卒業論文

国際学部国際社会学科4年 澤田 勝弘

 

テーマ:フリーマーケット(蚤の市)にみる地域振興(コミュニティー)のあり方について(仮題)

10月22日

 

市民団体の特徴(東京リサイクル運動市民の会の例)

 古着を回収する市民団体(東京リサイクル運動市民の会)

「ありがとうからありがとうへ」を目指す

東京リサイクル運動市民の会では他の市民団体との差別化を図るために、一般の家庭においていらなくなった古着を回収しリサイクルに貢献している。その理念は

 

洋服って長く持てば持つ程、親しみが出るものです。
要らなくなった洋服の処分に頭を悩ませたり、着なくなったけれど手放せない洋服だってきっとあるでしょう。
洋服の気持ちを考えると、押入れの中やタンスの奥に押し込められているより、誰かに着てもらってのびのびと外の空気に当たっている方が幸せなんだと思いますよ。
また、企業の在庫品や、処分品なども回収しています。業務依頼からご相談ください。

 

といったものである。東京リサイクル運動市民の会は古着の循環型生活貢献を目指している。そのため、これら利用者のニーズと合致するものがあれば、市民の会が責任をもち、これら古着を預かる。

 

 東京リサイクル運動市民の会ではこの他お試し出店といった初めて利用しようとする出店者フリーマーケットに慣れてもらう目的や、フリーマーケットを少しでも多くの人々に理解してもらい、リサイクル運動の理念を知ってもらうため、フリーマーケット訪問者のみでなく、出店者のニーズにも答える形でこの制度を行い続けている。

 これは、東京リサイクル運動市民の会会員における出店条件よりも出店料等の面において高くはなっているが、あくまで、フリーマーケットを多くの人々に知ってもらうための手段としては素晴らしいものであると考えられる。

お試し出店

出店はしてみたいけれど、年会費を払うほど出店回数をしないかもしれない」 という出店者の方への要望に答えて、年会費2000円を収めなくても出店できるスタイルが「お試し出店」である。
 アマチュア(家庭の不要品のみ販売の方)に限り一回だけこの権利を使うことが出来る。
しかしながら、お試し出店は全会場で出店料+500円という料金体系なので、2回以上出店される予定 があれば、年会費を払ってしまった方が得だとも言える。

 

●フリーマーケットの基礎知識及び市民団体について(リサイクル運動市民の会)

「リサイクル運動市民の会」は81年4月に活動をスタートさせた非営利団体である。日本最大規模のフリーマーケット会場である代々木公園をはじめ、一都三県で20ヵ所ものフリーマーケットを運営している。「リサイクル運動市民の会」によれば、創立当初、フリーマーケットで物を売る事に対する一般の人々の抵抗は相当強いものがあったという。80年代前半は概して参加希望者が少なく、「出店をお願いして歩き回ることも会った」という。それがここ2〜3年で会員数が急激に伸び、現在は17000人である。そのため、人気会場においては抽選で決まるほどである。

 例えば、代々木公園の場合、2メートル×3メートルの区画が約800ほど用意される。そのため、代々木公園の出店倍率は4倍強となってしまう。私自身、有名なフリーマーケット会場に出店する事は、出店を希望する前の回に出店申し込みを済ませればよいとだけ考えていたため、毎回4倍近い倍率の中フリーマーケットは開催されているという現実を知り、人々のリサイクルに対する関心の高さを伺う事が出来たと同時に、毎回首都圏だけでなく(例えば北関東や静岡など)、からも出店者が集まるという事で、ある種の地域コミュニティーがそこに形成されているのではないのかと感じる事が出来た。それは、フリーマーケットやバザーは、その地域ごとに各特色を醸し出しているものも多く、出店し営利だけを目的にするのであれば、態々東京に出てくる必要がないためである。しかし、この倍率を考えると、東京において見知らぬ人と人との交流を深めたり、自身の郷里のフリーマーケットを紹介したり、様々な意味でのコミュニケーションが取れている要因になっているのではないだろうか。実際、私自身数多くのフリーマーケットを訪問したが、出店者は東京在住の人はあまりいないことが多く、千葉や埼玉、神奈川、群馬など数多くの地域から出店をしに来ている人の方がむしろ多かった。この事は、このフリーマーケット一つ一つが、ある種のお祭であり、フリーマーケットが定期化され有名になる事でそれを開催している地域の発展につながり、貢献しているのではないかと考えられる。有名な例が、世田谷区のぼろ市ではないだろうか。普段は決して名が知られている地域であるとはいいにくいが、その存在は周辺地域の人だけでなく、いまや全国規模でその名が知れわたっている。ここからも推測できるように、従来のフリーマーケット=地域的なものの構図は変化しつつあるのではないのかと考える。

 また、規模は小さいが世田谷公園、中野北口公園、錦糸公園も人気で常に5〜6倍の競争率になるそうで、団体関係者に言わせるとかつての話が信じられないとのことであった。

 

フリーマーケットの参加者は、ここ3〜4年で急増している。主催する団体もウナギ登りで、関東近県だけに限ってみても、現在60〜70団体あるといわれている。大盛況のフリーマーケット事情を、老舗団体である「リサイクル運動市民の会」のほうに疑問をぶつけてみた。

Q:フリーマーケット主催団体が本当に何十もあるのだろうか?

A:何度かフリーマーケットに足を運ぶ人の中には《主催団体に参加費をピンハネされている》と感じる人が多く、それなら自分で団体を主催しようということになり個人でそれらしい名前を付け旗揚げしていくというのが現実である。しかし、実質的には個人で運営しているような団体が定期的にフリーマーケットを開催していくとは考えられず、名実ともにフリーマーケットの団体というと、60〜70もある団体の半分あるかないかというのが実情であるようだ。現状の乱立状態はしだいに淘汰されていくのではと懸念されていた。