卒業論文
国際学部国際社会学科4年 澤田 勝弘
テーマ:フリーマーケット(蚤の市)にみる地域振興(コミュニティー)のあり方について(仮題)
11月5日
【3】環境問題からみるフリーマーケットの役割
@リサイクル=環境保全としてみるフリーマーケット
フリーマーケットの基本理念は、各市民団体により異なるが、その最もなものが家庭内にある資源を有効的に再利用しようというものである。つまり、リサイクルは家庭や会社などからの廃棄物を減少させる事により地球環境を向上させていくことにも繋がる事になると考え、実際フリーマーケットを開催しているのが環境を考える市民の会が主催している明治公園フリーマーケットである。
●環境を考える市民の会
基本的に環境問題を考える無償ボランティア団体として発足。名前の由来は会員が同じ環境カレッジに通っていた事による。会員同士で環境問題に関するイベントを考え、東京都庁へ問い合わせたところ市民グループでの開催許可はリサイクル目的のフリーマーケットのみである事を知る。元々はグリーンマーケットやグリーンフェスタ(ニューヨークなどでは盛ん)のようなイベントを企画していたが、日本には前例がないため許可が下りなかった。この会は営利目的の市民団体ではないため(非営利団体:NPO)営利目的の団体と同一視される事を好まず。また、いかなる政治団体や政治結社にも属さず、あくまで自分達の理念を貫き通している。また、イベント開催における収益金(出店料)から開催経費(公園使用料・広告代・事務用品代等)を除く全額を東京都社会福祉協議会や墨田区社会福祉協議会の方に寄付している。
→東京都はリサイクル目的の市民団体に対してその開催を許可する。しかし、その前例がない場合は難しい。
環境を考える市民の会で特徴的な事は、一部を除く収益金を全て東京と社会福祉協議会や墨田区社会福祉協議会の方に寄付している事であると考えられる。一部の市民団体が収益金の全てを団体運営やイベント開催経費に充ててしまうのに対し、環境を考える市民の会では、あくまで住民(この場合は区民を指す)あってのリサイクル=フリーマーケットであり、リサイクルという運動をより地域に根付かせ、そこからコミュニティーを形成するために自分達の運動を行っているという点が他とは相違している。この形式による利点はなんと言っても住民のリサイクルに対する意識の向上であると考えられる。つまり、それまで、自分達の近隣で行われていたフリーマーケットというと身近ではあるが、そこから生まれる収益金(出店者が物品売買により得た収益金を除く。ここでの収益金とは参加料や一定の会員費等)が一体どこに行ってしまっているのかという、不透明な疑問を残さざるを得ないものであったのに対し、この団体での収益金は一部を除く全額が行政に対して寄付されているため、そこから生活向上やコミュニティー形成のための資金援助となりうるのではとの見方が出て来ているのではないかと推測する。つまり、市民団体と住民が一丸となり地域振興に貢献しているという意識が存在しているのである。錦糸公園で行われたフリーマーケットでの個人調査によると、一定の出店者を除き、ほとんどが墨田区や近隣の住民の出店である。つまり、代々木公園などでの大規模なものに比べ地域振興に貢献しているという出店者の意識が高いだけでなく、中規模(当団体主催の明治公園フリーマーケットを除く)の利点を生かし、住民同士のコミュニケーションの場としての役割をも担っているのである。
C公共リサイクルセンター(不用品の販売を自治体が代行)
多くの市区町村も地域在住・在勤の人から預かった家具や家電製品、衣類や雑貨などを役場の施設に展示して一般を対象に代行販売を行っている。
出店システムは各自治体によって異なるらしいが、共通点として品物は出品者が持ち込まなければならない点がある。手数料は無料のところから1回200円、あるいは売り上げ金額の10%などと設定は様々である。出品点数にも制限がある。価格は原則的には出品者が決められるが、あくまでリサイクル活動の一環であるため、値付けは上限3000円までであるとか、5000円までなどと制限がある。そして、約1ヶ月程の展示期間終了後、清算して売れ残った品物は返却される事となる。
また、粗大ゴミとして回収した家具や家電などを修理・補修・再生して展示し、希望する市民に対し格安で、あるいは無料で譲渡している自治体も多い。この場合は申し込みは1人2点までといった制限があり、希望者が多数いる場合は抽選となる。見た目が粗大ゴミに見えないものも多々あり、公共なリサイクルとはいえ一見の価値があるようである。