卒論ゼミ発表用レジュメ

国際学部国際社会学科 加藤大輔

200658

卒論レジュメ vol.1  「日本における社会起業家」

 

@     テーマ設定の理由

もともとNPOなどの社会性のある団体に興味があったので、それらについて調べていたところ、社会起業家と呼ばれる人々がいることがわかった。彼らはNPOの様な熱い理想で社会貢献のための事業をやっているが、同時に営利企業の様なしっかりとしたビジネスモデルを持ち、自分たちの力で活動を続けているというのである。

企業には社会貢献が求められ、非営利組織には事業性が求められている現在、二者に代わって、豊かな社会を作り上げていく存在として、社会起業家の活動にスポットを当ててみたいと思ったのがテーマ設定の理由である。

 

A     社会起業家とは

社会起業家を知るためには、まずその生まれた背景や現在までの経緯を知る必要がある。

 

・イギリスにおける社会起業家

社会起業家という概念はイギリスのシンクタンク「デモス」によって作られたのだが、その背景にはイギリスサッチャー政権時代の政策がある。彼女が行った徹底的な規制緩和、労働者組合弾圧、そして福祉カット政策により、一時は失業者が300万人を超え、犯罪が多発、地域や学校は荒廃し、多くの病院が閉鎖となった。しかしそんな危機的状況の中で、持ち前の起業家精神を利用して社会の改善に努めた人々がいたのである。彼らはまだ見つかっていない資源(人材、設備など)を使って、既存の組織を結びつけ、新たなネットワークを構築し、難しい社会問題を解決すべくアクティブに動いた。デモスは、この驚くべき動きに着目し、彼らを社会起業家(Social entrepreneur)と名づけ、調査・研究を行ったのだ。デモスの報告書には様々な例が載せられており、潰れかけた病院をエイズ専門のホスピスとして生まれ変わらせたものや、荒廃した地域を再生した例、また市役所や小学校、警察など、公的機関の中で、社会的問題に対して革新的事業を行った人も含まれるなど、非常に多岐に渡る。デモスはこう述べている。「マクロ公共政策と社会保障制度、そして税金による社会サービスの提供に支えられた従来の社会福祉システムでは、現代の社会問題―長期失業やドラッグ、家庭崩壊や教育問題など―に、もはや対処できなくなっている。それに対する人々の批判の声は高まっているが、抜本的な改革は進んでいない。この袋小路を抜けるには、社会変革により、新しい福祉の哲学と方法論、そして組織を作り出すことが必要だ。つまりは問題解決型の福祉システム、アクティブな福祉システムである。そして、こうした時代にもっとも必要な存在が、社会起業家なのである。」

 

・アメリカにおける社会起業家

 アメリカにも社会起業家に近い概念として、ブラスルーツ・リーダーがある。産業の衰退などで自治体の財政が破綻しそうな地域において、古い産業から新しい産業への転換を図ってニューエコノミーを構築し、都市を生き返らせる人々である。イギリスのそれと違う点は、イギリスでは中心人物が市当局の起業家的幹部であるのに対し、アメリカでは商工会議所会頭や、ハイテクベンチャー起業家だったりと、比較的多彩な顔ぶれが揃う点である。また、NPO大国アメリカでは、元来学問的な非営利セクターの研究が盛んであり、最近はその経営論が流行する中で社会起業家が熱心に研究されているという。大学で非営利組織の経営方法を学び、実際にその社会で活躍する者が多いのもアメリカらしいところである。それから、アメリカにおいてはフィランソロピーが盛んなことも、社会起業家の隆盛を支える要因であろう。ビルゲイツなどが設立した大きなフィランソロピー団体が、社会貢献や産業の発展のために、巨額の資金を寄付する。しかも彼らはただ資金を与えるだけではなく、回収するために口を出す「投資」というスタイルを持ち込んだ。このため、非営利セクターでも豊かな経営手腕が問われることになり、彼らの発展を促しているのだ。

 

さて、このように見てくると、イギリスでもアメリカでも、地域社会を住みやすくする、住民の生活を豊かにする、という目的は同じでも、社会起業家をめぐる環境や考え方が、かなり違っていることがわかる。では次はいよいよ、日本における社会起業家について述べていきたい。

 

・日本における社会起業家

 デモスの報告書が出たのは1997年であるから、日本に社会起業家という概念が入ってきたのももちろんその後である。したがってまだ年数が経っておらず、最近ようやく社会起業家という言葉が広がり始めたところである。にもかかわらず、社会貢献をしながら働きたいという人は多く、引退した団塊の世代や、就職活動をしている学生などに、徐々に大きな広がりを見せている。

 さて、日本における社会起業家について調べてみると、一つの大きな壁にぶちあたる。それは、社会起業家の定義が、大まかに分けて二通りにわかれていることである。まず一般的な定義として、以下を挙げたい。

 

社会起業家とは「医療、福祉、教育、環境、文化などの社会サービスを事業として行う人たち」である。      (社会起業家−「よい社会」を作る人たち   町田洋次)

 

これはイギリスやアメリカのそれと同じように、様々な社会的ニーズに応えるためになんらかの事業を行う「社会的使命を持った起業家」のことを指している。多くの場合、社会起業家といえばこちらを示す。

ではもうひとつはというと、社会起業家を日本に広めるために結成された、社会起業家フォーラム(JSEF)が打ち出している社会起業家の捉え方である。

 

大企業、中小企業、ベンチャー企業、政府、自治体、公益法人、病院、

学校、大学、研究機関、さらには、NPO、個人などの立場を問わず、

「社会貢献」や「社会変革」の志を持ち

「現在の事業の革新」や「新しい事業の創造」を通じて
「良き社会」を実現しようと行動する人々

社会起業家フォーラムHP 田坂広志氏のインタビューより

 

 

この定義では、社会を良くしたいという思いを持ち、そして新しいことを始めようとする人は誰でも、社会起業家だと言っているのである。どんな仕事をしていようとも、その仕事の中でできる「起業」がある、それがJSEFの考え方だ。田坂広志氏の著書「これからの働き方はどう変わるのか―すべての人が社会起業家となる時代―」を読むとより分かりやすいが、彼らは決して最初の定義を否定するわけではなく、さらにその上をいくとてつもなく大きな志を持っているように思われる。それは、ただ単に起業家を養成して社会をよくしようというのではなく、全ての人の働き方を、やがては人々の考え方を変えてしまおう、そうすれば社会がよりスムーズに動くのではないか、というものだ。もちろん学問的に扱うことはかなり難しいが、こちらの定義が受け入れられるようになれば、日本はものすごい国になる。扱ってみる価値はありそう。

 

 

B     NPOとの違い

C     日本における社会起業家の例

すいません時間がなくて二つ書けませんでした。次回までにはまとめます。

 

 

Dまとめ、今後の展開

まず社会起業家というあいまいな概念をまとめるのに手間取ってしまった。やはり、本やネットでは限界があり、直接社会起業家の方にあって、熱い思いや今の潮流を感じたいと思った。

今後は、更なるリサーチにより早めに論点絞込みをしないと、大変なことになりそうです。

んー難しい

 

 

 

・参考文献

社会起業家―「よい社会」を作る人たち 町田洋次著

社会起業家―社会責任ビジネスの新しい潮流―

これからの働き方はどう変わるのか―すべての人が社会起業家となる時代― 田坂広志著

 

Web

社会起業家フォーラム  http://jsef.jp/

社会企業カフェ     http://www.osakanpo-center.com/social_entre_cafe/

実践型インターンシップ・起業支援 ETIC

            http://www.etic.or.jp/index.php