日本における食育推進−栃木県の活動を事例に−              

                              2006年5月29日

                          国際社会学科4年  大橋友梨

 

@問題意識・テーマ設定について

 

私達が生きていく上で必要不可欠な食。この食について近年ニュースで問題となり取り上げられる機会が増え一層注目されています。しかし、ニュースになっている問題については知っていても、食そのものの知識についてはないといっていいほど、重視している人は少ないのではないでしょうか。ライフスタイルが多様化してきている今こそ食から見直していかなければ、これから先私達、そしてこれから大きくなっていく子供の未来にも影響してくるのではないかと考え、今どんどん注目されてきている「食育」というものに興味を持ち始めました。まだ浸透していない食育に農林水産省などの行政や団体も力を入れ始めてきているので、これから大きな可能性を秘めている分野なのではないかと考えています。

 

 

A食育とは

 

定義:

「私達の健康の基本となる、食生活に関する様々な教育を行い、食べる物を選ぶ力、食べ方、調理法、味覚形成、食べ物の生育に関する知識や豊かな食生活の楽しみを覚えるなどの力をつけることを目指している取り組み」

→2005年6月10日「食育基本法」が制定されたことで各地の取り組みが活発化。地域だけでなく企業も食育について積極的な取り組みが行われている。

「食育基本法」

食育に関する施策の総合的かつ計画的な推進を目的とする法律であり、食育に関する基本理念を定め、国や地方公共団体に食育推進施策を義務付ける内容などを定めるために作られたもの。

 

「食育」の由来
=「食育」という言葉は、明治31年(1898)石塚左玄が「通俗食物養生法」という本の中で「今日、学童を持つ人は、体育も智育も才育もすべて食育にあると認識すべき。」と、明治36年(1903年)には報知新聞編集長であった村井弦斎が、連載していた人気小説「食道楽」の中だ「小児には徳育よりも、智育よりも、体育よりも、食育がさき。体育、徳育の根元も食育にある。」と記述しています。最近、「食育」という言葉が改めて広く聞かれるようになりましたが、そのルーツは大変古い物。

歴史がある教育にも関わらず浸透せずにここまできたのか

 

 

B現代の食生活の問題点

 

〔1〕   食糧消費構造の変化 米の消費量減少・畜産や油脂の消費量増加

           昭和35年度 米消費量 48.3%  油脂類 4.6%

                         ↓          ↓ 

           平成16年度      23.4%      14.2%

 

           食の簡便化(冷凍食品など)や外食志向の高まり

            →栄養バランスの崩れ

 

〔2〕食生活の乱れ  朝食を抜く社会人や子供達

           ダイエットからの欠食

           塾通いや深夜番組の影響からの夜更かし

           

→肥満等の生活習慣病の発症を助長、エネルギー供給の欠如か                  

            らの体調不良

 

〔3〕食に関する人々の関心と知識不足 食べ残しや賞味期限切れの食料廃棄量増加

                   豊かな国と貧しい国の格差広がる

                   

                   謝った認識例

     びっくり水を買いたいが売ってない

     落しぶたとは、どのような豚肉か

     玉葱を使いたいが、どこまで剥いても実が出てこない

     畑からイチゴが生える絵を描く子供

 

C食育推進の問題点

 

〔1〕食育への関心の無さ、認知されていない現状

     改めて見直そうという意識を持つ人は限られているのが現状

→子供を持つ主婦層、食物・教育関係企業、健康志向者など。若者は特に少ないのでは

 

〔2〕触れる機会が少ない

 →まだ認知されていない食育であるために、身近に感じられるイベントや活動が少ない。

 

〔3〕予算の確保、活用の現状

 →内閣府による「食育関連予算概算要求事項」によると、平成17年度予算では0円だった青少年における食育推進費〔フォーラムや情報提供活動等〕が18年度概算要求額では92万円、学校・家庭・地域の連携食育推進においては0円から120万円、子供の生活リズム向上プロジェクトは0円から250万円と大幅な増加が見られるが、実際にはどのくらい子供に実際触れるものに使われているのか、効果はどれだけ見られているのか、現状を把握しづらい。

 

 

D栃木県における食育活動

 

・「食育ネットとちぎ」

栃木県の農林水産省が平成15年12月17日に食育活動を実践している、または予定している個人や団体との情報交換を通して、活動を支援していく「食育ネットとちぎ」を立ち上げ、現在の参加団体は66団体〔平成17年7月15日現在〕となっており、県内全体への浸透を目指し活動している。

例)栃木保育協議会 平成17年度保育協議会研究調査会と栃木県市町村保育所栄養士研究会の共同で「とちぎ食育ノート〜食から育つ元気な子〜」を作成

→学校や行政機関、NPO、生産者団体などの詳しい活動内容や連絡先なども多く把握出来たため多くの有力情報を得る見込み有り。

 

・栃木農政事務所

出前講座、マロニエ食育塾、食の安全・安心セミナー、食育セミナー、現地交流会など開催

 

・とちぎアグリプラザ

食と農の理解促進カレッジ開講、消費者と生産者の交流会、親子農業教室、情報ライブラリーなどを実施、開放している施設

 

Eこれからの調査方針

食育活動の全国的な現状や事例、特に栃木県内の活動を集中的に食育ネットとちぎでのつながりをまずは追いフィールドワークも含めた調査、新たな活動提案、食育の必要性、問題点の見直し、フードインストラクターの資格取得なども視野に入れ探っていきたい。

≪参考資料≫

・食育・食生活指針の情報センター http://www.e-shokuiku.com/index.html

goo辞書【食育】 http://dictionary.goo.ne.jp/search.php?MT=%BF%A9%B0%E9&kind=jn

・農林水産省「食育の目的と背景の紹介http://www.maff.go.jp/syokuiku/kikakubukai.pdf

・内閣府 食育推進担当ホームページ http://www8.cao.go.jp/syokuiku/index.html

・食と農の広場food&Agriculture『とちぎアグリプラザ』http://www.agriplaza.jp

・食育・食生活の情報指針センター http://www.e-shokuiku.com/index.html

・農林水産省 なぜ?なに?食育http://www.maff.go.jp/syokuiku/index.html