐる同質性と差異
 第13週 イラク問題と北朝鮮問題をめぐるアメリカによる対応スタンスの違い
 第14週 北朝鮮の食糧難をめぐる国際支援の実際
 第15週 北朝鮮をめぐる政治的安定の可能性と諸国家の関わり

<授業の具体的な進め方>
 講義形式を主とするが、受講生に対する多くの質問を投げかけていく。受講生からの質疑や意
見も大歓迎である。教員と受講生とが講義で取り上げるテーマについての問題意識の共有と共通
の事実認識を持つと同時に、互いの意見の相違は最大限に尊重していく。こうした毎回の講義の
積み重ねを経て、各自がレポートを完成させ、そのレポートを題材にした議論を行う。

<教科書・参考書・教材と入手方法>
教科書: 特になし。

参考書: 岡部達味『国際政治の分析枠組』(東京大学出版会、1992年)。
     姜尚中『ナショナリズム』(岩波書店、2002年)。

教 材: 適宜インターネット情報等を提示する。毎回の講義で資料を配布する予定。

<その他>
 この講義を通じて、受講生が世界の出来事に各々のアンテナを広げるようにしたい。