介護保険制度からみた
高齢者福祉サービスのこれから
宇都宮大学国際学部国際社会学科4年
980135Z 野村 綾
要約
2000年4月、高齢者に対するサービスに新たに介護保険制度が加わった。しかし、この制度によってサービスを受けることのできる対象者は要支援、もしくは要介護の認定を受けた高齢者である。介護保険制度を軸にこれからの高齢者福祉において重視しなければならないことはなんなのかを検証していく。
福祉行政においては、措置主義から申請主義へ、そして措置制度から契約制度へとの移行が行われている。しかし、それらの変遷にはもちろんメリットだけでなくデメリットも生じる。申請主義は利用者に選択権などの新たな権利を与えたものの、逆に利用者事態が自ら行動を起こさない限り十分なサービスを受けられない可能性を含んでいる。また、契約制度には、国や自治体利用者に対する義務を遂行し、利用者への権利を守ることができるかなど責任のあり方についての議論がなされている。
この他、以前主流であった施設収容主義は淘汰され、居宅主義へと移行していった。やはり、慣れ親しんだ住居での生活を希望する高齢者が多いからである。しかしながら、自宅で介護を受けるにあたっては、家族など介護をする側への負担や相互にかかるストレスなどを考慮すると容易に実行することはできない。
以上のことを考慮しつつ、杵藤地区広域市町村圏組合にぞくする佐賀県嬉野町の介護保険制度を実体験するとともに中核都市である栃木県宇都宮市の高齢者に対するサービスと比較した。「自立」と認定された高齢者へのサービスに相違があることを感じた。サービスの種類としてはそれほどの相違は認められなかったが、その利用者の条件には相違点が認められた。それは、嬉野町はサービスを受けることのできる「自立」と利用者がある程度制限されているということであった。
要約
身近に感じた介護保険と老人介護
第1節 介護保険制度の概要
第2節 措置主義から申請主義への移行から生じたメリット・デメリット
第3節
措置主義から契約主義への移行から生じたメリット・デメリット
第4節
居宅主義への欲求の高まりとその必要性
第2章 嬉野町の介護保険
第1節 嬉野町の介護保険サービス
第2節 嬉野町の介護保険サービスを体験して
第3節 一ボランティアの目から見た問題点
第1節 宇都宮市の生活支援型ホームヘルプサービスの現状
第2節 宇都宮市の生きがい型デイサービスセンターの現状とこれから
第3節 配食サービスと短期宿泊事業をめぐる宇都宮市の現状とこれから
これからの老人福祉と介護保険制度のありかたとは
参考文献