030630 maeday

国際学部国際社会学科 前田佑介

 

[3回卒論レジュメ]

PFIPrivate Finance Initiative)』

 

1、国内のPFI事例

前回イギリスのPFI事業としてローダム・グランジ刑務所の例を挙げた。ローダム・グランジ刑務所は所管する内務省が試算した建設・運営コストよりも10パーセント低く抑えることができたという成功例であったが、今回は国内の事例を見ていきたい。 PFI事業の導入は地方自治体が先行しているようだ。PFI法の制定(99年9月)以降、現在までに50を越えるPFI事業が公表されている。(2002年10月現在)

 http://www8.cao.go.jp/pfi/project_index.html (PFI推進委員会ホームページに事業情報一覧あり)

 

[大館周辺広域市町村圏組合・ごみ処理事業]

・大館周辺広域市町村圏組合(以下「広域組合」という。)は、大館周辺広域市町村圏組合・ごみ処理事業(以下「広域処理事業」という。)を民間資金等の活用による公共施設等の整備等の促進に関する法律(平成11年法律第117号)(以下「PFI推進法」という。)に則り、実施することとしました。本実施方針は、PFI推進法に基づき特定事業の選定及び特定事業を実施する民間事業者の選定を行うにあたり、事業の実施に関する方針として定めるものです。

 

・施設規模→100t/日(100t/日を原則とするが、施設の稼動日数等により調整が可能な場合、規模を変更することも可とする。)・24時間連続・22系列。但し、11系列も条件によって可・100t/日に加えて、50t/日の範囲で産業廃棄物等の混焼を行うことも可

    立地場所→秋田県大館市花岡町字観音下地内の一部(面積約2ha)。もしくは、事業を実施するための条件を満たすと認められる民間事業者により提案された土地。参加者の提案する事業実施用地は、大館周辺広域市町村圏内に所在し、以下の要件をはじめとして募集要項に規定する要件を満たしたものであることとします。

・施設概要→処理対象物を受け入れ、燃焼・溶融処理を行うとともに、発生する副成物等の貯留を行う一連の施設

・施設の特徴→一般廃棄物に加えて産業廃棄物等の混焼を行うことも可能

・供用開始→平成154月予定

・事業目的→広域処理事業は、大館市、比内町、田代町の12町より搬入される一般廃棄物を適正に処理することを目的とします。なお、条件が合致した場合、一般廃棄物処理に加えて、脱水汚泥及びあらかじめ広域組合の了解を得た産業廃棄物を適正に処理することも可とします。

・事業概要→民間事業者が、大館市、比内町、田代町の12町より搬入される一般廃棄物(可燃ごみ、リサイクルプラザ からの破砕残渣)の処理を行う大館周辺広域市町村圏組合・ごみ処理施設(以下「広域処理施設」という。)を設計・施工し、さらにその運営までを一括して行うものとします。また、施設の稼働率向上等を目的として、民間事業者は、脱水汚泥及びあらかじめ広域組合の了解を得た産業廃棄物を一般廃棄物に加えて処理することも可能なものとします。更に、民間事業者が、広域処理施設の建設に係る資金の調達も行い、運営期間(約15年)にわたって施設を所有するものとします。なお、15年間の運営期間終了時点において、継続して広域処理施設の運営を行わない場合、広域処理施設は解体・除去されるものとし、かかる解体・除去業務も民間事業者の業務範囲とします。ただし、解体・除去業務に係る費用の算定方法及び支払い方法等につきましては、別途、募集要項に記載のとおりとします。広域処理施設は、平成154月に供用が開始され、平成29年度まで運営が行われる計画です。なお、副成物として排出される金属類(主として鉄分)及び溶融スラグは、広域組合の協力のもと、可能な限り有効利用するものとし、溶融飛灰処理物については適正に処分するものとします。処理に伴って発生する余熱の利用については、広域処理施設で有効利用し、なお余剰が生じる分につき民間事業者の自由とします。

・特定事業選定の考え方→(1)事業期間全体における公共財政負担を建設費及び運営費の観点から定量的評価を行い、その結果として、公共財政負担の削減が見込めること

(2)事業期間全体における事業リスク及び公共サービス水準について定性的評価を行い、その結果として、公共負担リスクの低減及び公共サービス水準の向上が見込めること

・資格要件→・参加者は、一般廃棄物の燃焼・溶融に伴い発生する副成物のうち、溶融スラグ及び溶融飛灰の最終処分を行う場合、同処分に関する許可を有したものであること。もしくは許可を有することが見込まれるものであること

参加者は、産業廃棄物の燃焼・溶融処理を行い、同処理に伴い発生する副成物のうち、溶融スラグ及び溶融飛灰の最終処分を行う場合、同処分に関する許可を有したものであることもしくは許可を有することが見込まれるものであること。

       広域処理施設を建設するために必要な事業実施用地を広域組合を構成する市町内に確保する能力を有していること

  =当初実施方針。  修正実施方針

http://www8.cao.go.jp/pfi/121225_1.html より

 

    下線部が意味すること。背景

→大館市花岡地区は戦前から国内随一の産銅量をもつ大鉱山に住民の多くが労働力を提供。

 それを経営していたのが同和鉱業という会社である。鉱山の閉山とともに、同和鉱業グループは鉱山用地と設備を活用した産業廃棄物処理事業に転換をはかった。その結果花岡地区は関東からもゴミが運び込まれるゴミの町に。→PFIによる一般廃棄物処理施設建設がもちあがる。

PFI事業管理者には大館市長(建設省出身)が座る→以前から鉱山関連施設とリサイクル技術を結合させて、同和鉱業グループを中心とした産業廃棄物処理事業の育成を模索していた。

 

「最終処分を行う場合、同処分に関する許可を有したものであること」

→花岡地区で最終処分場の許可をもっている事業者は、同和鉱業グループだけ。

 入札には同和鉱業グループのみの参加に。予定価格98億円に対して入札額は120億円で失格。広域組合は予定価格がコンサルタントの算定ミスとし、再入札時には予定価格を引き上げ。住民反対により「もしくは許可を有することが見込まれるものであること。」が追加。同和鉱業グループのほか三社が参加。最後の開札で、同和鉱業110億円、クボタ99億5千万円、エコマネジ83億9千万(予定価格より35億円も安い)。

組合は急遽「広域処理施設を建設するために必要な事業実施用地を広域組合を構成する市町内に確保する能力を有していること。」を追加。しかしエコマネジは県外に所有している最終処分場を予定地として提示することができ、落札企業に決定。

 

参考 『検証・日本版PFI』自治体研究社