行政学研究室発表用

フリーペーパーの実態とこれから

国際社会学科4年 磯谷萌

 

1、テーマ設定のきっかけ

私が大学に入る1年前の200212月に新幹線「はやて」が開通し、東京と八戸を3時間という短時間で行き来できるようになった。青森県の入り口である八戸市は、青森県や八戸市のPR、新たな観光地としての準備を急速に、着々と進めていた。住んでいる人たちが自分たちの街に興味をもっていなければ、市の未来は明るくないということで、市内の小・中・高校生に11冊、八戸市の情報が詰まったミニブックが配られたほどだ。私もこの流れからか、八戸市の活性化に興味を持った。

人々が観光に来たとき、何を見て行動するのだろうか。ガイドブック、駅にある案内、インターネット、さまざまな手段がある。しかし、もともと住んでいる人は自分の土地のガイドブックを買うだろうか。

大学に入り、初めて宇都宮に来たとき、偶然手に取ったホットペーパー。最初は暇つぶしに見ていたものだったが、髪を切りたい時、おいしいご飯が食べたい時、それは力を発揮した。新しく住むことになる土地の情報を無料で得ることができたのだ。

書店で購入するわけでもなく、パソコンで検索することもなく、手軽にどこでも手に入れることができるフリーペーパーは、最近いろいろなところで目にする。新聞の発行部数よりもフリーペーパーの発行部数のほうが上回る、情報雑誌などの分野で、出版業界をしのぐ勢いで増加しているとの話も聞く。

このようなフリーペーパーは地域の人々や町にどういう影響を与えるのだろうか。情報があれば人が集まる、人がいなければ情報は生まれない。まずは、地域の人々がいて、地域の情報をみんなが知って、地域の人々の意識で、地域が元気になる。地域を盛り上がらせ、活性化させるのに、このような情報媒体は役立つのではないかと思い、このテーマを選んだ。

 

2、フリーペーパーについて

 

@フリーペーパーの定義

フリーパーパーとは「特定の読者を狙い、無料で配布するか到達させる定期発行の地域生活情報紙誌で、イベント、タウン、ショップ、求人求職、住宅・不動産、グルメ・飲食店、ショッピング、演劇、エステ・美容、レジャー・旅行、各種教室など多岐にわたる生活情報を記事と広告で伝える」ものだ。これはフリーペーパー有力会社が組織した日本生活情報紙協会が平成12324日に制定した定義である。

日本では生活情報誌=フリーペーパーという概念が一般的ではあるが、生活情報を載せているが有料であるとか、フリーペーパーだが生活の情報を提供しているとは限らないものもある。

 

広告基準についても、いろいろな人が目にするフリーペーパーによって、読者に不測の損害を与えてはならないので、日本生活情報紙協会で広告掲載基準を設けている。これも同じくH12324日制定。

また、新聞社から発行されているものは新聞と同じような基準に従い、そのほかの発行会社も独自の基準を設けている。

 

A発行部数

発行部数は全国で225,696,353部で、約2億部。

発行者数は全国で948社。その媒体の内訳はフリーペーパー型855紙・誌、フリーマガジン型283紙・誌。その他・不明が18紙・誌である。世帯あたりの部数を見てみると、その数値は4.70部であり、1世帯当たり4,5枚のフリーペーパーにさらされている状況だ。

http://www.jafna.or.jp/freepaper_2.html 「全国フリーペーパーガイド2003改訂版」より作成されたもの

 JAFNAHPより参照

 

Bフリーペーパーの歴史

日本の生活情報紙は、江戸時代の瓦版から始まった。明治に入ってから、日本で初めて新聞が発行されるようになり、明治後半になると、大衆消費財が充実してきたことにより、新聞にも広告主が現れるようになり、新聞や広告業界が活気づいていった。しかし、第二次世界大戦が近づいてくると、国策で紙の統制が始まり、新聞のページ数が激減したり、「欲しがりません勝つまでは」のスローガンのもとで、我慢を強いられた大衆消費も冷え込んだりしたため、この活気は失われ始めた。

やがて、第二次世界大戦下の1942年には全国各都道府県に点在していた各新聞社が、政府の新聞統制令によって一県一紙に統合された。これが地域情報紙の始まりである。全国紙と違って、全国紙がカバーできない地域の情報を丁寧に詳細に載せることができるという点が魅力的である。

 終戦とともに、我慢を強いられていた国民のエネルギーは爆発し、耐久生活への反動はすさまじい勢いで生産力になり、経済復興につながる。1950年の朝鮮戦争による特需景気を境に、国民の生活水準は戦前レベルに回復した。焼け野原となっていた国土の再建は、住宅問題の解決を急ぎ、住宅環境整備のために日本住宅公団が設立された。これが、団地の始まりである。今のイメージとは違い、当時の公団団地はエリート、文化的生活者の象徴であり、生活に「ゆとり」があった。また、テレビが普及したことによって、従来の速報メディアとしての役割を奪われ始めた新聞各社は、新聞の媒体としての価値を高めるために、詳報性や解説性の充実に力を注いだ。また、新聞業界にも民放型の「広告費で発行経費をすべて賄う」という考え方を唱え始めた人が現れた。

 このようなことをヒントに、団地住居者をターゲットとして、町内会報のようなコミュニケーション手段となる地域情報、生活情報源となる広告、そしてニュース、無料、これらを組み合わせた「団地新聞」が生まれた。これが、無料の記事や広告、すなわちフリーペーパーの始まりだ。そうして、各地でターゲットを町内にしたり、主婦層にしたり、働く女性のためにオフィスに配布したり、鉄道を利用する人を対象に沿線情報を駅に置いたり…と広がっていった。

 

Cフリーペーパーの形態と分類

実にいろいろな種類のフリーペーパーがあるので、どこまで書くべきか迷ったので、今回は箇条書きにさせていただきます。

 

T、配布スタイル

戸別宅配→エリアを各社で絞り、ターゲットに合った配布が出来る。

新聞折込→幅広い読者層

スポット設置→OL、学校、店頭、公共施設など

 

U、配布サイクル

日刊→速報性

週刊→就労、就学サイクルにあわせている。

隔週→地域イベント多い

旬刊→10日おき、自営業

月刊→サラリーマンのサイクル

隔月、季刊→季節感重視

 

V、大きさ、形

新聞スタイル→B2(ブランケット判)、B3(タブロイド判)

マガジンスタイル→綴じているもの

リーフレットスタイル→小型の1枚の紙を折ったものとか、見開きのものなど

 

 

 

 

 

D宇都宮市の状況

 

ASTRO→下野新聞社、週刊、女性に役立つ情報、折り込み、県南情報(足利市、佐野市など)

おーぽっく→下野新聞社、週刊、ASTROの県北(宇都宮、真岡など)版

とちぎ朝日→月2回、朝日新聞に折り込み

栃木よみうり→月2回、読売新聞に折り込み

TonTon→月2回、新聞販売店が読者へのサービス

マロニエリビング→独自宅配、週刊、宇都宮市配布シェア77%

 

 

今後やりたいこと。

 

ホットペッパーやMoteco、クーポンメインっぽいのは、どうなのか。

TownwarkTJも同じく、求人情報誌も。もっと探して見る。

普通に販売している情報誌、もんみや、Oishiとかは勢いすさまじいフリーパーパーのことをどう思い、負けないようにはどうするのか、何が違うのか、など話を直接聞いてみたい。

そして比べてみたい。

あと、今回は時間が無かったが、前回のときに、話題になった「許可」について。

人口密度との関係について、韓国での状況なども見てみる。

面白いと思ったのが、コンシェルジェという名前で、中国にいる邦人のためのフリーペーパーを日本の企業があり、中国人社員と日本人社員で発行されていること。北京版、大連版、上海版、香港版、とある。

 

 

参考資料:JAFNA 日本生活情報誌協会 http://www.jafna.or.jp/index.shtml

     『新・生活情報紙−フリーペーパーのすべて』 山中 茉莉 著

      2001年、電通

     フリーペーパーリンク集 http://www.webtelevi.com/freepaper.htm