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「余暇における外食産業と、問題点について」

 

1、このテーマにおける余暇についての考え方

 

余暇とは、国語辞典によると、「余ったひまな時間。仕事の合間などの自由な時間」[1]とのことであるが、余暇の存在意義はどんなものがあるのだろうか。以下4項目の自分なりの定義で、余暇について説明する。

 

@    仕事等でのストレスを発散・軽減することで、ストレスからくる病気や、鬱病などといった精神病の対策・治癒となるもの。及び、生活に張りと潤いを与え、仕事への活力となるもの。A余暇を複数人で活用・共有することで、信頼関係の発達及び、修復する機会となるもの。B余暇によって、程よい刺激を取り入れることにより、生活に活力を与えるもの。C余暇を通して、人生経験の一つの糧とし、人生に豊かさを与えるもの。

 

以上の通り、余暇とは人間にとって有益な効果が期待できるものだと考えられる。

 

また、余暇を活用する面で、多くの場合必要とされるものは、ハードとソフトである。特に、ハード面(レジャー施設など)が大半の余暇において、主体となってくると思うが、ソフト面で主体となるものはどのようなものがあるだろうか。私が居酒屋でアルバイトしているということもあってか、私が真っ先に思い浮かんだことは、「サービス」であった。たとえば、仕事終わりに飲みに行く会社員が活用するのは居酒屋及び飲食店であるが、これはまさに外食という「サービス」を提供してもらうということである。私はサービス業の中でも、特に外食産業について考察していきたい。

 

前置きが長くなってしまったが、ここで余暇における外食産業と、その問題点について考えていきたい。

 

 

2、外食産業とは

外食産業とは、情報・知識を集約する点に特徴がある第三次産業のサービス産業の中の一つである。辞書的な意味によると、「大規模のチェーン店形式による飲食業の総称。ファーストフード店やファミリーレストランなど。」[2]及び、フードサービスとも呼ばれ,広義にはいわゆる飲食業全般を指すが,狭義にはファーストフードとファミリーレストランを指している。1969年に飲食業が自由化100業種指定され,これを契機に米国のファーストフードが日本進出した。」[3]とあるように、狭義としての外食は、食事をする空間とともに食事を提供する形態の業種を指す。例としては、食堂、レストラン、ファーストフードや喫茶店(カフェ)などがこれにあたる。

 

 

3、外食産業の役割

 

外食産業の役割としては、外食する場所・食事を提供することが主な役割であるが、更に付随するものとして、提供する相手(客)へのサービス(奉仕)が捧げられる。この場合、提供する場所、食事の他に、サービスにも価値が与えられているといえる。この場合、サービスが直接的にその店の利益につながるわけではないが、サービスに対する相手への満足度によって、その店のリピーター(常連客)となったり、口コミ等で来客数を増やすことへもつながるので、間接的に利益につながるといえよう。

 

ちなみに、私がアルバイトをしている居酒屋では、来客の40%が試用客(口コミでの客層)、30%が浮動客(リピートするか迷っている客層)、20%が得意客(リピートしている客層)、10%がファン層(特に熱の入った常連客層)であり、10%の客層が全売上の40%を占めるそうである。[4]そして、一人のファン層を失い、この利益を取り返すことは、100人の試用客が必要であるということであるそうだ。[5]つまり、サービス産業は、利益を上げる(来客数を増やす)ことは、相手(客)を満足させる(また利用したいと思わせる)ことが不可欠であると私は考える。

 

 

4、余暇における外食産業

 

 余暇における外食産業の役割としては、私は以下の要素があると考察する。

@    食事と場所を提供することによって、空腹時のストレスを解消する。A食事を自分で用意する必要がないため、肉体疲労時の精神的・肉体的ストレスを軽減・解消させる。B食の文化(娯楽としての食)としての、食事を提供してもらうことで、満足度を高めたり、幸福感を得ることができる。C会食として利用することで、人間関係の促進や、修復に役立つ。

 

以上のようなことがあげられると私は考える。

 

ちなみに、平成21年度時点での余暇市場の中での外食(飲食)は、全体728,760億円中、178770億円で24.5%を占めており、余暇・レジャー活動の中で日常的なものを除く外食は、参加人口・車とも断然トップである。なお、年間の外食(日常的なものを除く)参加回数は19.5回で、1回あたりの利用金額は3,370円となっている。[6]この数字が示すものとして、外食産業が余暇市場の中で大部分を占めるものであり、また年間の参加回数から見ても、余暇において外食(飲食)が馴染み深いものであるといえる。人間において、衣・食・住は生活の基本であるが、その中でも私は、食の比重は他の二つに比べて重いのではないのかと考える。衣と住は、一度確保してしまえば問題はないが、食だけは1日たりとも欠かすことはできない。食は人間の生存に大きく関わるものであり、よって余暇においてもその比重が重いというのは、納得できるものではないだろうか。

 

 

5、外食産業が抱える問題点と、外食産業のメリット

 

私が指摘する、外食産業が抱えていると思われる問題点は以下の点である。

 

第一に、外食(飲食)業界自体が飽和状態であり、競争率の激化に伴って、コストカットもまた必然的に行われることから、正社員の数を減らし、アルバイト・パートの数を多くせざるを得ないということである。[7]しかし、アルバイト・パートにも正社員並みのスキルは要求されるために、負担がその分アルバイト・パートにも重くのしかかることとなり、アルバイト・パートへの依存度が高まっていく。また、当然正社員もまた、長い労働時間で働かねばならなくなる。これは、後述するが外食産業がビジネスとして大きなメリットを持っているがゆえの問題点でもあるのだが、労働基準法違反の疑い、または労働基準法違反にしばしばつながるものである。それゆえ、外食産業界がしばしばブラック[8](コンプライアンス及び労働基準法に違反したり、従業員の報酬に見合わない労働負担であること)と呼ばれることもある。

 

第二に、少子高齢化社会であるため、若年層の人材確保がさらに厳しくなると予想されることである。[9]外食産業の労働内容は、主にキッチン(調理業務)とホール(接客業務)に二分されるが、サービス業界の中で考えると外食産業の労働内容は、その店舗の繁盛の具合にもよるが比較的ハードな傾向があると考えられる。それゆえ、若い世代の労働資本力が必要となってくるのだが、少子高齢化社会であるために、その確保が今後困難であると予想される。また、外食産業は従業員として働く場合、給料がその労働に見合わないことが多い。それゆえに、労働に見合った報酬を重視する人からは、外食産業はしばし敬遠されがちである。

 

以上のような問題点があると私は考察する。

 

しかし、外食産業が飽和状態に陥ると前述したが、それにはそれ相応のメリットがある故に、飽和状態に陥っているといえる。

 

それは、経営者の目線で見たときに、外食産業はある種、一攫千金を勝ち取ることのできるビジネスとしての可能性を大いに持っているといえるからである。

 

これは、実際に私がアルバイトをしている居酒屋の店主から聞いた話であるが、外食産業は、その店舗の営業スタイル(例えば、イタリアン料理、中華料理、居酒屋やファミリーレストランなど)にもよるのだが、提供する商品の原価(仕入れ値)が、その単価に対してとても安いので、その利益が高いということがある。そして、人間の暮らしに直結している衣食住の分野の中で、食だけは、毎日欠かさず消費するものであり、常に需要がある状態であるということ。そして、経営者としてチェーン展開や、フランチャイズとして独立した場合にその収益が倍になっていくことから、経営者の目線で見たときには、外食産業はとても大きなビジネスチャンスがあるとのことであった。

 

以上のことは、外食産業界のすべての実情を代弁しているとは言えないが、その一端としてのことは明らかにしているといえる。よって、外食産業はそのビジネスとしての可能性をはらんでいるがゆえの、上記での問題点があるといえるのではないだろうか。

 

しかし、だからといってコンプライアンスや労働基準法を違反することは決して良くないことであり、最近メディアで騒がれていた、ワタミグループである居酒屋「和民」の社員がその労働業務や、労働環境の悪さからの過労で自殺してしまった事件[10]は記憶にも新しいことであろう。このワタミグループの不祥事は決して風化させてはいけないことであり、また日本の企業の労働や従業員に対する取り組み方を改善していく必要があると私は考える。

 

 



[1] よか【余暇】の意味1278日閲覧)

http://dictionary.goo.ne.jp/leaf/jn2/227006/m0u/

[2] 外食産業デジタル大辞泉の解説」(1278日閲覧)

http://kotobank.jp/word/%E5%A4%96%E9%A3%9F%E7%94%A3%E6%A5%AD

[3] 外食産業百科事典マイペディアの解説」(1278日閲覧)

http://kotobank.jp/word/%E5%A4%96%E9%A3%9F%E7%94%A3%E6%A5%AD

[4] ふらり酔家のマニュアルより(12630日時点)

[5] ふらり酔家のマニュアルより(12630日時点)

[6] 社団法人日本フードサービス協会公式HP 「データからみる外食産業」余暇市場と外食』(平成21年のデータより)(1278日閲覧)

http://www.jfnet.or.jp/data/h/post_2.html

[7] キャリコネ公式HP 『増収なのに減益で、外食産業にコストカットの嵐。ドトール、サイゼリヤ、かっぱ寿司、ココスの悲惨』(1279日閲覧)

http://careerconnection.jp/review/weekly20111128.html

[8] はてなキーワード 「ブラック企業」(1279日閲覧)

http://d.hatena.ne.jp/keyword/%A5%D6%A5%E9%A5%C3%A5%AF%B4%EB%B6%C8

[9] 外食.biz 『外食産業の現在と未来の課題に向けて』(1279日閲覧)

http://www.gaisyoku.biz/pages/feature/food/food_07.cfm

[10] My News Japan 『「理論上、ワタミ過労死事件は業務上過失致死の典型例」遺族代理人、堤浩一郎弁護士に聞く』(1279日閲覧)

http://www.mynewsjapan.com/reports/1604/