2001年4月15日
国際学部国際社会学科4年 野村 綾
介護保険制度の概要
@介護保険に興味を持った理由
今回私が介護保険に興味を持ったのは、帰省した際に祖母の軽い痴呆、そしてそれを働きながら介護する両親をみた事が原因でした。その時は「父も母も大変だろうが頑張ってくれ」くらいにしか思っていなかったのですが、今回就職活動を通じてバリアフリーや介護のしやすい住宅など社会的に老人介護や自分の将来について不安を抱き、対策を講じている人の多い事に注目しました。介護保険法は施行されてやっと1年が経過したに過ぎないとはいえ、社会の注目度やニーズとは裏腹に制度の内容について私を含めて理解している方が少ないという事実があります。そこで私はこれを期に、介護保険制度の概要についてまとめてみたいと思い、今回は簡単に調べてみました。
A介護保険とは?
T 介護保健法制定の目的
「加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに介護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらのものがその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行なうため、国民の共
同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保険医療の向上及び福祉の増進を図る事を目的とする」[1]
U介護保険とこれまでの介護サービスとの相違
介護保険は、医療保険、年金保険、雇用保険、労働者災害補償保健などと同じく社会保険の中の一つに数えられる。[2]
現在介護に関するサービスとしては介護保険の他に介護福祉サービスと老人福祉費があるが、このどちらも税方式である。つまり税金による措置制度であり、対象者が少数なため行政側が「措置義務」を行使する事に委ねられているため、利用者には権利がなく、費用徴収も所得に応じた負担になる。また、前年度の課税調書・家族調書・住民票などの提出が必要になるため手続きが面倒くさいとの理由で利用者が更に少なくなっている。更にサービスにかかる予算は前年度の予算を基準に年間予算を組むので予算枠以上の福祉サービスの提供ができないといったマイナス点があった。介護保険制度においては保険料を事前に定めるものの、利用したサービスの分だけ保険は財源で確保される。また全体の財源が不足しても上乗せして調達する事がかのうである。日本においては税による補助金も連動して受けられる事になっている。
V保険者と被保険者
社会保険における保険者とは保険料を徴収し、保険事業を運営する機関のことをいう。また被保険者とは保険制度の加入者で、保険料を支払い、保険の給付を受ける人のことである。
介護保険における保険者は、各市町村・特別区[3]で、被保険者は第一被保険者と第二被保険者に分けられる。第一保険者は65歳以上で区域内に住所がある者、第二保険者は40歳以上65歳未満の医療保険加入者で市町村・特別区内に住所がある者である。
介護保険自体は65歳以上で適用されるが、65歳未満40歳以上でも、介護保険が適用されるが場合がある。この場合、要介護状態になった原因が問われ、「加齢に伴って生じる疾患や損傷」に限られる。これらの病気は「特定疾患」と呼ばれ、全部で15種類ある。[4]ただし、特定疾患でも業務上の事故や過労などが原因で要介護状態が発生した時は、介護保険ではなく「労災保険」の適用になる。介護保険では、サービス利用料の1割負担や支給限度額などの制限があるが、労災では負担や制限がなく生活費も保証される。
W介護保険の手続き
申請(本人、家族、居宅介護支援事業者)
訪問調査(85項目を質問し、調査票を記入)
一次判定
データ入力
二次判定(認定審査委員会+主治医の意見書+訪問調査委員の特記事項)
要介護認定
結果の通知 不服申し立て
ケアプランの作成
介護サービスの開始