石田奈津美
「住宅から生まれる産業廃棄物について」
私たちが住んでいる家は、その役割を終えた時、巨大なゴミになる。その量は、木造住宅1棟分で4t車15〜16台分にもなるらしい。
産業廃棄物のうち、建設に伴うこうした廃棄物を建設系産業廃棄物(建設廃棄物)と呼ぶ。この建設廃棄物は、産業廃棄物のうちどれくらいの割合を占めているのか。
<産業廃棄物の業種別排出量>
<平成8年度の産業廃棄物の業種別排出量(農業系を除く)と最終処分量の比率>
鹿児島県産業廃棄物実態調査報告書(平成11年3月)
建設業の状況を見ると、排出量に対する最終処分量は78%。農業系を除く業種別排出量では3割だったのが、最終処分量では5割に達している。このことから、産業廃棄物のうち建設廃棄物の占める割合の大きさだけでなく、それがあまり再利用されていないということがわかる。再利用されない主な原因は、部材をつなげるための接着剤が多く使われていて、様々な素材を分別することが困難であるためだという。
さらに、この大量の建設廃棄物は不法投棄という問題も生み出している。不法投棄は、悪質な解体業者が正規処分するとかかってしまうコストを削減するために行っている。建設廃棄物を正規処分した場合、解体で43万、運搬で42万、処理で115万の費用がかかるが、これを不法投棄してしまえば100万で済んでしまうという。不法投棄されるのはたいてい人目につかない山の中だが、廃棄物から生じる化学物質やガスなどにより、環境が汚染されたり、ふもとで行われる農業に影響が出たりと、その被害は深刻である。
そんな中、2001年4月から「建設リサイクル法」が施行された。以下がその主な内容である。
●解体工事を行なうには、事前に届出が必要になる。(建築面積が80u以上の建物)
●発注者は解体分別計画を作成し、提出しなければならない。
●分別解体を実施しなければならない。
●許可を受けた解体業者に発注する義務がある。
●木くず、コンクリート、アスファルトはリサイクルしなければならない。
●罰則がある。
この法の施行により、建設廃棄物の最終処分量の減少が期待できるとともに、悪質な解体業者による不法投棄の防止が容易になったが、実際に効果はみられたのだろうか。
・NHKクローズアップ現代「あなたの家がゴミになる時」(2001年2月)
・有限会社 オストコーポレーション http://www13.ueda.ne.jp/~ost-co/page049.html
・鹿児島県土木部建築家住宅政策室
http://www.pref.kagoshima.jp/home/jyutakuka/kankyo/themes/haikei/07.html
今後は・・・
・住宅から生まれる廃棄物について調べる。
・産業廃棄物に関する数字を出す。
・解体の発注者から受注者への流れ、解体コストについて調べ、なぜ不法投棄が行われるのかその背景を探る。
・建設リサイクル法の内容と、その効果を調べる。
・廃棄物を出さない家づくりについて調べる。
そして、建設廃棄物を出さないためには、不法投棄が行われないためにはどうしたらいいかということを自分なりに考えていきたいと思う。