The Way to My Graduation Thesis                

                                                              宇都宮大学国際学部国際社会学科4年  宮田 弘美

 

 

 

今回は、予告どおり、文献を読んだまとめをしていきたいと思います。

私のITに関する考えは、現時点では前回に記述したとおりなので、ここではまず、自分の意見はあまり踏まえずに、国がITを推進するに至った経緯・背景について調べ、国に関係する法令等を見ていきたいと思います。

ただ、教育実習の準備に追われているため(言い訳)、今回は、国側の動向について見ていき、地方については次回まで温めておくことにします。

 

 

 

Second Stage

[文献] 茨城県地方自治研究会『茨城自治』262 2001(平成13年4月1日発行)

 

1.     IT革命の歴史的意義について

国側によるIT革命の見方を考察してみると、歴史的意義については、「情報や流通の費用・時間の低下」、「密度の高い情報のやりとりが容易になる」、「知識の相互連鎖的な進化」の3つが挙げられている。ここで見ていくと、1つ目については明白であるので触れずにおくが、後者2つについては、少し付け足しておきたい。まず2つ目の定義であるが、政府はこれによって、人と人、人と組織、人と社会の関係を一変することになると考えている。3つ目の定義では、工業生産的であった日本の社会構造が、高度な付加価値を生み出す“知識創発型社会”に変わっていくとよんでいる。これは、アメリカ社会の構造を見れば、私たちでも容易に想像することができるだろう。

 

 

2.      国の流れ

以上のような背景のなかで、国はITについてどのように取り組んでいこうとしているのか、その考えをまとめていこうと思う。そして、次項目では、それについて政府が実現していくために行った会議や、整備した法制度等について見ていきたい。(政局が完全に安定しているとは言い切れないので、現時点での方針、ということで見ていくので、場合によっては変更することもあると思うので、そのときはまた調べ直して修正していきたい。)

IT化が進行していく中で、この「新しい国家基盤」を形成していくために、政府は、情報・知識が付加価値になるような法制度・情報通信インフラの確立を早急に進めていかなければならないとしている。ITを上手く利用していく環境整備が、21世紀の国際競争での優位性に大きな影響を与えることは、アメリカ、ヨーロッパ諸国、韓国、シンガポールの国々を見れば、周知のことであるが、日本はこの点において先進国の中でも大きな遅れを取っている、という事実を、私たちも認めなければならないだろう。ここで、政府が注目したのは、「インターネット普及率」と「ビジネス・行政へのITの浸透」であり、日本はこの2点において力を入れていく必要性があると指摘している。

ITだけに限らないけれども、現在は「バグ・イヤー」という言葉が出てくるように、技術・商品の変化の速度が速い状況にある。変化の速度が速いなかでの、こうした対応の遅れは致命的ともいえるだろう。

 

 

3.      これまでの道のり

国側がこれまでに行ってきた、IT推進への取り組みについて、ここでは見ていきたい。

まず19971220日に、閣議決定により「行政情報化推進基本計画の改定について」が出され、続いて翌1998119日には、高度情報通信社会推進本部の決定により、「高度情報通信社会推進に向けた基本方針」に出された。これら2つによって、21世紀初頭までに、「電子政府」、すなわち高度に情報化された行政の実現を目指す方針が提示された。

19991219日には、「ミレニアム・プロジェクト(新しい千世紀プロジェクト)について」が、内閣総理大臣の決定によって出された。これは2003年までに、民間と政府との行政手続のやりとりを、インターネットを用いることによって、ぺーパーレスで行うことを目標に掲げている。

20001127日には、IT戦略会議の決定で、「IT基本戦略」が打ち出され、4つの重点政策分野が提示された。ここでまず、IT戦略会議について補足しておくと、20人の有識者からなる会合で、主に、インターネットの利用、自由・安全な情報・知識の受発信、創造的・活力ある発展可能な社会、を実現するための戦略を練っている。また、ここで出された4つの重点政策分野とは、@超高速ネットワークインフラの整備・競争政策、A電子商取引・新たな環境の整備、B電子政府の実現、C人材育成の強化である。Bについては、2003年までに、内部電子化、官民接点オンライン、行政情報のインターネット公開・利用促進、規制・制度改革推進が規定された。

200116日には、第150回国会で制定された「高度情報通信ネットワーク社会形成基本法」(通称:IT基本法)が施行された。この法律では、施策の迅速・重点的な推進、電子自治体の推進(行政の簡素化・効率化・透明性の向上)、公共分野の情報化、という基本方針が規定された。また、国側の動きに関わってくるので、同法中にある自治体関連の条文を見てみると、自治体の責務として、第11条では“国との適切な役割分担”、“区域の特性を生かした自主的な施策の策定・実施”という記述が見られる。また第12条では、施策が“迅速・重点的に”実施されるように、国と自治体両者の“相互連携”が必要であるとしている。

2001122日には、IT推進戦略本部により、「e-Japan戦略」が決定された。ここでは、前述した「IT基本戦略」と同じ4つの重点政策分野が出された。なかでも電子自治体について見てみると、政府は基本的な考え方として、行政内部、行政と国民、行政と事業者とで行われる、「書類ベース」・「対面ベース」の業務をオンライン化し、情報ネットワークを通して、省庁横断的な情報や、国・地方で一体的な情報を瞬時に共有・活用していくのを目指している。これを実現していくためには、既存業務をそのままオンライン化するのではなく、IT化に向けた中長期にわたる計画的投資が必要であると考えられている。また業務改革や、類似業務・事業の整理、制度・法令の見直しといった行政の簡素化・効率化のほかに、国民・事業者負担の軽減も考えられている。こうした取り組みによって、最終的には誰でも、国・自治体のサービスが、時間的・地理的制約を受けることなく利用できるようになり、実質的に24時間全ての行政手続の受付が可能になることで、快適・便利な国民生活・産業活動の活性化につながるとされている。

政府の目標は、やはり“2003年”であり、電子情報が紙情報と同等に扱われる行政の確立を推進していくために、「@明確な目標設定、進歩状況に対する評価・公表、柔軟な改定、A業務・制度の改革、B民間へのアウトソーシング」の3原則が掲げられた。(国側が進める具体的な政策等については、これだけでは分かりにくい感が否めない。)

上述した3原則を実現するために、国は、高度情報通信ネットワーク社会形成基本法第35条の「高度情報通信ネットワーク社会の形成のために政府が迅速・重点的に実施すべき施策について定めるもの」という規定に基づき、「e-Japan重点計画」を策定した。この重点計画では、主要プロジェクトの運用費・開発費別の、投資見込み額・効用を、政府が国民・事業者に明らかにする、ということが含まれている。

 

以上のように、国側の動きについて法制度を中心に見てきたけれども、全体的に見て、具体的な政策に欠けている気がする。抽象的な表現が多く、実際にどうすれば良いのか、もう少しはっきりとした計画が必要なのではないかと感じた。“2003年”という言葉がキーワードのように各所で見られたが、実際に数えてみると、あと2年である。2年後に行政制度が大きく変わるというにも関わらず、その動き・目標について、国民に十分に理解されているとは言い難い。実際に、地方の小規模な自治体では、他人事のように見ている人も少なからず存在しているだろう。自治体でも、情報技術を上手く使いこなせる職員がどこにでもいるか、といえば疑わしいだろう。具体的な政策を伴わない、法制度のみが、結局のところ一人歩きしてしまっているような印象が、現段階ではまだ打ち消せずに残っている。政治がこれからどう動いていくのか注目しながら、IT推進における政府のコメント等について、今後敏感になっていきたい。