自治会の新たな可能性
国際社会学科4年 川端さやか
自治会には多様な存在形態があり、地域のもつ問題も異なる。よって、地域社会における普遍的な3つの問題と、それに呼応する形で自治会が克服すべき課題と現在それに取り組んでいる自治会の事例を挙げる。また、自治会自体の問題点についても指摘する。現在はこの4つの事項の中から、どの切り口で調べていくのかを考えている段階である。
地域社会における問題
@地域づくりにおいて 若年層のリーダー不足
無関心層の広まり
NPO・市民団体との連携不足
A福祉面において 高齢化社会
団塊の世代
B安全・防犯面において 顔のみえないコミュニティ
例)今市女児殺害事件の記事から
・自治会加入率 25年前90%→現在66%
・広報の形態 回覧板→インターネット
地域社会における問題に対応する自治会の課題
@地域づくりにおいて 自治会の加入率UP
広範な年代層の参加
青年団の活発化
NPO・市民団体との連携促進
事例
東京都立川市 大山自治会
・H13年に立て替えられた団地の自治会。これを機に入居者は若返り、増加した。
・役員の世代構成・・・2,30歳代の青年層、4,50歳代の壮年層、60歳以上の高齢層から
各二人ずつ。
・どの世代の発言も活発な役員会。風通しのよさ。
→会員と自治会事務所の交流促進。(自治会事務所への相談増加)
A福祉面において 高齢化対策の実施
コミュニティネットワークの確立
事例
茨城県勝田市 勝田市自治会長協議会
・企業城下町的部分とベッドタウンがほとんどを占めるまち。人口12万人。
・市内一人暮らしの高齢者450人に、1人に対して近隣の住民数人から10人程度でネットをつくる。340ネット。
・毎日の声かけ、家事の手伝い。給食サービスも実施。
・48の市内全自治会が参加。S63年に再編し現在の組織形態に。
・行政の下請けでなく、対等な立場を目指す。
B安全・防犯面において 役員だけでない会員の交流促進(顔の見える地域へ)
自治会による防犯活動
学校との連携
「自治会」自体の問題
・加入率の低下(都市部を中心)
→任意団体であり、強制的であってはならないため、地域住民の自発性が必要。
・若年層リーダー不足
→青年団の活動活性化。自治会への若年層参加促進。リーダー養成活動実施。
・排他的、不透明な側面
→役員の循環、役員だけでない会員の活動参加促進。明確なメリットの提示。
・行政の下請け的役割と、それによる負担増
→自律的な運営への転換。組織化、分業化を進める。
都市の進んだ現代社会におけるコミュニティを存続、発展させようとすることは、決して不自然なことではないと考える。むしろ、現在のコミュニティにおける無関心、無干渉こそが不自然なことであり、人間らしいつながりを取り戻すことが地域の発展につながると考える。そのためには、現代社会に対応した自治会の新しい在り方というものがあるはずである。自治会の組織、運営形態は様々であるため、どの地域にも最適なモデルを提案するのは困難である。よって、ある目的を達成するために有効であると考えられる一形態を提案できたらと考えている。
3つの切り口のいずれに焦点をあてるか、もしくは自治会の抱える問題点に焦点をあてるか、また対象とする自治会などについてはまだ思案中である。
これからの進め方としては、何に焦点を絞るかを決定し、その分野で先進的な活動を行なっている自治会を探す。そして、その自治会の活動を調査することで、新しい自治会のあり方というものを結論として導いていきたい。