120712Nakamurat
中村友美「ティーブレイク〜イギリス人と紅茶の付き合い〜」
◆なぜこのテーマを選んだのか◆
私は母の影響で、幼いころから家でよく紅茶を飲んでいた。紅茶は、紅茶の王道であるレモンティーやミルクティーはもちろん、ほかにもアップル、ハーブ、ローズやマスカット、など様々な種類がある。高校生のとき、実家でハイビスカスの紅茶を飲んだこともある。ハイビスカスの紅茶の味が全く想像できなくて、味に期待はしていなかったのだが、想像していた以上のおいしさに驚いたことを今でも覚えている。ところで、みなさんは紅茶といったらどこの国をイメージするだろうか。多くの人が、紅茶と聞かれて‘イギリス’をイメージすると思う。イギリス人は、一日に何回も紅茶を飲む「ティーブレイク」という時間を用意し、多い人では、何十杯も飲む人がいるそうだ。
私と同様、紅茶好きが多いイギリス人がどのように紅茶と付き合い、紅茶を通してどのように余暇を過ごすのか疑問に思った。そこで、今回「ティーブレイク」というテーマで、イギリス人と紅茶との関係を調べていくことに決めた。
◆紅茶の歴史〜イギリス人と紅茶の出会い◆
イギリスを含め、ヨーロッパに茶が渡ったのは17世紀だ。イギリスにお茶が入ってきたのは、1630年頃と言われているが、その当時、お茶は貴重なもので、貴族など一部の限られた人々しか飲むことができなかった。しかし、「コーヒー・ハウス」という喫茶店が普及したおかげで上流階級以上の市民も紅茶を飲むことができるようになり、紅茶の普及が進んでいった。また、「イギリス産業革命」も紅茶の繁栄と発展を促した。イギリス産業革命で蒸気が発明されたことによって、今まで自給自足で暮らしていた人々は、工場で一日12時間も働くようになり、体力補給の飲み物が必要とされた。そんな過酷な労働状態の中、お茶を飲むことで、人々は短い時間でリフレッシュすることができた。さらに、お砂糖やミルクを入れることにより、疲労回復やエネルギーの補給にも役立つ万能の飲み物にもなった。こうして、紅茶は大量に飲まれるようになっていった。イギリス人が必ずミルクとお砂糖を入れて紅茶を飲むのにはこういう歴史的背景もある。
(英国紅茶論争 滝口明子 1996年8月10日 第1刷発行 講談社)
◆ティーブレイクの紹介◆
イギリス人の紅茶のある風景は実にさまざま。朝起きた時から、夜寝る時までの間のさまざまなシーンに必ず紅茶が登場するといってもいいほどだ。
*アーリーモーニングティー*
まず、最初にご紹介するのは「アーリーモーニングティー」。
1日の始まりに飲む紅茶のことで、たっぷりのミルクで淹れたミルクティーが一般的である。イギリス人にとっては目覚まし代わりになるお茶といえる。
*イレヴンジーズ*
イギリスでは11時ごろにきまって紅茶を飲む習慣があり、これをイレヴンジーズという。広い意味ではこれもモーニングティーの一種になるのだが、こちらは職場でいただく紅茶である。街頭の新聞売りもタクシーの運転手も金融マンもみなこれをやる。オフィスによっては、イレヴンジーズに関係なく、カップが冷める暇がないほど、しょっちゅう紅茶を飲んでいるところもあるようだ。
*アフターヌーンティー*
アフターヌーンティーの習慣は、19世紀にベッドフォード侯爵夫人が始めたとされる。当時、貴族や上流階級の夕食は八時ごろにスタートするのが常であり、どうしても空腹を抑えることができなかった夫人が、午後の遅い時間に紅茶とともにサンドウィッチやケーキをいただいたのが、その始まりという。皆さんも一度は目にしたことがあるかもしれないが、三段のケーキスタンドに盛られたショートケーキやスコーンと一緒に紅茶をいただく。
*ハイティー*
アフターヌーンティーが貴族や上流階級から始まった習慣だとすると、こちらはもともと庶民の習慣であった。午後6時頃男性達が職場から帰宅して、家族と一緒にとる夕食のティースタイルのことをいう。
このティーが始まったのは19世紀後半のことで、北イングランドとスコットランドの田舎の労働者階級らの間で生まれた、とてもカジュアルなお茶の時間だ。
夕食を兼ね、そのメニューは肉類(ミート)中心だったことから、ミートティーとも呼ばれている。
*クリームティー*
コッツウォルズなどのイングランドの田園地帯や、とくにデボンやコーンウォールといった南西イングランドにいくと、「クリームティーをお出ししています」という看板をよく目にする。最初この言葉を聞くと、多くの人が紅茶に生クリームを浮かべたものを想像すると思う。しかし、クリームティーとは、紅茶とスコーンがセットになったものである。
ただしこの場合のクリームは通常のクリームではなく、クロッテッドクリームとよばれる濃厚な独特のクリームのことを指す。クロッテッドクリームは「凝固した」(クロッテッド)と付けられているように、クリームの中では最も濃厚でこってりとした、黄色味をおびたクリームである。スコーンのポロッとした焼き具合に絶妙に相性が良いのだそうだ。
(紅茶のある風景 土屋守 1996年6月5日 第1刷発行 曜曜社出版株式会社)
◆紅茶の力◆
基本的には嗜好品として飲まれる紅茶だが、実は、本当に健康によい物質が含まれている。2001年に開かれた米国心臓学会議で、「紅茶は心筋梗塞の発症率を下げる」「血管を強くする」といった予防効果が相次いで発表された。また、2006年に時事通信などが報じたところによると、イギリスの各メディアは8月24日、1日に3杯から4杯の紅茶を飲むと健康になるという、イギリス王立大学の研究家Carrie Ruxton博士などの研究結果を報じている。紅茶の常用は心臓発作やがんの予防、虫歯の防止、骨の強化などの効果があるがこれは果物・野菜が持つのと同じ抗酸化栄養素を含むからで、3杯の紅茶にはりんご8個分の酸化防止効果があるという。あまり飲みすぎてもカロリーや糖分の取りすぎで体に悪いが、バランスよく飲めば、健康的な生活を送れるはずだ。
(garbagenews.com http://www.garbagenews.net 2006年8月26日10:00)
(healthクリック http://www.health.ne.jp )
◆宇都宮と紅茶とのかかわり◆
「宇都宮といえば?」と聞かれたら、誰もが迷わず‘餃子’と答える。宇都宮は餃子の消費量が全国で1、2を争うからだ。しかし、宇都宮が消費量No.1の食品はまだある。皆さんは知っているだろうか。宇都宮は、全国で最も紅茶を消費している。2011年の下野新聞がそのことを報じている。記事の内容としては「宇都宮市の1世帯当たりの紅茶の年間消費量が全国1位となったことが、総務省の家計調査で分かった。消費量は422グラムと、全国で唯一400グラムを超えた。餃子に続くランキングトップに、同市内では早くも、地域活性化の目玉にと「紅茶ツアー」を企画する紅茶専門店も登場した。調査結果に、紅茶専門店などは素早く反応。宇都宮市曲師町の「世界のお茶の専門店 Y’s tea(ワイズティー)」は、大手旅行会社JTB法人営業宇都宮支店の協力で、紅茶をテーマにした日帰りバス旅行を企画。29日に宇都宮市や益子町を廻り、同店の新作紅茶、茶器などを楽しんでもらう」とうものだ。
意外なこの結果に多くの人が驚いていると思う。私もこの記事を見つけて初めてこの事実を知った。それと同時に宇都宮に紅茶好きな人々がいると思いうれしくなった。そして実際に記事内容のなかにある「Y’s Tea」に行ってきた。オリオン通りにあるお店で、ビルの二階にある。階段をあがってすぐのところに様々な紅茶が置いてあり、実際ににおいをかぐこともできる。また、Y's Teaのデザインの茶葉入れや可愛いカップ、ティースプーンなど、紅茶だけでなく、グッズまで充実しているところに感動した。さらに驚いたのは、Y's Tea のスタッフが実際に行って摘んできた那須の紅茶が用意されているということだ。スタッフが現地まで行って摘んできた紅茶を飲めるなんてすごく贅沢だと思う。また、店長が地元を愛する気持ちを込めてブレンドした「Jazzの宮」「雷都」「ベリーベリーベリー」などのような、宇都宮に関連した紅茶を飲むことができるという点も面白くてすごく素敵だと思った。紅茶に欠かせないのが、デザートだが、デザートもとてもおいしかった。私がスコーン、友人がシフォンケーキを食べていたが、どちらもとてもおいしくて大満足だった。お店の雰囲気もとても気に入ったし、毎月足を運ぼうと思う。日本紅茶協会による「おいしい紅茶のお店」認定店でもあるし、とてもおすすめなので皆さんにもぜひ行っていただきたい。
(下野新聞SOON http://www.shimotsuke.co.jp 2011年10月21日 5:00)
◆まとめ◆
今回、ティーブレイクというテーマで、紅茶についていろいろ調べてみて、イギリス人と紅茶の深いかかわりを知ることができてとても面白かった。ここには書いていないが、イギリスは紅茶をめぐる争いや貿易の過酷さを乗り越えて紅茶を自由に飲める機会を手にした。苦労して手に入れたからこそ、イギリスは紅茶を大事にしてきたのだと感じた。イギリスでは、ケンカの後など、何となく気まずい雰囲気が漂った時。最初に沈黙を破るのは、「tea?」の一言なのだそうだ。一緒に紅茶を飲んでリラックスすることで、気まずい空気にリセットをかける、紅茶にはそんな役割もある。
また、以前イギリスに留学した経験のある友人が言っていたのだが、イギリス人 がいかに紅茶を飲んでいるかを示すエピソードとして、「人気テレビ番組と電力消費量」というのがあるそうだ。人気テレビ番組の放送中は、CMの時間帯になると消費電力が急に上がる、という現象が起きる。なぜだか、スグに分かるだろうか?これは、上で紹介した、紅茶の淹れ方にヒントがある。CMになると、みんな紅茶を飲むのに一斉に電気ケトルのスイッチを入れるので、急に消費電力が上がるワケなのだそうだ。こういったエピソードからもわかるように、イギリス人は、余暇だけでなく、仕事も全部含めた自分の生活の中に紅茶を取り入れて、うまく人とコミュニケーションをとりながら生活しているのだと思う。
日本人はとても働き者だが、働きすぎで疲れて、倒れてしまう人も少なくないのが現状だ。こういった状況を打破するために、イギリスのように、うまくティーブレイクを取り入れたらどうだろうか。気持ちをリフレッシュすることもできる。そして、ティーブレイクを通して、同僚とコミュニケーションする時間を持つのも、仕事をするうえでたいせつな信頼関係を作るのに打って付けな気がする。
今後、私個人としては、宇都宮の紅茶のお店を歩き回り、大好きな紅茶に触れながら生活していきたいと思う。今回、このレポートを書いたことにより、さらに紅茶に興味がました。紅茶についての知識を今以上に深め、もっと紅茶を楽しみながら生活していきたい。