卒論ゼミ発表用レジュメ
国際学部国際社会学科 加藤大輔
2006年6月5日
卒論レジュメ vol.2 「社会起業家」
1.社会起業家と社会的企業の違い
前回指摘されて社会的企業について調べてみたところ、社会起業家とほぼ同じ意味で使われていることがわかった。また、ほかにも社会的起業家、社会的企業家、社会企業など、たくさんの似たような言葉が見つかった。これらを個々に見てみると、いずれもビジネスの手法で社会的課題を解決していくものを意味し、ただ単に日本での定義が定まっていないだけのように思われる。
ただひとつ違いをあげるとすれば、社会起業家(Social entrepreneur)は起業家に、社会的企業(Social enterprise)は団体自体に着目した呼び方ということくらいである。(育っていない環境では起業家か?)
ちなみに今回は、まだ確かな情報がないので社会起業家という言葉を使う。
2.社会起業家を支える波
@
NPOのビジネス化の波
内閣府国民生活政策HPにあるH17年度市民活動団体基本調査報告書を見ると、NPOの数は増えてきているが、資金、人員、運営方法など、様々な点で十分でない団体がほとんどである。にもかかわらず、NPOマネジメントに関する研究はすすんでいないのが現状だ。(澤村 明)
最近ようやく、NPOのマネジメント強化が叫ばれ始め、関連書籍や、セミナーなどが多くなってきた。
A
一般企業の社会化の波
CSRが注目されてきている。伊吹英子によると、アメリカではすでに資産運用会社の運用総額の12%が社会性評価を得たものであり、企業はCSR抜きにはやっていけなくなりつつあるという。日本でも社会貢献ファンドが少ないながらもでき始め、日本企業も戦略としてCSRを取り入れなくてはならない時代がくるようだ。
B起業支援の波
ベンチャーブームがやってきた。政府も起業支援に乗り出している。教育にもビジネスが盛り込まれていくだろうし、全国民が起業できる技術とチャンスを得られる時代になりつつある。
3.問題点
まず社会起業家という言葉・概念を日本に定着させるためには、呼び方を一本化しなくてはならないのではないか?もっと社会起業家を扱う研究家が増えて、社会に正しく認識される必要がある。
一般企業の社会化はまだ日本に定着しないのではないか。ようやく株や投資が注目されてきた段階で、株主利益ばかりに目がいってしまっている気がする。
参考文献:
澤村明「日本における経営学系のNPO 研究の状況」
http://sawamura.econ.niigata-u.ac.jp/sawamura/papers/JANPORA2005/busi_admin_theses_on_NPO.pdf
伊吹英子 「経営戦略としての社会的責任」
http://www.nri.co.jp/opinion/chitekishisan/2003/pdf/cs20030906.pdf