2004/07/26卒論指導レジュメ                            010104k石原佳菜子

 

テーマ 化粧品がもたらす社会的影響とその課題

 

キーワード 男性用化粧品 大手メーカーの海外進出 アジアでの戦略

 

1.化粧品業界の現状と展望

 今まで、日本の化粧品市場は、主に女性向け化粧品の市場であった。しかし、女性向け化粧品は様々なメーカーが競い合ってきた結果、ほぼ成熟したといえる状態にある。その結果、女性向け化粧品の売り上げは伸び悩んでいる。国内業界2位のカネボウが産業再生機構の支援を受け再生を目指しているのも、現在の化粧品業界の状態を表している例だと考えられる。そのような中、各化粧品メーカーは、国内では男性用化粧品、海外では中国を中心にアジア地域の事業を拡大している。今後はますます海外向け製品が増えていき、主要な市場になっていくと考えられる。

 

1−1 男性用化粧品

 近年では、男性用化粧品も一般化し、10代〜40代まで幅広い年齢層に広がりつつある。

 最近では、[1]20045月、資生堂が男性用スキンケア化粧品「シセイドウ メン」を発売した。女性とは異なる男性の肌に合わせて作られた化粧品で、化粧水など、2100円〜7350円(税込)と高価な商品が多いが、売上は当初の目標の約2倍となっている。また、10代から20代前半の若い世代にも購入しやすい低価格商品を積極的に販売しているメーカーもある。コーセーは男性用ブランド「メンズソフティモ」シリーズで、洗顔料やパックなどを販売している。カネボウも「ヌーディ」ブランドを展開し、整髪用ワックスの売上を伸ばしている。こうした男性用化粧品が浸透してきた背景には、日本が欧米のような競争社会になりつつあることが挙げられる。人と接する際のマナーとして、男性の化粧品が受け入れられてきているのだろう。

 

1−2 海外(特にアジア)向け化粧品

 ここでは、日本だけでなく、世界の化粧品メーカーが今もっとも力を入れている中国について書いていく。

[2]2002年の世界の化粧品市場は小売りベースで第一位が米国の58799億円、以下、日本24251億円、フランス11970億円となっている。日本の化粧品市場は世界第二位の規模であるが、上にも示したように、成熟した市場であることから、化粧品各社は成長が見込まれる海外市場に力を注いでいる。なかでも大きな伸びが期待される中国展開を強化している。

中国の2002年の化粧品市場は現地通貨で約450億元(前年比12%増、1元=約15円換算で約6750億円)と過去最高となった。中国は数年前に韓国を抜き、日本に次ぐ市場規模となったが、上海万博が開かれる2010年には日本と同規模の14000億円程度(出荷ベース)になるとの予測があり、その後も伸び続けアジアで最大、世界で第二位の化粧品市場になるとみられている。現在、中国で展開する化粧品メーカー(トイレタリーメーカーを含む)は外資系、中国国内の零細企業を含め4000社ともいわれるメーカーが乱立している。うち、外資系は企業数ベースでは約20%だが、金額ベースでは高級化粧品を主に販売していることから約70%程度の圧倒的シェアとみられる。なお、中国の化粧品市場の約15%が高級輸入化粧品、約55%が外資系現地生産の高級化粧品、約30%が現地化粧品となっている。このデータからも日本をはじめ各国化粧品メーカーが競って中国市場に進出している理由がわかる。

[3]中国では世界の大手化粧品メーカー各社が複数のブランド展開をしている。世界最大の化粧品メーカー、ロレアル(フランス)はランコム、ビオテルムなどを、プロクターアンドギャンブル(アメリカ)はSK、ユニリーバ(イギリス)はラックス、資生堂は中国専用ブランドのオプレ、エスティローダー(アメリカ)は社名と同一ブランドで、そのほかクリスチャンディオールなどの有名ブランドが多数、高級百貨店を中心に販売されている。  日本のメーカーは1981年に資生堂が中国で化粧品を販売開始(91年に現地工場建設)、88年にはコーセーが合弁で化粧品工場を建設、92年にカネボウが販売開始(2000年に現地工場建設)、93年に花王はシャンプーなどの現地生産を開始、現在、「ソフィーナ」ブランドの化粧品の販売を検討している。日系の現地化粧品には、「オプレ」(資生堂)、「アクア」(カネボウ)、「アヴニール」(コーセー)などある。例えば資生堂の「オプレ」は、中国女性の肌悩み「乾燥」に着目した化粧品だ。中国女性あこがれのブランドとして好調に推移している。[4]現在、78都市300店のデパートで販売し、取扱店の90%でインストアシェア1位となっている。それ以外のブランドも高級百貨店から量販店などにも販路を拡げており、今後さらなる需要拡大が見込まれている。

 



[1] 200477日 読売新聞より

[2]ユーロモニター社調べより

[3] http://www.1ban.co.jp/tachibana/geppo_bn/200310/geppo200310_cosmetics.html

[4] http://www.shiseido.co.jp/s9810new/html/new02089.htmより、200211月のデータ