国際学部総合演習レポート内容についてのコメント

2003年度前期。中村祐司担当4回分)

 

□内が担当教員によるコメント。各テーマをクリックするとPDFファイルが立ち上がり、内容をみることができます。

 

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ルワンダの復興支援プロジェクト 紛争やエイズなどにより親を失った孤児への援助(19KB)

樋口貞子 菊池健介 渡辺真珠子 石藤可苗 黒岩直子

 

<担当教員によるコメント>

「戦災孤児」「エイズ孤児」への援助プロジェクトである。しかし、資金規模から考えると孤児院と診療所の建設、医療や心のケアサービスといった「ボリューム」に対応するには無理があるのではないか。スキルやノウハウに熟練性が要求される孤児院運営をボランティアで支えきれるのか。「インターネットなどでの宣伝による募金と里親からの資金提供」とあるが、その中身(コンテンツ)はどのようなものになるのか。医師や看護婦をどのように処遇するのであろうか。「10,000円では650人の子供にポリオの予防接種を施すことができる」といった記述はプロジェクトを説明する導入部分としての説得力はあるのだが、たとえば、なぜ心のケアが「子供たちに対する最も重要な取組み」なのかが読んでいて伝わってこない。「カウンセラーと現地スタッフ・カウンターパートの関係構築」を達成するために超えなければいけない課題やその方策への言及もない。「最終的には、孤児をなくせるよう活動していきたい」。果たしてこのようにあっさりと言ってしまっていいのだろうか。

 

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エイズ感染者を親に持つ子どもの自立支援(20KB)

石川小百合 瀧純代 金井美保子 入江郁美 小池愛樹

 

<担当教員によるコメント>

エイズが一国の経済に及ぼす悪影響や、「エイズは母子感染によって、国の将来を担う子どもへのダメージも大きい」といった問題意識から、「子どもたちが自分たちの力で生活してゆける施設を建設することを提案」している。しかし、まず3,000万円の使途(設備投資・人件費・教材費)について、もっと踏み込んだ説明がほしかった。高等教育機関への就学率は高いという事実認識でいいのか。施設が用いる教科書やカリキュラム内容はどのようになっているのか。「保健・衛生管理のサポート」に関する記述ついてもおざなりの印象を受けるし、全体を通して一般論に終始してしまっている。そもそも子どもたちに「就職につながるような技術を身に付ける時間を設ける」ことが本当に彼ら彼女らのためになるのであろうか。たとえば、この施設に対する政府の関わりを全く考えないのであろうか。子どもたちが自ら作った農作物を販売する必然性や効果はどこにあるのか。それがなぜエイズ孤児の社会的自立に結びつくのかが読んでいて理解できない。このプロジェクトがどの年齢層の子どもたちを念頭に置いているのかも分からない

 

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ラオス首都近郊農村部における水質改善と安全な水利用に関する教育(70KB)

川島優太 松岡真希 高橋由香理 臼井浩子 畑中美緒

 

<担当教員によるコメント>

「井戸にろ過装置を設置」することを提唱する。地域の特定化とその理由づけがしっかりなされている。前段でラオス政府が推進する農業振興政策の概要とインフラ整備・水質をめぐる問題を、技術的領域にも踏み込みながら明確に説明しているのがいい。現地の住民向けに「水の有限性や井戸の知識、ろ過装置の必要性、飲料水確保に関する指導」を行う「セミナー」を開催するといった計画や、住民の負担を配慮した上でのセミナーの具体的中身についても言及している。「人件費」「滞在費」「研修費」の費用の内訳も提示、さらに物価や通貨に関する丁寧な説明も非常に効果的だ。現地の人々との濃密な相互コミュニケーションがなされるならば、うまくいくのではないかと思わせるプロジェクトである。ただし、「住民主体」を目指すからには市場経済化の流れのなかでのこのプロジェクトの位置づけなど、克服すべき他の諸課題も山積しているように思われ、このあたりへの対応についても触れてほしかった。

 

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アジア最貧国東ティモールにおけるコーヒー生産支援学校設立プロジェクト(48KB)

菅野直和 松本千穂 滝口あき 梅田響子 三宅裕子

 

<担当教員によるコメント>

「即効性のある支援」として、コーヒー産業の再構築と活性化を掲げた。人件費の細目のみならず「焙煎機」「皮剥ぎ機」といった予算項目も具体的に設定している。現地で人材育成を専門とする学校の設置などにも言及している。さらにこの学校の卒業生による活躍も視野に入れるといったように、プロジェクトを実現するための具体的方策がうまく組み合わされている。読む者をして、「ぜひやってみてはどうか」という気持ちにさせるし、「東ティモールブランド」の確立も決して絵空事ではないと思わせる説得力ある展開となっている。ただし、分量をもう少し書くことができたのだから、東ティモールにおけるコーヒー生産の過去の実績、日本企業との連携の中身、さらには学校のカリキュラム内容、具体的な学校の設置場所(地域)などについての言及があってもよかった。

 

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カンボジアにおけるエイズ予防対策プロジェクト〜紙芝居による啓蒙活動〜(25KB)

菅野由希子 呂維杰 山田智子 許田真理子 川村奈津美

 

<担当教員によるコメント>

非常に興味深くユニークな発想を打ち出した。なぜ紙芝居なのかについての理由づけもしっかりしている。しかも紙芝居の内容をエイズ予防に関する知識を身に付けてもらうことに絞り込んでいる。まさに「一点突破」による有効なプロジェクトとなる可能性を感じさせてくれる。地域を特定化(その理由も明確化)したことも大きい。「表現力豊かな人」というスタッフの条件設定にも、プロジェクトの担い手の人間性に対するあたたかい目配りが感じられる。さらに「現地で紙芝居をそれ以降継続する人材を育成」することで役割相乗型のネットワーク効果にも言及している。惜しむらくは、持参・調達する具体的な備品等がせっかく挙げられているのだから、紙芝居のストーリーはどのようなものなのか(絵そのものでなくても)、試作版を提示してほしかった。また、「村人たち自身によって正しい知識が広がる」といっているが、そのための具体的な誘引方策や方法、克服すべき課題などについても言及してほしかった。

 

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2003612

 

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